4000万人以上が使う音楽ストリーミングBoomplayが2000万ドルの資金調達。もはや無視できないアフリカ音楽市場
サブスクリプション型音楽ストリーミングサービスの「Boomplay」が、2000万ドル(約22.4億円)の資金を調達した。2015年に開始したBoomplayは現在まで月間アクティブユーザー4200万人以上に急成長している音楽サービスで、アフリカ大陸で今最大の音楽ストリーミングサービスだ。
ナイジェリアを拠点にする音楽ストリーミングであるBoomplayの特徴は、親会社が中国企業という点だ。Boomplayを運営するTranssnet Music Entertainmentは、中国・深センのスマホメーカー「Transsion」(伝音)と、中国のネットサービス「NetEase」(網易)によるジョイントベンチャーである。Transsionはアフリカで最も人気あるスマホブランド「Tecno Mobile」、「Itel」、「Infinix」を運営している。BoomplayはTranssion社のスマホにデフォルトの音楽アプリとしてプリインストールされて販売されてきたことでアクティブユーザーを拡大させてきた。現在はiOS、Android、ウェブでも利用が可能だ。
アフリカでは、独自の音楽ストリーミングサービスとグローバルのサービスが同時に幾つもローンチしている。Boomplayの他にはSpinlet、Mdundo、Mziiki、uduXなどのアフリカ発の音楽ストリーミングがあり、加えてSpotifyやApple Music、Deezerがアフリカ諸国に展開を急いでいる。
南アフリカにはYouTube Music、Tidal、中国テンセントが運営するJooxも進出している。
日本ではアフリカの音楽市場と言われても、ピンと来る人はほとんどいないだろう。しかし、世界の音楽業界は今、アフリカのローカルマーケットを重要視している。先日発表された、世界音楽市場の最新売上レポートでも、アフリカ大陸は今後成長が期待される音楽市場の一つとしてIFPI(国際レコード協会)や音楽業界が言及している。
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2018年にはBoomplayは、ユニバーサルミュージックとアフリカ複数の国での楽曲配信のライセンス契約を締結した。2019年にはワーナーミュージック・グループともライセンス契約を結んだ。メジャーレコード会社や音楽業界がアフリカ諸国で音楽ストリーミングを実現するためのプラットフォームとしてBoomplayは他社に先駆けて関係作りを強化してきた。
今回、シリーズAの調達ラウンドは、中国の投資会社であるMaison Capital(麦星投資)がリードして、Seas Capitalなどが参加した。2000万ドルの資金によって、コンテンツの権利獲得、サービスの改善、人材獲得などをさらに強化し、アフリカ大陸の音楽市場で市場リーダーの地位を固めるための事業拡大戦略を継続していく。
これまでアーティストや音楽業界は、アフリカのローカルマーケットに進出して、音楽を普及させる方法を模索してきた。同時に、違法アップロードやCD違法コピーといった非合法的な音楽流通にも悩まされてきた。昨今の音楽ストリーミングの利用増加によって、楽曲を配信して収益を上げる新しい方法に注目が高まっている。
記事提供:All Digital Music