定額制音楽配信にPandoraがまもなく新規参入、生き残りをかけて海外展開も視野に
アメリカで最大のラジオ型音楽配信「Pandora」が、最短で来月に月額制のオンデマンド型定額配信ビジネスへ参入を目指していることが、関係者情報で明らかになりました。ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えています。
Pandoraはまずアメリカで定額配信を開始する計画で、その後は英語圏でサービスを展開、そして世界各地に拡大していく予定のつもりです。
すでに大手レコード会社とのライセンス契約は最終段階まで進み、間もなく契約を締結する模様とのこと。
現在Pandoraは、無料で聴けるプランと、月額4.99ドル(年間54.89ドル)でトラックのスキップや、オフライン視聴ができる「Pandora One」を提供します。ですが、多くは無料ユーザーで構成されるPandoraは、ここに定額制プランを挟み込む計画のようです。
関係者の話によれば、Pandoraは月額10ドルで数千万曲に無制限アクセスが可能なオンデマンドのプランを計画しているといいます。また「Pandora One」のサービス内容も機能を拡充するつもりだそうです。
オンデマンド型の定額配信サービスは、リスナーが好きなアルバムやトラックを任意に選べるモデルで、Spotify、Apple Music、TIDAL、KKBOX、Google Play Music、PRIME MUSIC、AWAやLINE MUSICなど、日本でも利用頻度が高まっているサービスです。
これに反してラジオ型はサービス側が、リスナーの好みに合わせたトラックを選択し自動で再生する”パーソナライズド・ラジオ”と呼ばれるモデルで、Pandoraの他には、iHeartRadioやSirius XMなどがあり(日本では利用できない)、リスナー獲得競争を繰り広げています。
“ながら”リスニングに最適なPandoraのサービスは主に無料で利用が可能です。従ってこれまで多くのネットユーザーや自動車市場で優位な立場にいました。
しかし、Pandoraが直面する問題は数多くあります。例えば、
・オンデマンド型定額配信の脅威
・不透明な収益性
・海外展開を許さない規制
特に月間リスナー数は約8000万人を堺に伸び悩み(有料ユーザーはわずか400万人ほど)、SpotifyやApple Musicの成長に押されているのが現状です。
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Pandoraは「デジタルミレニアム著作権法」(DMCA)などアメリカの法に則って、楽曲使用のライセンス料をレコード会社へ支払う代わりに、アメリカ議会が設定したレートを支払うことで運用しているため、海外に展開することが許されません。
またPandoraが支払うレートが、SpotifyやApple Musicなどオンデマンド型定額配信が支払うロイヤリティ料に比べて圧倒的に低く設定されているため、Pandoraの運用モデル(と現行のシステム)を嫌悪する声が音楽業界内から上がっています。
そのため、オンデマンド型の定額配信が始まれば、Pandoraそして音楽業界も収益化と新規ユーザー獲得につなげられるため、さらなる成長が見込めます。Pandoraにとっては、後発のSpotifyやApple Musicなど定額配信が獲得したリスナーを取り戻し、失いつつある勢いをブーストするためのキッカケとなることに期待がかかります。
定額配信には、アマゾンもプライム会員を対象にした音楽サービスで参入すると噂があります。すでにSpotifyやアップル、グーグル(とYouTube)に加えて、TIDALやDeezerといったサービス、日本だとAWAやLINE MUSIC、KKBOXなどがあり、世界の音楽シーンを進化させている音楽配信の今後から目が離せなさそうです。
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■記事元:http://jaykogami.com/2016/08/13411.html
記事提供:All Digital Music
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