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「Beyonce」ステルス・プロジェクトが示した音楽マーケティングとは

コラム All Digital Music

音楽業界関係者に見て欲しい…Twitter、iTunesセールス記録を作った「Beyonce」ツイートが世界で爆発的に拡散する様子を可視化したリアルタイム・データを公開

–ビヨンセが変えた音楽ビジネスとソーシャルメディア

ビヨンセの最新アルバム売上にどの程度口コミが影響したのか、Twitterが面白いデータを公開しています。音楽業界でマーケティングに関わる人にはぜひみてもらいたいなぁ

ビヨンセ

先週13日深夜、ビヨンセの新アルバム「Beyonce」が事前告知もなしに突然iTunesストア限定でリリースされました。

TVCMも無い、雑誌の掲載も無い、本人のインタビューも無い。動画も無い。従来の音楽マーケティングで行うプロモーション手法を一切行わずリリースされた「Beyonce」。ただ1つ、ソーシャルでの波及と、ファンとの直積的なエンゲージメント(本人はInstagramで一言「Surprise」と投稿している)にフォーカスすることが、今回のステルス・プロジェクトの根幹になりました。

リリースからわずか3日で83万ダウンロードに達し、iTunesストア史上最も早く売れたアルバムになりました。またアメリカでも過去最高の初週売上となる617213ダウンロードを記録しました。

ビヨンセのiTunesストア限定の最新アルバム「Beyonce」、3日で83万ダウンロードされiTunesストアで最も早く売れたアルバム記録を樹立

Twitterは12日から13日の24時間にかけて、世界中で「ビヨンセ」が言及されたつぶやきのデータをリアルタイムで可視化した世界地図を公開しました。

こちらの下のリンクからデータ・ビジュアリゼーションが見れます
Beyonce releases her new album online

初めは小さな光がアメリカ東海岸やロンドン、トルコあたりで起こったものが,,,

ビヨンセ

アフリカやアジア、南米、オセアニア、日本にも届き…

ビヨンセ

あっという間に世界に広がり都市部が光に包まれていきます。光の強さがツイートの多さを示しています。

ビヨンセ

Twitterによれば、リリース後12時間で「ビヨンセ」についてつぶやかれたツイートは、120万ツイートに上りました。

「Beyonce」の成功はひとえにSNSでの波及効果を最大利用したことにあると言えます。

ソーシャルメディアによって購入者やファンが情報を拡散、友人知人に口コミで広がり、ネットで話題になって行きます。さらにニュースメディアが話題をピックアップして勢いがさらに推進され、より多くの人が話題を目にするようになります。

「大物アーティストだから実現できた」という意見もありますが、大物アーティストなら、なおさら新しいことにチャレンジすることは躊躇するはず。ましてプロモーションを行わずに新作リリースを行うことなど、本人だけでなく、ビジネスに関わる周りの人間なら黙って入られなかったことでしょう。

ですが、そんな中でも革新的なアプローチで、誰もチャレンジしたことがない戦略に取り組んだことが、常に新しいことに挑戦するビヨンセらしい部分と言えます。

同じような手法は、今年デヴィッド・ボウイが10年ぶりの新作「The Next Day」発表に合わせ先行シングル「Where Are We Now?」をiTunesストア限定でリリースした時に同様の波及効果が見られ、結果的にリリース同日に8カ国でチャート1位を獲得する流れが生まれました。

また今回の「Beyonce」で特に面白かったことは、レディー・ガガ、ケイティ・ペリー、スヌープ・ドッグなどTwitterで大きな影響を持つアーティスト達が、ビヨンセに向けて次々とポジティブなツイートを投稿していったことです。インフルエンサーがツイートすることで、彼らのフォロワー(必ずしもビヨンセのフォロワーではない人も含め)にまでも話題が伝播していき、情報拡散のキッカケにも繋がったと考えられます。

このようなアーティスト同士がカジュアルにインタラクションを始め、コミュニケーションをキッカケにファンやフォロワーへ音楽を知ってもらうキッカケにできることもTwitterならではのアプローチであって、Twitterがユニークなソーシャルメディアであると言えます。

日本だけでなく世界的にも音楽をマーケティングするには、巨額のマーケティング費を使い、プロモーション用動画やシングル、メディア露出など周到な戦略を実行した上で、アルバムを販売する流れが、現在でも主流です。

しかし今回ビヨンセが実施した手段は従来の音楽マーケティングを実施しない音楽マーケティングで、ソーシャルメディアを活用することで、コンテンツ(今回は「Beyonce」)をファンに購入してもらえるということを実証しています。ソーシャルメディアはもはや一次的なバズや盛り上がりを作るためだけのものではなく、マーケティング・ツールとして十分に機能する時期に差し掛かってきているはずです。

来年は今年以上に音楽マーケティングがソーシャルメディアを活用する機会が増えていくでしょう。ソーシャルを使わなければ実現できないマーケティングも現れるに違いありません。アーティストを、ソーシャルメディアを、テクノロジーを、フォロワーを、これからはどう融合してマーケティングに活用するか、音楽ビジネスが変わっていきそうです。

 

ケイティ・ペリー

 

 

レディー・ガガ

 

 

Diplo

 

 

アリシア・キーズ

 

 

スヌープ・ドッグ

Twitter Music(@TwitterMusic)のアカウントでもつぶやいている

 

 

ビヨンセ

■記事元http://jaykogami.com/2013/12/5241.html


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