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Spotify、世界61国目のタイでサービスを開始。独自のローカル戦略がもたらすアジアでのプレゼンス拡大

コラム All Digital Music

Spotifyがアジアに進出して約4年が経ち、世界的な音楽ストリーミングサービスの急成長をさらに拡大するべく、タイでのサービスを開始しました。

Spotifyはこれで世界61カ国に進出。アジアでは、昨年開始したインドネシアと日本に次いで、8カ国目です。

有料プランのSpotifyプレミアムは、129タイ・バーツでの提供となり、日本円に換算すれば約425円です。Spotifyはこれまでも市場に合わせた価格設定を行って来ました。
 

タイ進出にあたり、Spotifyはローカルチームがタイ国内の音楽を中心とするプレイリストのキュレーションをサービス開始時に併せて始めていることが、同社の戦略で、すでに「Thai Pop Hits」「Luk Thung Hits」「Sawasdee Thailand」といったタイのローカルアーティストをフィーチャーするプレイリストが公開されています。今後は、タイのトップチャート、バイラルチャートも公開されるはずで、こうしたプレイリストやチャートの準備のためのレーベルとの交渉や、プレイリストエディトリアルチームの人材確保などは、Spotify独自のグローバル戦略とローカル戦略の両立と言えます。このアプローチは、リスナーを含む各国の音楽市場との関係構築の必要性をますます高めるもので、アーティストのグローバル進出やローカルアーティストの発掘にも寄与する要因を生み出しています。

今月始め、オリコンの取材で、ジャカルタでSpotify初の大型ライブイベント「Spotify On Stage」に行った際、上記のアジアでの拡大戦略について、Spotifyアジア・マネージングディレクターのスニータ・カウア(Sunita Kaur)にインタビューを行ってきたので、音楽業界誌「コンフィデンス」でご覧頂ければ幸いです。

これまでの歴史を振り返ると、2013年に香港、シンガポール、マレーシアに参入したSpotifyは、ローカル市場におけるレーベルと調整を重ね、各国ごとにコンテンツやプレイリストを入念に準備する戦略を図り新規市場を開拓してきました。2016年に東南アジア最大の経済市場のインドネシア、世界第2位の音楽市場の日本に参入したことで、アジア圏の音楽ストリーミング市場のシェア拡大に弾みをつけてきました。

これまで進出してきたアジア音楽市場
2013年4月:香港、シンガポール、マレーシア
2013年9月:台湾
2014年4月:フィリピン
2016年3月:インドネシア
2016年9月:日本
2017年8月:タイ

今後の新規参入する市場の可能性に挙がるのは、まずはインドです。潜在的ユーザーの規模を見ると、株式公開の準備を進めていると噂されるSpotifyにとって、インドへの進出は新たなユーザーの獲得を劇的に増加させる可能性を秘めていることから、投資家たちを満足させる要因となることが予想されます。

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その一方では、中国そして韓国へのアプローチに関する情報や噂は聞かれておらず、参入障壁の高さとSpotifyの戦略的プライオリティがどの市場に向いているのか、前述の株式公開の準備に伴い進出のタイミングが次の焦点になると考えられます。

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反対に、Spotifyをユーザー数で追いかけるApple Musicは、アジアへの進出は急ピッチで進めているのが特徴的。

Apple Musicが参入するアジア音楽市場(2017年7月時点)
フィリピン、香港、インドネシア、シンガポール、日本、韓国、カンボジア、ラオス、台湾、中国、マカオ、タイ、マレーシア、ベトナム

すでに中国という巨大市場へ進出を果たしただけでなく、韓国やベトナムといったまだSpotifyが進出していない国へもサービスを投入して、先行優位性を高めています。

さらにApple Musicは、「インド」にも参入済みで、どれだけのユーザーを獲得できたのかは興味を引きます。Apple Musicはインドでは月額料金は120ルピー。日本円にして約200円で提供しています。Apple Musicは現在世界120カ国でサービスを提供しています。

jaykogami
記事提供All Digital Music

Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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