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米ビルボードチャートにストリーミングが追加

コラム 高橋裕二の洋楽天国

音楽業界誌ビルボードがアメリカでどんな曲が流行っているかという指針、ビルボード・シングル・チャート「HOT 100」をスタートさせたのは1955年の11月。当初は小売店でのレコード・セールス、ラジオ局でのエアプレイとジュークボックスでの回数のデータからチャートを作った。

その後アナログのシングル・マーケットの衰退と共にジュークボックス・ビジネスが消滅。80年代に入るとレコードはCD化され、CDシングルは全く利益が出ない為、レコード会社はシングル盤をほとんど発売しなくなった。その為ビルボード誌はシングル・チャートの作成で、ラジオのエアプレイを75%、シングルの実売を25%の配分でランキングを作った。オーデション番組「アメリカン・アイドル」が始まると、TV番組の視聴者が若年層で、CDシングルが多少でも売れると見込みレコード会社は発売、優勝者のシングルがたびたび初登場1位になった。25%の実売部分が大きく寄与した。

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2003年にiTunesミュージック・ストアーが楽曲のデジタル・ダウンロード販売を開始する。アマゾンも後を追った。その結果デジタル・ダウンロードによる販売枚数は「HOT 100」のチャート作成に加えられた。そして今回インターネット上のストリーミング回数が「HOT 100」のチャートに反映される事になる。経済新聞ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューにビルボード誌の編集ディレクター、ビル・ウェルデが答えた。

新たにシングル・チャート作成に使われるのは音楽のストリーミング・サービス会社6社(Spotify, Rhapsody, Rdio, Slacker, Muve Music, MOG)のデータだ。ビル・ウェルデは音楽のストリーミング回数が無視できない程大きくなっている為だと言う。TVでお馴染みの調査会社ニールセンによると、直近の1週間でデジタル・ダウンロードによる曲の販売は2710万枚だが、ストリーミングによる聴取回数は4億9400万回にもなるという。

ビルボード誌はストリーミングのデータを加えた場合、「HOT 100」のチャートがどう変わるかを検証している最中だ。一番顕著なケースはエレクトロニック・ダンス・ミュージックのようだ。ラジオでは殆どかからないし、ファンが若年層のためiTunes等で買わない音楽ジャンルだ。グラミー賞の「最優秀新人賞」にノミネートされたほとんど無名のDJスクリレックスが突然チャートの上位に躍り出るという事もありうるだろう。

YouTube等での音楽ビデオのストリーミング回数をシングル・チャートに反映させるかどうかは、YouTubeの親会社のグーグルとビルボード誌が話し合ってる最中だそうだ。ビルボード誌のシングル・チャートに対する基本的な考え方は、どんな方法にせよ、アメリカ人が1週間にどんな曲を買っているか又は聴いているかという事だ。ビル・ウェルデ氏曰く、「人々はヒット曲(流行歌)が好きだ。買う人もいれば、ラジオで聴くだけの人もいれば、インターネットでストリーミングするだけの人もいる。そうした全ての人達の好きな曲のチャートを作るのがビルボード誌の使命だ」

いつのチャートからストリーミングのデータが加わるのかはまだ明らかにされていない。

記事提供元:Musicman オススメBlog【高橋裕二の洋楽天国】

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