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SpotifyがMightyTVを買収、相次ぐスタートアップ買収戦略から見える「今後の布石」とは?

コラム All Digital Music

SpotifyがMightyTVを買収、相次ぐスタートアップ買収戦略から見える「今後の布石」とは?

世界最大の定額制音楽ストリーミングサービスSpotifyは、3月27日にニューヨークのスタートアップ「MightyTV」の買収を発表しました。MightyTVのアプリは買収に伴って全てのアップデートを停止することがサイトで発表されました。

MightyTVは、HBOやNetflix、Huluなどの動画レコメンデーションに注力したTinderスタイルのスワイプ可能なアプリを提供し、ユーザーの好みに最適化されたテレビ番組や映画をレコメンドするシステムを開発してきました。同社CEOのブライアン・アダムス(Brian Adams)はSpotifyに参画後テクノロジー担当副社長に就任予定です。

これでSpotifyが2016年からかけて買収したスタートアップの数は6社と、以前に比べてハイペースで買収を行っています。2016年には、1月に「CordProject」と「Soundwave」、4月に「CrowdAlbum」、11月に「Preact」、2017年に入ってから、3月に音楽データ認識技術を開発するロンドンのスタートアップ「Sonalytic」を次々と買収してきました。

2016年以前には、「Seed Scientific」(2015年)、「エコーネスト」(2014年)、「Tunigo」(2013年)とわずか3件の買収にとどまっているので、近年の買収戦略がどれだけハイペースかが見えてきます。

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MightyTVそしてSonalyticで獲得した技術はどちらもSpotifyのレコメンデーション機能において、ユーザーのコンテクスト(文脈)に応じて最適化させ、マッチングの精度を向上させることが予想されています。従って、Spotifyの注目する分野の一つが、ユーザー向けのレコメンデーションの最適化と向上にあると考えらます。

その理由として予想されるのは、今後Spotifyが注力しなければならない大きなテーマである新規ユーザーの獲得にありそうです。従来であれば、テック業界のアーリーアダプターのように、定額制音楽ストリーミングサービスの利用に対して興味が高い、または利用の障壁が低いユーザーを目指した戦略を打ち出すことで新規利用を増加できたところが、これからSpotifyが取り掛からなければいけないのは、音楽にそれほど関心の高くないライト層まで視野に入れた新規ユーザー向けの戦略と予想されます。好きな曲が分からない、何を聴きたいか分からないユーザーに対して、視聴履歴以外でのレコメンデーションを最適化させていくことは、Spotifyが関心を持つ分野の一つになっていくと考えられます。

またSpotifyが2016年から注力し始めた分野に「プログラマティック広告」があり、広告主がプレイリストやジャンル、性別などのリアルタイム情報からリスナーに最適な広告を配信できる「プログラマティック・オーディオ広告」を全世界で提供開始しました。買収したスタートアップの技術によって、Spotifyがさらに効果的なターゲット選定を可能にする広告ソリューションを開発し広告主に提供する可能性も考えられ、膨大なユーザー数に膨れ上がるSpotifyで広告展開したい企業にとってはターゲット効率良く出稿できる恩恵をうけることにつながるでしょう。

「MightyTVが構築したコンテンツ・レコメンデーション・システムは我々が考えるアドテクノロジーおよびマーケティング・パーソナリゼーションに合致します。ブライアンと彼のチームは我々のフリー・マネタイゼーションにおけるイノベーションと、プログラマティック・オーディオ広告の業界リーダーとしての地位を拡大してくれるでしょう」とSpotifyの製品担当副社長ジェイソン・リッチマン(Jason Richman)は声明文で答えています。

■記事元http://jaykogami.com/2017/04/13919.html


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Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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