「SXSW 2017」キーノートにApple Musicクリエイティブ・ディレクターのゼイン・ロウが登壇
2017年の「SXSW」キーノートスピーカー発表。音楽部門は「Apple Music」DJでクリエイティブ・ディレクターのゼイン・ロウ
「SXSW 2017」(サウス・バイ・サウスウェスト)のキーノートスピーカーが発表され、定額制音楽ストリーミングサービス「Apple Music」のラジオ局Beats 1のメイン DJを務めるゼイン・ロウ (Zane Lowe)が登場することが決定しました。
ゼイン・ロウは、元BBC Radio 1を代表するDJの1人でしたが、Apple Music開始にあたりアップルが引き抜き、現在はBeats 1のDJ兼クリエイティブ・ディレクターを務めている人物で、数々のインタビューやオリジナルプログラムでApple Musicの音楽コンテンツに先進性を与えている人物の一人と言えます。
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この他キーノートスピーカーに選ばれたのは、フィルム部門で映画『ローグワン / スターウォーズ・ストーリー』のギャレス・エドワーズ監督、インタラクティブ部門で冒険写真家のコーリー・エドワーズと、作家のアダム・グラント。すでに発表されているのは、映画監督でプロデューサーのリー・ダニエルズ、カリフォルニア大学バークレー校分子生物学教授ジェニファー・ドウドナ(Jennifer Doudna)、Amazon向けの作品『Transparent』の脚本家ジル・ソロウェイ(Jill Soloway)です。
SXSWセッションも発表
SXSWは期間中に開催する750以上のセッションも同時に発表しています。
カンファレンス内で開催するセッションをSXSWでは、以下のカテゴリーに分類して、見つけやすくしています。
・Brands & Marketing
・Design
・Development & Code
・Government
・Health
・Intelligent Future
・Style
・Tech Industry
・Workplace
・Entertainment Influencers
・Film & TV Industry
・Making Film & Episodics
・Making Music
・Music Industry
・Music Influencers
・Touring & Live Experience
・Experimental Storytelling
・Food
・Journalism
・Social Impact
・Sports
・Startup Village
・VR/AR
音楽ビジネスや音楽クリエイティブに関するカテゴリーは多いですね。
特に「Music Industry」カテゴリーは、数もユニークさも群を抜いて突き抜けた感が見られます。
例えば音楽とテクノロジーのテーマでは、「2017年最も熱い音楽テクノロジーのトレンド」や「(ハイレゾ)マス向けの音楽」、「プレイリストとスポットライトでアーティストをブレークさせられるか?」、「Spotifyはマイナスよりもプラスになる?」、「空間オーディオこそ音楽の未来」、「ストリーミング・キュレーターはどうアーティストを支援する?」などが発表され、特にSpotifyのチーフ・ストラテジー・オフィサー兼チーフ・コンテンツ・オフィサーのステファン・ブロムが登場するなど、ゲストスピーカーも業界関係者や経営者たちばかりが名を連ね、音楽ビジネスに携わる人たちには気になるセッションばかりです。
音楽ビジネスのテーマでは、「広告と音楽:アーティスト、作曲家、広告代理店のミートアップ」、「音楽ストリーミングでブランドのナラティブを作る」、「ミュージシャン向けのコーズマーケティング2017年版」、「ダイレクト・ライセンシング&音楽本来の価値」、「映画マーケティングと音楽」、「オンラインの人気をオフラインの成功につなげる方法」など、他業種とのコラボレーションや、ストリーミングによって変化する新しいビジネスの在り方に関するテーマが目立ちます。
また「アジアの音楽業界の神秘性を取り除く」、「韓国はどう世界のポップミュージックシーンに影響を与えたか?」など、日本にも関連するセッションも用意されていました。
面白かったのは、「音楽ライティングでどう稼ぐ?」という音楽メディアのセッションもあり、PitchforkとVice編集者が顔をそろえる稀な機会もSXSWならではだと感じます。
SXSW音楽部門のセッションでは、「音楽の未来がどうなるか?」など、よく有りがちな議論の代わりに、現代の音楽ビジネスを成功させるために、「ストリーミングを活用するモデル」や「デジタルの権利をどう考える?」、「新しいマーケティングの方法は?」といった、完全にデジタル化とストリーミング中心に移行した、現実性の強いテーマが顕著に見られ、音楽業界やビジネス関係者が真剣にデジタルシフトを受け入れている様子が伺えます。これほどまで色濃くデジタル化が進むSXSWから、出遅れてはいけない、何か早急にやらねば、と焦りだす関係者も少なくないはずです。デジタル化の波は期待が大きい一方で、実験や連携が求められ、その取り組み方に慣れていない古い業界の体制や組織は当然のことながら、先進的な企業やアーティストからますます離されていくことは明白。世界的にプラス成長が始まった業界が、成長に向けたフェーズに入るためのヒントが来年のSXSWから見えてくることに期待したいと思います。
■記事元:http://jaykogami.com/2016/10/13641.html
記事提供:All Digital Music