[海外] 2012年の英国音楽シーン、デジタル売上が顕著 シングルは過去最高
2012年の英国音楽シーンはデジタル売上が顕著に、アルバム売上は11.2%減少、シングル売上は過去最高
ロンドン五輪でも派手に自国の音楽を世界にアピールしたイギリスの音楽シーンも、いよいよデジタル音楽が一般に浸透してきたようです。
British Phonographic Industry (英国レコード産業協会、BPI)とOfficial Charts Companyが発表した最新のレポートによると、2012年の英国では、デジタルの売上が大きく飛躍しCD売上が低下した一方、アルバム売上は11.9%と二桁の減少があったものの、シングル売上は過去最高を記録した年になりました。
またSpotifyなど音楽ストリーミングサービスの利用が予想を覆し、飛躍的に増加した一年でした。
シングル:1億8660万枚(昨年比6%増)
– デジタル・ダウンロード:97.2%
– CDシングル:0.3%
– 7インチ・アナログレコード:0.1%
– その他:2.4%
アルバム:6940万枚(昨年比11.2%減)
– CD:69.1%
– デジタル・ダウンロード:30.4%
– アナログレコード:0.4%
【OFFICIAL ARTIST ALBUMS CHART 2012 (Title, Artist, Label, Company)】
1. Our Version Of Events, Emeli Sandé Virgin, EMI Music
2. 21, Adele, XL Recordings, XL Beggars
3. +, Ed Sheeran, Atlantic, Warner Music
4. Born To Die, Lana Del Rey, Polydor, Universal Music
5. Up All Night, One Direction Syco Music, Sony Music
6. Babel, Mumford & Sons, Gentlemen Of The Road/Island, Universal Music
7. Right Place Right Time, Olly Murs, Epic, Sony Music
8. Christmas, Michael Bublé, Reprise, Warner Music
9. Mylo Xyloto, Coldplay, Parlophone, EMI Music
10. Unapologetic, Rihanna, Mercury, Universal Music
【OFFICIAL SINGLES CHART 2012 (Title, Artist, Label, Company)】
1. “Somebody That I Used To Know,” Gotye ft. Kimbra, Island, Universal Music
2. “Call Me Maybe,” Carly Rae Jepsen, Polydor, Universal Music
3. “We Are Young,” Fun. ft. Janelle Monae, Atlantic/Fueled by Ramen, Warner Music
4. “Titanium,” David Guetta ft. Sia, Parlophone, EMI Music
5. “Impossible,” James Arthur, Syco Music, Sony Music
6. “Gangnam Style,” Psy, Island, Universal Music
7. “Starships,” Nicki Minaj, Cash Money/Island, Universal Music
8. “Domino,” Jessie J Island/Lava, Universal Music
9. “Payphone,” Maroon 5 ft Wiz Khalifa, Polydor, Universal Music
10. “Wild Ones.’ Flo Rida ft Sia, Atlantic, Warner Music
アルバム売上の低迷に関しては、2011年はアデルの『21』というモンスター級の作品があったため、昨年は際立っていたという状況があります。
ただ2008年の年間アルバム売上が1億2300万枚だったことを考慮すれば、わずか4年で約45%近くも低減している現状は、悲しいですがあまり言い訳ができる状況ではないのかもしれません。
ご参考までに2008年から2012年までの売り上げの推移です。
また、英国チャートを管理するOfficial Streaming Music Chartのデータによれば、2012年には37億曲以上がイギリスでストリーミング再生されたことが明らかになりました。これはBPIが発表した2011年に英国でストリーミング再生された音楽は27億曲というデータを大きく上回る結果となりました。
37億曲という数字は、1家庭で平均140曲が再生されたことに値するそうです。
こうして見ると、英国では、リスナーに数多くの方法で音楽を視聴するアクセスが市場に溢れていることがわかります。デジタル/フィジカル、アルバム/シングル/ストリーミング再生。特にデジタル・アルバム/シングルの伸びをご覧いただくと、消費者がどの程度デジタル音楽を選択し受け入れているかが、明らかだとは思いませんか?
英国は、将来的に デジタル音楽の消費がフィジカルの損失を補完する土壌をすでに構築していますよね。
一方日本は2012年のCD売上は前年よりも増加したんでしたよね?それはそれで良いことだと思います。そんな中だからこそ、将来くるであろう消費者のトレンドの変化に向けて、デジタル音楽を推進していきたいですね。
■記事元:http://jaykogami.posterous.com/2012112
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ジェイ・コウガミ:
音楽とテクノロジーの時事を扱うブロガー。海外のデジタル音楽情報をテーマに、ソーシャルな音楽サービス, 業界の動向、クリエイティブなデジタルPR事例をいち早く日本で紹介している。
学生時代は米国オレゴン州で生活。高校でネットラジオ、大学でNapsterを体験、以来オンライン x 音楽コンテンツ x 人の在り方について関心を持つ。
音楽好きと音楽業界に、新しい音楽体験情報を届け、幅広いインディーズ系アーティストを応援。現在プロジェクトチーム「soundtribe」で活動中。
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