IFPI 2012年の音楽ビジネス年間レポート発表
国際業界団体が2012年の音楽ビジネスの年間レポートを発表、デジタルは顕著に成長、フィジカルだけが減少傾向
img via BIllboard
国際的な音楽ビジネス業界団体IFPI(International Federation of Phonographic Industry, 国際レコード業界連盟)は、世界の音楽ビジネスの動向を詳細にまとめた最新の年間レポート「Recording Industry in Numbers」2012年版を発表しました。
IFPI Recording Industry in Numbers(外部リンク)
2012年はデジタル、演奏権、シンクロ権からの収益が拡大する一方で、フィジカル分野だけが減少する結果となりました。
2012年は19年ぶりに世界の音楽ビジネスがプラス成長を達成しており、デジタル分野の急激な伸びや、新興国の成長が世界の市場を牽引しています。
2012年の音楽売上、ナップスター登場以来初めて世界的にプラス成長、デジタル音楽売上がさらに拡大
カテゴリー別
2012年の売上は、フィジカル以外の分野で全て成長を遂げています。グローバル規模でのデジタル売上は2011年(54億ドル)から8%アップし58億ドルとなりました。演奏権収入は、最も成長スピードの早い分野で、2011年(8億6200万ドル)から9.4%増加し9億4300万ドルに拡大しました。テレビ、広告、映画、ブランド・パートナーシップなどシンクロ権からの収益は2.1%アップし3億3700万ドルに増加しました。
反対にCDなどフィジカル分野は94億ドルで、2011年(99億ドル)から5%減少しました。ですが全体の音楽売上ではいまだ57%を占めています。デジタル分野は35%, 演奏権収入は6%, シンクロ権は2%になります。
売上全体のシェア
フィジカル: 57% (94億ドル)
デジタル:35% (58億ドル)
演奏権:6% (9億4300万ドル)
シンクロ権:2% (3億3700万ドル)
デジタル売上では、ダウンロード販売が依然最大の収益源で2011年から11%アップしました。音楽ストリーミングサービスやサブスクリプション型音楽サービスは、14%アップしデジタル全体の20%を占めるまで成長しました。またヨーロッパではデジタル全体の31%を占めます。
音楽市場トップ20の内5つでは、デジタル売上が50%以上を占めるまでに成長しました。
演奏のライセンスビジネスは、世界では9億4300万ドルで9.4%成長し、売上全体の6%に拡大しました。またシンクロ権からの売上も2.1%成長し、3億3700万ドルに達しました。
デジタル分野でのサブスクリプション型サービス、ライセンスビジネスの拡大が、新しいビジネスでは注目です。
国別
売り上げランキングでは米国が44億8000万ドルでトップになりました。ですが売上は2011年から0.5%減少しました。フィジカル売上は15億3000万ドルで市場の34%を占めます。デジタル売上は2011年(23億4000万ドル)から26億ドルに成長しました。興行収入は1億6100万ドルで全体の4%、シンクロ権からの売上は1億9100万ドルで、これも全体の4%をしめました。
売上第2位は、日本。2012年には全体売上が44億2000万ドルで、2011年(42億5000万ドル)から4%成長しました。
第3位は、英国で、13億3000万ドルの売上(2011年の14億1000万ドルからは減少)
4位はドイツで、12億9000万ドルの売上(2011年の13億6000万ドルから4.6%減少)
以下、5位にフランス(9億700万ドル、2.9%減)、6位にオーストラリア(5億700万ドル、6.8%増)、カナダ(4億5300万ドル、5.8%増)、ブラジル(2億57万ドル、8.9%増)、イタリア(2億1700万ドル、1.8%減)、オランダ(2億16万ドル、4.7%減)となっています。
売上高トップ20の市場のうち、9ヶ国が成長を達成しました。特にスウェーデン(1億7600万ドル、18.7%)とインド(1億46万ドル、22.1%)は急速に拡大している市場です。
フィジカルがいまだに過半数以上のシェアがあることには驚きですが、日本を含めて多くの国では今でもCDが最も適したフォーマット。だからシェアが高いという理由も興味ありますね。ストアが多いとか、価格が安いとか。ただ世界的な流れはデジタル、そしてライセンスビジネスが大きく成長しているため、これからもっと多くの事業会社や起業家たちがこの分野に参入してくるでしょう。この分野が伸びているにはニーズがあるからで、ここを強化することで、消費者に最適な形式で音楽を届けられるはず。日本もCD販売していても構わないので、並行してデジタルやライセンスのビジネス機会を早くもっと増やしてあげて欲しいです。
同レポートは英語、中国語、スペイン語でサイトから購入できます。
■記事元:http://jaykogami.com/2013/04/1721.html
記事提供:All Digital Music(by Jay Kogami)
■Jay Kogami Twitter:http://twitter.com/jaykogami
■Jay Kogami facebook:https://www.facebook.com/JayKogamiPosterous
ジェイ・コウガミ:
海外のデジタル音楽情報をテーマに、音楽ストリーミングサービスやその他の音楽サービス、デジタル音楽トレンドの動向、クリエイティブなデジタルPR事例、企業の音楽マーケティングなどをいち早く日本で紹介。
学生時代は米国オレゴン州で生活。高校でネットラジオ、大学で初期のナップスター(Napster)やP2Pファイル共有サービスを体験、以降音楽コンテンツと人のコミュニケーションに関心を持つ。
これまで「ベストギア」(徳間書店)での取材、音響雑誌「Gaudio」(共同通信社)での連載、オンライン音楽ニュースサイト「コラム・スピン」などで執筆。
またインディーズ・アーティストのオンラインプロモーションを手伝っている。
音楽好きとテクノロジー好きに最新のデジタル音楽情報と、新しい音楽体験を届けるべく日々奮闘中。音楽業界に、新しい音楽体験情報を届ける。現在プロジェクトチーム「soundtribe」で活動中。
関連リンク
関連リンクはありません