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J・Cole、Apple MusicとSpotifyでストリーミング再生回数の新記録を樹立。初日だけで『KOD』が6450万再生

コラム All Digital Music

 

ヒップホップアーティストのJ・コール(J. Cole)が4月20日(金)にリリースした最新アルバム『KOD』が、音楽ストリーミングサービスApple Music、Spotifyでアメリカ国内のリリース後の初日再生回数の過去最高記録を達成しました。『KOD』は2018年最大の週間ヒット作になると推測されています。

J・コールは『KOD』のプロモーションを行わず、「新アルバム 4/20」とツイッターに投稿したのみ。新アルバムのリリースを告知したのは20日から3日前の4月17日(火)と短期間で期待を作ることに成功しています。

 

『KOD』は今年最大のヒット作

『KOD』は4/27発表のアメリカBillboardアルバムチャートで1位デビューが確実視されています。

アメリカの音楽セールス換算では、音楽ストリーミングの再生回数とダウンロード数を合算した『KOD』の週間売上は37.5万〜40万ユニット、その中でダウンロードとCDのみのセールスは14万〜15.5万ユニットと推測されます。

2018年これまででアメリカでの最大の週間ヒットアルバムはジャスティン・ティンバーレイクの『Man of the Woods』で、1週間の売上は29.3万ユニット。『KOD』はテイラー・スウィフトが2017年11月に記録した『Reputation』の週間売上124万ユニット以来、最大の週間ヒットアルバムとなる予定です。

アメリカBillboardアルバムチャートは2018年から、CDやダウンロードの購入数と音楽ストリーミングの再生回数を合算するハイブリッドな音楽チャートにおいて、SpotifyやApple Musicなど定額制音楽ストリーミングの再生回数をYouTubeなど広告型無料サービスよりも比重を高くする換算方法を組み込み、音楽消費の指標の対象をサブスクリプションへとシフトしています。

 

 

Apple Musicではドレイク、テイラー・スウィフトを抜く

米国ではApple Musicで初日の再生回数が6450万回。Apple Musicの初日最高記録はドレイクが2016年に『Views』をリリースした際の再生回数6350万回を100万回以上上回る勢いでした。The Vergeによれば、Apple Musicで全世界の再生の60%を占めました。

さらにアルバムのタイトルトラック「KOD」は、シングルトラックの初日再生回数でテイラー・スウィフトの「Look What You Made Me Do」の380万回を上回り、420万回で歴代2位に浮上しています。1位は今年1月にリリースされたドレイクの「God’s Plan」で470万回。

 

 

 

 

SpotifyはNew Music Fridayプレイリストの影響

 

 

Spotifyでは過去最高記録の3670万回。Spotifyトラック再生回数記録はドレイクの「God‘s Plan」は記録した470万再生です。

この大きな再生回数の差は、Spotifyのプレイリストに追加された数だと推測されます。

J・Cole、Apple MusicとSpotifyでストリーミング再生回数の新記録を樹立。初日だけで『KOD』が6450万再生

Spotifyがグローバルで毎週新曲や注目曲をピックアップして各国ごとに更新するプレイリスト「New Music Friday」を見ると、全世界でアメリカとカナダの「New Music Friday」に追加されたのみでした(日本では「New Music Wednesday」と「New Music Friday Japan」の2つが存在する)。

4/20更新の「New Music Friday」プレイリストでは、世界各地で最も多く追加された楽曲はザ・チェインスモーカーズの「Somebody」が34カ国、リアム・ペインの「Familiar」とアリアナ・グランデの「No Tears Left To Cry」が33カ国でプレイリストに追加されています。

「New Music Friday」のカバージャケットの大半がアリアナ・グランデだったり、1曲目が「No Tears Left To Cry」だったりと、Spotifyの中で巨大なフォロワー数を持つ公式プレイリストに追加されることの影響力が、Spotify内で新曲の再生回数に比例すると考えられ、そこにSpotifyとApple Musicの新曲をプッシュするメカニズムの違いが見られます。

その反面、SpotifyのバイラルチャートではJ・コールの「KOD」はアメリカのバイラルチャートでは1位を獲得。アリアナ・グランデの「No Tears Left To Cry」はピークが6位となっているため、新曲がフォロワー数の多いプレイリストに数多く入ればいいのかという単純な構造では分からないリスナーとSpotifyの関係性の特徴が見えてきます。

 

Apple Musicとヒップホップの相性の良さ

2016年にドレイクの『Views』が記録したストリーミング再生回数が6350万回という数字をApple Musicは当時わずか有料ユーザー1300万人で達成しています。

現在Apple Musicの有料ユーザーは4000万人に成長したと云われています。J・コールの再生回数がドレイクのわずか100万上回っただけという事実は、ドレイクとApple Musicとの相性の良さを物語っています。

ドレイクは6月に最新作『Scorpion』をリリースすることを発表しています。

また同じ月にはカニエ・ウェストの最新作もリリース予定となっています。前作『The Life of Pablo』を定額制音楽ストリーミングサービス「TIdal」のみでの配信を約束したカニエ・ウェストですが、リリース後にはApple MusicとSpotifyでも配信を解禁しています。

2018年上半期は音楽ストリーミングサービス中心の大作リリースに期待が高まります。

 

jaykogami
記事提供All Digital Music

Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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