ライブ・ネイション、スウェーデンの人気ロックフェス運営権を獲得し、北欧にライブビジネス基盤を拡大
世界の音楽フェスティバル産業が様変わりしようとしています。
世界最大のイベントプロモーション会社「ライブ・ネイション」は、スウェーデンの音楽フェスティバル「Sweden Rock Festival」運営に向けて株式過半数を取得したと発表しました。
Sweden Rock Festivalはスウェーデンで最も成功しているフェスの一つで、2007年の立ち上げ以来、毎年6月にSölvesborg郊外に3日で約35,000人規模の動員数を誇り、同国ではメジャーな音楽フェスとして広く知られています。ライブ・ネイションとの契約合意後も、Sweden Rock Festival運営チームは、フェスの制作やアーティストのキュレーションを引き続き行っていく予定。
すでに2017年の開催もすでに決定しており、ヘッドライナー第一弾はエアロスミスが発表された他にスウェーデンのIn Flamesやドイツのランニング・ワイルドのようなヨーロッパのヘヴィーメタル・バンドもプレイすることが決定しています。
音楽フェスティバル・ビジネスの世界では、現在ライブ・ネイションが世界有数のフェス・ブランドを買収し傘下に置く、もしくは資本提携関係を結び運営に参加するアプローチが続き、その数は他社を凌駕する勢いで拡大しています。アメリカでは、「ロラパルーザ」「ボナルー・フェスティバル」「Austin City Limits」「Electric Daisy Carnival」などメジャーな音楽フェスを運営するチームが、ライブ・ネイションと資本関係にあります。
ライブ・ネイションはさらにアメリカ以外の地域でも積極的にフェスビジネスを拡大中です。イギリスでは「レディング・リーズ・フェスティバル」、「EDC UK」「Download Festival」(ライブ・ネイション子会社のFestival Republicを通じて)を運営。ヨーロッパ各地でも中規模から大規模な音楽フェスの運営権を手中に収めて、世界約80のフェス・ブランドのポートフォリオを拡大させています。
関連記事はこちら
ライブ・ネイション、大型野外音楽フェス「ボナルー・フェスティバル」運営会社の株式過半数を取得。ライブビジネスの在り方も変化し続ける
ライブ・ネイションCEOマイケル・ラピーノが語る、ライブ市場で勝つ戦略「マーケティングの80%はオンラインに投下した」
音楽ビジネスの規模と価値
ライブ・ネイションのライバル企業AEG Liveは、傘下のプロモーター「Goldenvoice」が運営する巨大音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」、そして同じくGolddenvoiceが運営する野外カントリーミュージック・フェスティバル「Stagecoach Festival」という、アメリカを代表する大規模音楽フェス・ブランドを抱えています。カリフォルニア州インディオで開催されるこの二つのフェスは、2016年だけで7億400万ドル(約800億ドル)の経済効果を生み出したと、推定されています。
コーチェラ・フェスティバルは、6日の開催で1日当たりの平均動員数が99,000人。Stagecoach Festivalは3日開催で1日の平均が70,000人という動員記録でした。
一方でライブ・ネイション傘下の「ロラパルーザ」は、一日平均が約10万人。ラスベガスで開催する巨大ダンスミュージック・フェスティバル「Electric Daisy Carnival」も一日平均10万人以上を動員するほどの規模に未だ成長を続けています。
フェスの運営権利を手にできることのメリットはさまざまですが、特にビジネス面では好調なチケットセールスや、増加する企業スポンサーシップなどからの莫大な売上が見込めます。プロモーションを自ら手がけることの少ないライブ・ネイションは、同社のチケット事業やスポンサーシップ事業と音楽フェスの連携が活性化させられるメリットを得ます。一方で、音楽フェスをクリエイティブ・プラットフォームとして、世界の音楽ファンに対してライブでは体験出来ない演出やラインナップを実現することや、フェス独自の世界観溢れるクリエイティブを表現しつつ世界展開することに情熱を注ぐフェス運営チームのアプローチにも答えることができるため、ビジネスとクリエイティブ双方からのニーズを連携させるハブとしてライブ・ネイションが機能していることも注目です。
■記事元:http://jaykogami.com/2016/12/13705.html
記事提供:All Digital Music