ワーナーミュージック、元ソニー・エンタテインメントCEOを取締役に迎える
ワーナーミュージック・グループは、同社の取締役会長に元ソニー・エンタテインメントのCEOで、動画アプリ「Snapchat」を運営する会社Snapで会長を務めるマイケル・リントン(Michale Lynton)が就任したことを正式に発表した。
ワーナーミュージックの取締役は現在10人体制。ワーナーミュージックの親会社で、2004年に運営権を買収した投資会社Access Industriesを経営するレン・ブラヴァトニックをはじめ、ワーナーミュージックCEOのスティーブン・クーパー、音楽部門CEOのマックス・ルーサダが参加している。
取締役会にはブラヴァトニックの他に、Access Industriesから2人が参加している。またAccess IndustriesはSnapにも投資している。
ワーナーミュージックの取締役
ワーナーミュージックの取締役会の構成は以下の通り。ドイツのメディア企業大手アクセル・シュプリンガーのCEOマティアス・デップナー(Mathias Doepfner)や、経済学者のノリーナ・ヘルツが参加しているところは注目すべきだ。
マイケル・リントン:取締役会 会長
レン・ブラヴァトニック(ワーナーミュージック・グループ会長、オーナー)
スティーブン・クーパー(Stephen Cooper):ワーナーミュージック・グループCEO
マックス・ルーサダ(Max Lousada):ワーナーミュージック 音楽部門CEO
リンカーン・ベネット(Lincoln Benet):Access Industries CEO
アレックス・ブラヴァトニック(Alex Blavatnik):Access Industries副会長
ドナルド・ワグナー(Donald Wagner):Access Industriesマネージングディレクター
トーマス・H・リー(Thomas H. Lee):Thomas H. Leeパートナーズ創業者、投資家
マティアス・デップナー(Mathias Doepfner):アクセル・シュプリンガーCEO
ノリーナ・ヘルツ(Noreena Hertz):経済学者、著者
イノン・クライツ(Ynon Kreiz):マテル CEO
新たに参加するリントンは2017年からSnapの会長を努めている。
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2004年にはソニー・ピクチャーズの会長件CEOに就任。2012年にはソニー・エンタテインメントのCEOに就任した。ソニー以前はディズニーのハリウッド・ピクチャーズの社長や、AOLヨーロッパのCEO、AOLインターナショナルの社長、タイム・ワーナーインターナショナルの社長を歴任してきた。
リントンをアドバイザー役に選んだワーナーミュージックの狙いは、どこにあるのだろうか?
彼がライバルであるソニーでの経験だけでなく、音楽や映画、テレビ、テクノロジーの領域での経験を豊富に持つからだ。
近年、音楽ビジネスはストリーミングとサブスクリプションビジネスに移行しただけでなく、急激に多角化とグローバル化が加速している。レコード会社は従来の「レコードビジネス」の枠を超えたアーティスト育成とコンテンツのマネタイズが求められるように業界の仕組みが変わってきた。
ワーナーミュージックは2018年、ユース世代向けエンタメメディア企業「Uproxx」や、音楽データ分析を軸にしたA&Rツール開発のスタートアップ「Sodatone」を買収するなど、多角化する音楽ビジネスに最適な人材や組織、ビジネスモデルを積極的に取り込んでいることが分かる。
進化するコンテンツや配信プラットフォームに並走するために、ワーナーミュージックは新しい音楽ビジネスの構造改革への流れを加速させるだろう。
記事提供:All Digital Music