Spotify、独自のポッドキャスト番組を米国で開始。音楽ストリーミング大手が”将来性”を見るポッドキャストの未来
先日レポートされた通り、定額制音楽ストリーミングサービスの世界最大手「Spotify」は、同社独自のオリジナル・ポッドキャスト番組シリーズ『Show & Tell』を開始しました。
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6月に報道された情報によれば、Spotifyは新しい収益源開発やアプリ利用の拡大を目指して、アメリカでポッドキャスト事業を強化していくとレポートされました。すでにアプリ内の「Browse」セクションでは、人気ポッドキャスト・チャンネルや大手メディアが作成した番組を配信済みでしたが、この度Spotifyが独自制作するオリジナルポッドキャスト番組を投入することで、ユーザーに訴求するコンテンツの幅を広げていきます。
念を押したいのは、Spotifyのポッドキャストは、実験的なアプローチであることで、音楽ストリーミングが今後も事業の中心となることに変わりはない様子です。日本ではまだ本格的にポッドキャスト配信は行われておらず、現在配信する番組の多くはアメリカ、イギリスのクリエイターやメディアが制作する英語での番組が占めています。今回配信を開始した『Show & Tell』はイギリスBBCラジオで活躍するパーソナリティShaun Keavenyが人気の俳優やコメディアンなどをゲストに招くインタビュー形式の番組です。
ポッドキャストに進出する理由の一つとして、番組からの広告収入という新しい収入源の可能性も広がり、レーベルへのロイヤリティ料分配という音楽ストリーミングサービスが抱えるビジネスモデルの改善に期待がかかります。
ポッドキャスト配信は、Spotifyが長年取り組んでいる音楽以外でのコンテンツ戦略で他社サービスからユーザーを獲得するための位置付けとして見られます。特にSpotifyは動画コンテンツで失敗しているため、継続的にサービスへ新規のユーザーを呼び、継続利用させるための施策が求められてきました。
ポッドキャスト市場は欧米を中心に急成長が期待される市場ですが、Spotifyが今後この領域にどれだけ関わり投資していくかを見極めるには、時期尚早でしょう。ですが、音楽ストリーミングサービスとポッドキャストというサービスの組み合わせは、特にポッドキャスト制作者やラジオ局にとって、世界中で1億4000万人以上のアクティブユーザーを抱える巨大なSpotifyのプラットフォームから配信できる選択肢となり、より多くの新規リスナーへリーチできる可能性へとつながることは大きなメリットと考えられます。
記事提供:All Digital Music