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YouTube音楽部門責任者に就任したリオ・コーエン、期待される支払いレートの刷新

コラム 高橋裕二の洋楽天国

先週の水曜日、アメリカの音楽業界が激震に揺れた。リオ・コーエンがYouTubeの音楽部門で全世界の責任者に就任するというニュース。

業界関係者が言うには、「YouTubeは音楽業界で、少しは好きなところがあるが、大半は全く嫌っている会社」。理由はYouTubeで音楽ビデオが流れてもレコード会社には1回の再生で僅かに0.001ドル(約0.1円)が支払われる。レコード業界はこの支払いが余りにも少ないと非難してきた。

リオ・コーエンとは何者か。57歳のユダヤ系アメリカ人。

f**kを連発するリオ・コーエンはレコード業界の超大物制作マン。エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」をサンプリングして大ヒットとなったRun-D.M.C.を擁するラッシュ音楽事務所から業界に入った。1988年、デフ・ジャム・レコードに参加。2004年、ワーナーミュージックのエドガー・ブロンフマン会長に誘われてワーナーに入り、フロー・ライダー、ブラック・キーズ、マイケル・ブーブレ、ジェイムス・ブラントやニッケルバック等数多くのアーティストを育てた。

2012年、ワーナーミュージックの買収後、オーナーのレン・ブラヴァトニクとそりが合わず退社した。噂されていた理由は様々。自分の上司であるブロンフマン会長を引きずり下ろそうとした。リオの年俸が高すぎた。リオが会社の経費を使いすぎた。退社後リオ・コーエンは自身の新しいレコード会社「300」を設立。YouTubeの親会社であるグーグルも出資した。がヒットは全く出なかった。

リオ・コーエンのYouTube参加に、音楽興行界の超大物アーヴィング・エイゾフは、「リオはアーティストの権利を守る側としての長い歴史がある。我々は彼に期待する。YouTubeをフェアーな使用料を払うように導いてほしい」とコメントした。

YouTubeという巨大なプラットフォーム。YouTube側は今以上に払いたくない。しかしいつ何時、スポティファイやアップル・ミュージックが定額制の音楽ビデオ・ストリーミング・サービスを始めないとも限らない。そうなったらYouTubeでのビデオ使用を禁止するかもしれない。YouTubeがリオ・コーエンに期待するのは今までの支払いレートで、しかしレコード会社やアーティストを説得できる「宣伝ツール」をYouTube内に作る事かもしれない。

記事提供元:洋楽天国


高橋裕二氏インタビュー

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