アップル イベントがパンドラの株価に影響
音楽業界誌ビルボードが面白い記事を書いている。アップルのイベントがインターネット・ラジオ「パンドラ(Pandora)」の株価に影響を与えていると。パンドラは2001年にスタートしたインターネット・ラジオ。ユーザーが好きな楽曲やアーティストを選択すると次からはパンドラがユーザーの嗜好に合わせた楽曲やアーティストをユーザーに届けてくれる。5000万人を超える会員を擁し、運営は普通のラジオ同様広告収入でまかなう。アメリカではインターネット・ラジオ業界のトップで、ラジオ業界最大手のクリアー・チャンネルが立ち上げたiHeartRadioが後を追う。
このインターネット・ラジオ業界にiTunesストアーで大成功を収めたアップルが参入するという噂が以前からあった。巨人アップルがインターネット・ラジオに参入したら既存のインターネット・ラジオ業界に大打撃を与える。それは上場している企業の株価に直接影響を与える事にもなる。投資家は近未来のその業界の市場占有率を考え、株を買ったり投げ売ったりする。以下はメディアがアップルのインターネット・ラジオ参入を報じたり、アップル自身がイベントでインターネット・ラジオについて何も発表しなかった事によるパンドラの株価の反応である。前日の終値に比べ当日の終値がどう上下したか。以下の1から5が株価の上下の要因だ。
1)9月7日
経済新聞ウォール・ストリート・ジャーナルは、アップルがインターネット・ラジオ・サービスに参入する計画があると報じた。パンドラの株価は前日比で16.7%も下落した。
2)9月12日
iPhone 5のイベントでインターネット・ラジオ・サービスの発表がなかった。パンドラの株価は10%上昇した。
3)9月13日
iPhone 5のイベント翌日、引き続きパンドラの株価は7.4%も伸びた。
4)10月23日
iPad Miniのイベントがあったが、ここでもインターネット・ラジオ・サービスの発表はなかった。パンドラの株価は前日比で7.5%上昇した。
5)10月25日
経済情報メディアのブルームバーグがアップルのインターネット・ラジオ・サービスは来年2013年の第一四半期に始まると報道した。パンドラ株価は12.6%も下落した。
6)9月7日から10月25日迄に上下はしたものの、パンドラの株価は5.6%の下落で済んだとビルボード誌のグレン・ピープルズ記者は結んでいるが。
ブルームバーグによれば、アップルと大手レコード会社間での契約が進行していて年内(2012年)にはインターネット・ラジオ・サービス事業が発表されるそうだ。そうなるとラジオ屋のiHeartRadio(クリアー・チャンネル)は生きる術を知っているがパンドラは大変だろう。大変になったらグーグルやアマゾンやマイクロソフトが買収の手をさし延べるかもしれない。いつもの話だ。アップルの株価は最近下落したとはいえ1株600ドル台だがパンドラはたったの8ドル台だ。
日本でのインターネット・ラジオ・サービスはソニーミュージックとエイベックス以下のレコード会社が「レコチョク」的ビジネス・モデルを構築でもしない限り無理だろう。する気があるかどうかは別だが。アメリカの例で言うと原盤の使用料と音楽著作権の使用料が高いからだ。ちなみに「パンドラ」はいまだに赤字だ。今年に入って赤字幅は拡大している。
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