SpotifyのCEO ダニエル・エク、競合・批判・米進出について語る
SpotifyのCEO、ダニエル・エクが競争相手、アメリカ進出、トム・ヨークを語る ― Beats Musicとトム・ヨークには批判的な見解
img via THR
世界のデジタル音楽で急速に拡大し音楽ストリーミングの領域をリードするSpotifyのCEO、ダニエル・エク (Daniel Ek)がアメリカのエンタメ情報誌ハリウッド・リポーターのインタビューで、Spotifyの今について多くを語っています。PandoraやiTunes、今月21日に始まったBeats Musicなど他社について、Spotifyの米国事業、そしてなぜトム・ヨークが間違っているのか、について答えています。
以下インタビューの内容をご覧ください。
HR:Pandoraは、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで7600万人のアクティブユーザーを獲得し、ブランドを確立しています。Spotifyのアクティブユーザーは世界で2600万人ですが、どう競って行くつもりですか?
DE Pandoraは、あまり競合とは考えていません。皆さんはそう思っていないようですが。私たちはSpotifyを、みなさんの音楽プレーヤーにしたいのです。ラジオサービスになりたくはありません。私たちは、音楽動画を見た後に猫の動画が流れてくる場所にもなりたくありません。私たちが目指すのは、みなさんが音楽を集めてまとめられる場所になることです。例えばディナーパーティー用やワークアウト用にプレイリストを作ることができる、そんな場所です。Pandoraとは全く違います。
iTunesは競合ですか?
iTunesは競合と言えます。なぜなら多くの人にとって「私の音楽」となっているからです。しかし、Spotifyがはるかに優れていることは明らかです。2000万曲以上の音楽をポケットに入れて持ち運びいつでも聴きたい時に聴けるからです。毎月10ドルを払うだけですし、無料で使うこともできます。SpotifyはiTunesよりもとてつもなく大きなメリットがあります。
Beats Musicはドクター・ドレーやジミー・アイオヴィン、トレント・レズナーなど音楽業界の大物が参加しています。気になりますか?
確かに、彼らは競合です。しかし私の考えは、もしそれが音楽ストリーミングの価値を理解させることにつながれば、それは素晴らしいことだと思っています。私たちのアプローチは、セレブリティの知名度をポッと出して結果を期待することではありません。私たちはソーシャルサービスなのであり、プロダクト・カンパニーなのです。多くの人は、ブランド名を出せば、もう十分だと思っています。マイクロソフトやノキアなど数々の大手企業がこれまで失敗してきました。
Spotifyはいつ黒字になるのですか?そして米国では少し進展が遅くありませんか?
私たちは若い会社です。始まったばかりです。平均的なアメリカ人にどうやって音楽を手に入れるかを聞けば、ほとんどの人は音楽ストリーミングとは答えないでしょう。多くの一般人は過去12カ月の間にようやくPandoraのことを知り始めました。Pandoraは13年もサービスを作ってきたにもかかわらずですよ。
黒字化するためのユーザー数はどのくらいですか?
私たちは非上場企業の中で、最も透明性のある企業の一つでなければなりません。私たちはこれまでアーティストに10億ドル以上を支払っています。売上の70%をそのために使っています。私はこの割合はフェアだと思います。ですので、なぜ黒字ではないか?簡単です。私たちは成長しているからです。Spotifyの展開を世界各国へ拡大して、そして多くのデバイスでの利用を拡大しています。2013年12月には世界55カ国に拡げました。短期的な収益は心配していません。長期的な視野しか考えていませんので。私はインターネットで起きていることは、産業革命以降、最も重要な出来事だと思います。世界16億人がインターネットにつながっている機会を歴史上見たことありますか?
トム・ヨークをはじめアーティストは、あなたのサービスがアーティストへの支払いが低いことを批判していました。どう回答しますか?
この領域は、音楽が生まれてから、 唯一最大の変化です。ですので、批判や憶測が生まれるのは自然の流れです。トム・ヨークは Spotify を見て、100 万回以上ストリーミング再生されたのに数百ドルしか支払われないけど、(高いロイヤリティ料レートが支払われる) 100 万回ダウンロードされたら 100 万ドルになる。だから Spotifyはよくない、と言っています。ですが論争は、 100 万ダウンロードをストリーミングとダウンロードでは比較はできないことです。 100 万ダウンロードには実際に、 iTunes には5 億人のユーザー数がいて、私たちには 2400 万人のアクティブユーザーで、すでにストリーミング再生回数は数十億回を超えています。
スケールの問題だということですか?
私の母国スウェーデンの音楽ビジネスでは、Spotifyはデジタル音楽の売上70%ではなく、フィジカルを含む音楽市場全体の売上70%を占めています。これはビジネスがスケールした結果です。人口1/3がSpotifyユーザーですが、iTunesもまだ使われています。これは、どのサービスがアーティストを支援しているか、の話ではありません。今のアーティストは全てをやるべきです。なぜなら多様な消費者は異なるモノが欲しいからです。
デジタル音楽は断片的なビジネス領域です。買収の機会は考えていますか?
全ての音楽を単一企業がコントロールすることはありません。大勢のプレーヤーが異なるサービスを提供してします。ですが最終的には連結型の企業が幾つか存在した方がいいのではないでしょうか?
Spotifyの今後は何ですか?テレビや映画のストリーミングサービスが見る日が来るのでしょうか?
私にとってSpotifyは5番目か6番目の会社です。過去の会社で直面した問題は、一度にたくさんの事をやりすぎたことです。まったくうまくいきませんでした。Spotifyを始めた時、どれだけ行けるのかを見極めるためにSpotifyだけに全ての力を専念すると自分に言い聞かせました。私たちが成功してきた理由はこれだと思います。私は可能性を否定しません。なぜなら私たちは「どうして世界はこんな風に見えるのだろう?」と考える企業ですので、より良いやり方を見つけたら、それをやるべきだからです。
■記事元:http://jaykogami.com/2014/01/5714.html
記事提供:All Digital Music
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