ライブ・ネイション、「Governors Ball Music Festival」運営会社買収に向け交渉中
ニューヨークの音楽フェスが熱い。ライブ・ネイションが「Governors Ball Music Festival」運営会社を買収すべく交渉中
世界最大のコンサート・プロモーション企業「ライブ・ネイション」が、音楽フェスティバル・ビジネスの拡大を狙い、ニューヨークのイベント会社の買収交渉を進めていることが明らかになりました。
Billboardは、ライブ・ネイションがニューヨークで毎年開催される野外フェス「Governors Ball Music Festival」を運営する、創設6年目のイベント・プロダクション会社「Founders Entertainment」と運営権取得に関する交渉が最終段階に入っていると伝えています。
Governors Ball Music Festivalはロック、ヒップホップ、エレクトロニックがミックスしたオールジャンルのフェスティバルで、特に大物アーティストだけでなく、今後有名になる期待の若手アーティストたちを積極的にブッキングすることから、新しい音楽に感度の高い音楽ファンに人気のフェスティバルです。
6年目の今年はカニエ・ウエスト、Beck、ザ・キラーズ、ザ・ストロークスなどをヘッドライナーに迎えてRandell’s Islandで6月3日-5日の3日開催します。
昨今のライブビジネス人気においてGovernors Ballは、ニューヨーク都市部で大きな成功を収めている音楽フェスティバルとしてビジネス面で注目されています。
これまで数多くのイベントプロモーション企業がニューヨークで音楽フェスティバル開催を試みたものの、継続させるまでの成功を得ることはできませんでした。Goldenvoiceの「All Points West」やC3の「Vinelands」、Friskeyの「Catalpa」といったフェスがかつて立ち上がりましたが、収入が伸び悩み、やがては無くなっていきました。大手のライブ・ネイションやAEGもニューヨーク地域でのフェスに関しては、強固な足がかりを生み出せていないほど、ニューヨークでの音楽フェス・ビジネスは大きなチャレンジになっています。唯一成功しているフェスは「CMJ MUSIC MARATHON」くらいじゃないでしょうか?
Foundersを立ち上げた20代の若者たち
運営会社のFounders Entertainmentは、まだ若い起業家たちの集まりです。Jordan Wolowitz、Tom Russell、Yoni Reismanが2010年に立ち上げ、翌年に記念すべき第一回目のGovernors Ballを開催した時、彼らはまだ27歳の若者でした。
共同創業者の3人はそれぞれ個性ある経歴の持ち主です。ブッキングやプログラムを担当するJordan Wolowitzは、大手エージェンシーの「Paradigm Talent Agency」や「ICM」でエージェントとして活動してきました。ステージ演出やオペレーションを担当するTom Russellは、「ボナルー・フェスティバル」や「Outside Lands」を運営するSuperfly Presentsでディレクター職を経験し、オペレーションやプロジェクト・マネジメントを専門としてきました。チケットはスポンサーシップ、マーケティングを担当するYoni Reismanは、レーベルやマネジメント会社で働いた後にSuperfly Presentsに参加。その後、Civil Muse Productionsを立ち上げるなど、それぞれが強みとライブビジネスでの実績を持ち寄って生まれたのがFOunders Entertainmentです。
ライブ・ネイションと競合する業界第2位のAEG Liveは、コーチェラ・フェスティバルを運営するプロモーターGoldenvoiceと連携して、Randell’s Islandで新しい音楽フェス「Panorama Festival」を開催することを発表しました。
関連記事:「コーチェラ・フェスティバル」運営者、新たな音楽フェス「Panorama Festival」を発表。7月にニューヨークで開催
すでに「東のコーチェラ」と呼ばれ、期待が高まるPanoramaは、大手企業の支援を受けたことによって、Governors Ballが獲得してきたニューヨーク地域の音楽フェスティバルファンを巡り、音楽フェス同士の競争が激化すると見られます。
音楽フェスのビジネスが世界的な盛り上がりを見せている今、大手イベント会社や独立系イベント会社はこの勢いをビジネスにつなげようと、新たな地域でのフェス開催を目指すケースが増えています。この中で、開催地域を増やしていくことを前提として大手と独立系が手を組み始め、独立系の専門分野と大手の影響力を組み合わせるアプローチが、ここ数年で増えてきました。
こういった流れは、新しい都市でのフェス開催や、これまで見られなかったラインナップの組み合わせといった音楽面での新鮮さをファンに提案できるというメリットを生むだけでなく、企業やブランドが音楽フェスに参加できるスポンサーシップやパートナーシップの機会創出や、チケットやグッズ販売の拡大、フェス参加者をつなげるテクノロジー企業やスタートアップとの連携、といったビジネス効果も望めると予想されます。
アーティストはもちろんのことイベント会社、さらにはスポンサーする企業やブランド、連携するテクノロジー企業にとって、音楽フェスはこれからも無視できない存在として可能性が広がっていくと感じています。
この辺りの状況は別の機会に改めて深い議論がしたいと思っています。
■記事元:http://jaykogami.com/2016/03/12942.html
記事提供:All Digital Music
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