デジタル化する音楽メディアの行方、英老舗「NME」有料版の試み
イギリスの音楽雑誌「NME」、コンテンツ有料化を試験導入へ
NME
50年以上の歴史を持つイギリスの音楽雑誌「NME」は、運営するオンラインメディア「NME.com」で一部有料化をテストします。
NME.comの有料ウェブサイトのテストは今週開始予定で、NMEにとっては初めての試みになります。 有料化のテストでは、通常雑誌に掲載されるカバーストーリーを有料会員のみがウェブで閲覧出来るようになる予定です。その他のコンテンツは無料で閲覧が可能です。また有料バージョンには、無料版には掲載されない特別コンテンツも幾つか用意する模様です。
NME.COM
NME.comは現在iPadやKindleで閲覧できるデジタル版をすでに1部購読1.99ドル、週刊購読3.99ドル、年間購読59.99ドルで提供しています。
NME.comには現在月間800万ユニークユーザー以上が訪れています。一方で1952年に始まった週刊誌NMEは、1990年には購読数118,257部あったものの、2012年12月には23,049部、2013年6月末には20,011部と年々減少しています。
今回のテストが実装に至るかどうかは結果次第だと思いますが、はたしてどの規模の人がお金を払ってでもNMEを読みたいと思うのでしょうか?オンラインサイトの閲覧を有料化するかどうかは悩ましいところです。メディアのサブスクリプション・サービスの場合、コンテンツの良し悪しだけでなく、読者が利用する端末への最適化にも左右されます。日本の音楽雑誌が最近次々と休刊になっていくが、電子版に対する取り組みやテストなどは聞くことなく休刊になる場合がほとんどなので、NMEのように新しいアプローチを模索することに至らなかったのには残念に思います。メディアの電子版における取り組みは、こちらのブログが詳しいので、ご参考までにご覧下さい。
電子版でいかに収益をあげるか、情報収集の危うさとメディアの立ち位置 -世界新聞大会報告(下)(9/8 小林恭子の英国メディア・ウォッチ)
一方で日本でも電子版や雑誌とのハイブリッド型を始めている音楽雑誌も見受けられます。NMEはイギリスだけでなく、世界的に知名度が高い分、課金制やプレミアム・コンテンツなどニーズの多様化が進むと考えられます。一方で、日本国内にしか読者を持たない日本の音楽メディアが、今後どのように受け入れられていくのかは誰にもわかりません。もしかすると、コンテンツの集約化やキュレーションなど、世界のデジタル音楽メディアとは違う独自の道に発展するかもしれません。
「ERIS/エリス」:http://eris.jp
「MUSICA/ムジカ」:http://www.musica-net.jp/
無料でも優良なコンテンツを制作できる音楽メディアが増えている中で、有料の雑誌コンテンツを活用する音楽メディアが、どう生き残るかは興味深いところです。
■記事元:http://jaykogami.com/2013/09/4182.html
記事提供:All Digital Music
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