中国最大の音楽ストリーミングTencent Music、競合のDouban.FMに投資
中国最大の音楽ストリーミング会社「Tencent Music」は、中国の音楽ストリーミングサービス「Douban FM」(ドウバンFM)に戦略的投資を実施した。投資額は公表されていない。
Tencent Musicは事業資金を投入する代わりに、Tencentが保有する楽曲の著作権をDouban FMに提供するという珍しい形式の投資を行う。Douban FMはTencent Musicとの提携で、楽曲カタログとプラットフォームの開発、著作権管理を強化することが期待されている。
DNV Music Groupが運営するDouban FMは2009年に設立された中国初のラジオ型音楽ストリーミングサービス。米国のPandoraと同様にリスナーの音楽視聴傾向を解析して曲をレコメンドする独自開発の音楽アルゴリズムがサービスの軸となっている。2018年4月にDNV Music Groupに統合された。
Tencent Musicは中国内でQQ MusicやKugou、Kuwoなどオンデマンド型の音楽ストリーミングサービスやダウンロードサービスを運営する。同社は、2018年12月にニューヨーク証券取引所で上場しIPOで約11億ドル(約1220億円)を調達している。IPO当日、Tencent Musicの時価総額は229億ドル(約2.5兆円)となり、2018年4月に上場したSpotifyに続く大型の音楽サービスのIPOとなった。Spotifyが上場初日に達した時価総額は295億ドル(約3.2兆円)だった。
著作権確保が進む中国の音楽市場
中国では2015年、オンラインプラットフォームに対して違法コンテンツや無許可で使用するコンテンツの削除要請が政府機関である中国国家版権局から下された。
巨額の資金力を持つTencent Musicはユニバーサルミュージックやソニーミュージック、ワーナーミュージックと素早くライセンス契約で合意した。一方、Douban FMなど小規模な音楽ストリーミングサービスは、競合するTencentやNetEaseに対抗するための楽曲の著作権獲得で苦戦してきた。
Douban.FMユーザーは今後、Tencent Musicが配信する楽曲を同社サービスでも利用することとなる。Tencentは楽曲再生からのさらなる売上増加が見込める。
Tencent Musicの投資を受けて、DNV Music GroupのCEO、Tang Ziyu氏は、「TMEとYuxin Capitalは著作権、製品開発、資金の面で多大な支援に感謝します。バージョン6.0のローンチでDouban FMは中国でトップの音楽ストリーミングの一つとなり、引き続きミュージシャンと協力しながら、音楽リスナーにはより良い体験を提供していきます」と述べている。
記事提供:All Digital Music