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「Twitter #Music」ローンチ後、最も利用された音楽サービスはSpotify

コラム All Digital Music

Twitterの音楽サービス「Twitter #music」で最も利用された音楽サービスはSpotify!なぜこのデータは重要か?

Twitter Music

Twitterは先週4月19日金曜日に音楽サービスアプリ「Twitter #music」をウェブとiOS向けにローンチしました。ローンチまでの期間、正確には1週間にわたってインフルエンサーを使った口コミマーケティングを行い、また同日が開催中だった大型音楽フェス、コーチェラ・フェスティバル期間中に重なったこともあったため、大きな反響でのスタートとなりました。

Twitter、音楽アプリ「Twitter #music」をiPhone、iPad向けに提供開始、早速使ってみました。

Twitter #musicは楽曲再生にSpotify, Rdio, iTunesとの連携を利用しています。そして#musicでは今聴いている曲をリアルタイムでTwitterに投稿できる機能「#nowplaying」があります。投稿ボタンを押すと#nowplayingのハッシュタグ、アーティストと曲名、そしてSpotify, Rdio, iTunesのリンクが投稿され、Twitterのフォロワーが友人の聴いている音楽を聴きたい場合は、(Spotifyアカウント保有者であれば)リンクをクリックすると聴ける仕組みになっています。

Spotifyユーザーの場合。

Rdioユーザーの場合。
Twitter Music
img via Digital Trends

データ解析会社のSimply Measuredでは、サービスローンチ24時間に投稿された「#NowPlaying」のツイートを分析し、どの音楽サービスが最も利用されていたかを公表しました。

ローンチ後24時間のツイートは以下のようになりました。

Spotify: 11,984 ツイート
iTunes: 11,612 ツイート
Rdio: 3,457 ツイート
トータル:256,226ツイート

SpotifyがわずかながらiTunesをリードし、後方にRdioが下がる状況になりました。これ以外にも実際にツイートされていない再生回数も含まれますので、実態はまだ不明です。

この結果はSpotifyがどれだけロイヤルな音楽ユーザーを獲得しているかを表しているとも言えます。iTunesの場合、ユーザー数では他社を圧倒しますが、映画やテレビ番組を視聴するユーザーもいるので、純粋な音楽目的のユーザーが利用しているわけではありませんからね。

Twitter MusicSimply Measured
img via Simply Measured

この数値は開始後24時間ですので、今後変化していくことに間違いありません。また今後Androidアプリが展開されることがあれば、また変化していくでしょう。

ただ一つだけ言えることがはっきりしました。それはハッシュタグ「#nowplaying」が持つ価値は、Twitter社にとってもユーザーにとっても音楽業界にとっても今まで以上に重要になります。

#NowPlayingが音楽口コミの共通言語に

将来的にTwitter #musicがイベントやメディアでの活用が増加して、#musicが音楽プラットフォームとして「モバイル音楽」のアクセス先として定着化したときには、#nowplayingが音楽に関する口コミの共通言語になり、その結果どれだけ#nowplayingを生成させ、それだけSpotify/Rdioへの流入を拡大できるか、が新たなビジネスになっていく予感がします。

例えばテレビの視聴率、音楽チャートは日毎や週毎に集計することは可能ですが、瞬間口コミを計測集計することはまず不可能に近いと言えます。一方でTwitterの場合、「バルス」やスーパーボールの例を出すまでもなくテレビを見ながらツイートされるクチコミは、コンテンツの人気度や勢い、ユーザーの感情を瞬間的に反映した、重要なデータの集合体です。今後のコンテンツ・ビジネスやマーケティングで重要になるのは、即時性ある口コミでのエンゲージメントとその分析になっていくと思います。

Twitterが#musicで考えたことは、音楽というインタレストグラフでつながるTwitterユーザーをハッシュタグ一つでまとめ、音楽に対するエンゲージメント率をどんなサービスよりも容易に高めることにあると推測します。簡単に投稿でき再生できるようにデザイン(簡易性にはSpotifyやRdioの優れた再生スピードや楽曲カタログが欠かせない)したことでTwitterは今後音楽ユーザーのデータをどんどん蓄積していきます。このデータ群は広告事業での利用や、もしかしたらアーティストとのデータ共有・プロモーションに反映される可能性が高いと考えられます。もちろん他社(SpotifyやRdio、Pandoraら)も独自にデータを蓄積し有効活用を目指していることでしょう。ですがTwitterの場合、過去に音楽イベントやエンターテイメントの分野で大きなバズを作ったという実績があります。反対にどの音楽サービスもこれまでTwitter級のバズを起こしたことはありません。

Twitter #musicは革新的な音楽マーケティング・ツールになりえる

SpotifyやRdioのようなサービスはストリーミング再生を増やすことで、ユーザーとの接点を増やします。しかし、Twitter #musicは投稿されるリンクでユーザーとの接点を増やします。Twitterは音楽再生という音楽サービスのカギとなる部分は他社に任せ、自分たちは最も必要とするユーザーリレーションを強化する戦略を見事に成功させました。この戦略は、ユーザーのエンゲージメントを低減させずにデータを集めるには非常に賢い選択だったと思います。

音楽を再生してもらうことは音楽サービスにとって最も重要でしょうが、音楽を知ってもらう、話題にしてもらう、人の目にしてもらうこと、ユーザーがどれだけ音楽に接しているかは、音楽を拡大するマーケティングでは最重要になってきます。つまり上記ができなければ音楽を発信する側=音楽業界にとって、オンライン音楽サービスは無意味の存在になってしまいます。#musicのアプローチが世界的に模擬され、進化していく、新しい音楽マーケティングの姿かも知れません。Twitter #musicは音楽サービスを革新することはありませんが、音楽ユーザーのエンゲージメントと音楽マーケティングの分野では革新的なサービスになっていくと思いました。

思ったことを長々と書いてしまいました。つたない文章で大変申し訳ありませんでした!

■記事元http://jaykogami.com/2013/04/1947.html