SoundCloud 2017年内に現金枯渇の恐れ、最新のレポートでCEOが報告
ベルリンに拠点を置く音楽共有サービス「SoundCloud」は、想像以上に存続の危機に直面しているのかもしれません。2016年は初の定額制サービス「SoundCloud Go」を開始するなど、事業の収益化を目論みていましたが、2017年末までにSoundCloudの現金が無くなり、存続に影響するかもしれないとのレポートの存在が明らかになりました。
イギリスの会社登記局(Companies House)に提出された書類によれば、SoundCloudは2015年に収益が前年から21.6%アップの2110万ユーロ(約26億円)を記録したが、純損失は30.9%アップの5122万ユーロ(約63億円)と大幅拡大した模様です。
SoundCloudはこのような状況にも関わらず人材獲得に精力的で、2015年の従業員数は236人から295人と59人も増員し、これは2014年と比較すると49%の拡大になっていると、Music Business Worldwideが指摘しています。
提出された書類で、SoundCloudのCEO、アレキサンダー・ユング (Alexander Ljung)は、取締役のレポートとして次のコメントを残しています。
新しい定額制サービスのローンチに成功することは、今後3年の財務プロジェクトにおける重要な要素になります。(中略)これは、グループの業績およびキャッシュフローに関する財務上のリスクを負うこととなります。これらのリスクの発生は、グループが計画する支出をカバーする十分なキャッシュの捻出に深刻な影響を与えることとなり、グループは未だ合意されていない追加の出資を受け入れる必要に迫られるでしょう。取締役は、2017年12月31日までグループが引き続き債務を果たす十分な資金があると信じている一方で、リストと不確定要素によって会社はその期日前にキャッシュが底を尽きる可能性があり、グループは現在計画していない追加の資金調達を行なう必要に迫られるでしょう。これらの事情は継続企業としてグループの存続に関する不確実性を引き起こします。
また、SoundCloudのスポークスパーソンは、音楽メディアFactmagに取材に対して、報告書が示す純損失の理由は「テクノロジー、人材、マーケティング、音楽業界のパートナーとの複雑なライセンス契約」への投資が原因であるとコメントしています。
SoundCloudは12月にCompanies Houseへ提出した書類は本日付で公開されました。収支報告では、2015年に私たちは消費者向けの定額制サービスSoundCloud Goや、広告システムのロールアウトを含む収益モデルの構築に必要な対応に注力してきました。それはテクノロジー、人材、マーケティングおよび複雑なライセンス契約を主要な音楽業界のパートナーと合意することへの投資に繋がっています。その結果、経営は引き続き赤字でした。2016年、私たちは業界だけでなくSoundCloudも確かな成長に達しました。そして、2017年もこのトレンドが続くと理解しています。現在まで、SoundCloud Goのローンチに成功し、また広告ビジネスもアメリカ、イギリス、アイルランド、仏、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ドイツの8カ国に拡大しました。私たちは、クリエイター、リスナー、キュレーターのコミュニティが継続して広がる、財務的に安定したプラットフォームを構築しながら、全てのクリエイターたちが作品で対価を受け取れる仕組み作りを達成するための非常にポジティブな道を歩み続けています
SoundCloud Goは成功なのか、失敗なのか
SoundCloduは2016年に同社初の定額制サービス「SoundCloud Go」をアメリカ、イギリス、ドイツで開始しました。月額9.99ドルで、SoundCloud内のカタログを無制限に聴けたり、広告を非表示にできるサービスは、これまでフリーサービスを手掛けてきたSoundCloudからの大きな方向転換です。SoundCloud Goの目的は、月間ユーザー1億7500万人から、有料会員サービスへと誘導していくことで、すでにアメリカ、イギリス、アイルランド、フランスでサービスを始めています。しかし報告書では、SoundCloud Goのユーザー数や収益、成長に関する情報には触れられていません。
SoundCloudの今後の事業の不透明さから、買収の噂も広がっています。2016年には、Spotifyが買収する噂が浮上したと思えば、2017年に入ってグーグルが5億ドルで買収に興味を示しているとの噂も起こっています。
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■記事元:http://jaykogami.com/2017/01/13739.html
記事提供:All Digital Music