Pandora、音楽ビッグデータ解析Next Big Sound買収
米音楽配信のPandora、音楽ビッグデータ解析のスタートアップ「Next Big Sound」を買収。
ユーザー数では世界最大規模を誇る、アメリカの音楽ストリーミングサービス「Pandora」が、音楽データ解析サービスの「Next Big Sound」の買収を発表しました。買収額は未公開。
Next Big Soundは、ソーシャル・ネットワークや音楽ストリーミング上のアーティストや楽曲データをトラッキングし解析するサービスを提供しているスタートアップで、デジタル音楽のデータを分析する上で、世界のレコード会社やマネジメント会社など音楽産業でスタンダード化しているサービスです。2009年にノースウェスタン大学の学生だったアレックス・ホワイト(Alex White)が創業し、Foundry GroupやTechStarsなどVCから合計790万ドルの出資を受けています。
Next Big Soundがただの解析企業と違うのは、音楽ファンに深く関係するビッグデータを収集して音楽産業のマーケティングやチャートを変えてきました。2010年に米公式音楽チャート「ビルボード」にソーシャルデータの提供を開始、SNSで話題のアーティストをランク分けした「Social 50」チャートや、アーティスト別に売上、オンエア回数、ストリーミングのデータを統合したランキング「Artist 100」チャートの基盤となっています。
また定額制音楽ストリーミングサービスの「Spotify」とも提携して、Spotifyのデータをアーティストやマネージャー、レーベルが活用するためのツール群も提供しています。
https://www.nextbigsound.com/spotify
PandoraのCEO、ブライアン・マクアンドリュース(Brian McAndrews)は、買収に関して
Pandoraのユーザー視聴データとNext Big Soundの解析能力をミックスすれば、ビジネスに不可欠なデータ群を生成するでしょう
と述べています。
Pandoraは月間アクティブユーザー数7900万人を持つ、巨大な音楽サービスです。同時に、収益の大部分を広告売上に依存しているサービスで、そのためのデータ活用システムの開発に力を注いでいます。また昨年Pandoraはアーティストのマーケティング用ツール群「Artist Marketing Platform」を発表、Pandoraのユーザー視聴データや行動を解析できる機能を無料で提供し始めました。
「音楽データ解析」は、密かに盛り上がりを見せている分野です。昨年「Spotify」(スポティファイ)は2014年に音楽ビッグデータ解析の「The Echo Nest」(エコー・ネスト)を買収しました。アップルも同様に「Semetric」、「Acunu」といったデータ解析企業を買収、特にSemetricは音楽に特化したデータ解析企業です。音楽ストリーミングとソーシャルメディアが音楽ファンの生活で重要な位置になりつつある今、どのようにしてリスナーを獲得するか、どう音楽を届けるか、ベストなタイミングで音楽ファンの行動を予測できるか、などファンの行動に最適化した音楽マーケティングを実現するためにも、音楽のビッグデータの価値が重要視されます。
無料のマーケティングツールを提供するなどPandoraですが、アーティストやレーベルなど音楽産業との仲は必ずしも良くありません。Pandoraは長年ソングライターや音楽出版社、レーベルとロイヤリティ料分配について、法廷で争っています。今回の買収がPandoraと音楽産業の関係を改善できるのか、注目です。
■記事元:http://jaykogami.com/2015/05/11340.html
記事提供:All Digital Music
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