インドの音楽ストリーミングGaanaがユーザー数1億人越え、アーティスト向けデータ分析ツール公開へ
インド最大の音楽ストリーミングサービス「Gaana」(ガアナ)は、月間アクティブユーザー数(MAU)が1億人を超えたことを発表した。2018年12月に発表したMAUは8000万人だったことから3カ月で2000万人拡大したこととなる。MAUが1億人を超えたインドの音楽ストリーミングはGaanaが初めてとなる。
Gaanaはまた、アーティストやレコード会社用にGaanaの再生データを分析する新ツール「Artists Dashboard」を提供開始した。Gaanaで配信するアーティストは、楽曲の再生データやリスナーのデモグラフィックデータが一元的に取得できる。インドの音楽ストリーミングでアーティストに再生データ分析ツールを解放するのはGaanaが初めてとなる。
さらにGaanaは音楽に加えて動画に本格参入することを発表した。新しい取り組みとなる「Gaana Video」はモバイルユーザーがメインターゲットとなりGaanaが独自に制作する縦型動画が独占配信される。
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成長著しいインドの音楽市場
2019年に入り、インドではSpotifyとYouTube Musicがローンチした。すでにApple MusicやAmazon Music UnlimitedやPrime Music、Google Play Musicなど、グローバルサービスはインドに進出済みで、競争は近年激化している。
一方、インドで広い人気を獲得しているのは、インド発のローカルサービスで、グローバルサービスに負けずユーザー数を獲得している。業界最大手のGaanaがMAU1億人突破を発表した数日後、業界2位の音楽ストリーミング「JioSaavn」もMAUが1億人に達したことを明らかにした。Gaana、JioSaavnにWynk、Hungamaを加えた音楽サービス4社によるストリーミング競争がインドの音楽市場の成長における大きな要因となっている。世界最大の音楽サブスクリプションのSpotifyはグローバルで有するMAUは2億1700万人だが、インドでの登録ユーザー数は200万人と言われている。
IFPIが先日発表した「グローバルレポート2019」で、インドの音楽市場規模は2018年で1億5600万ドル。世界の売上順に見ると15位で(ドル換算)、14位のスウェーデンと16位のメキシコの間に位置する。インドが注目される音楽市場である理由は、音楽ストリーミング市場の今後の伸びしろが大きいことである。過去数年の間にインドの音楽業界はレコード会社とのライセンス契約を見直し、ストリーミングのビジネス化に向けた対策を行ってきた。そして2018年、インドでは音楽ストリーミングの市場シェアは69.7%まで拡大させた。売上高も1億890万ドルとまだまだ小規模だ。
GaanaのCEOであるPrashan Agarwalによれば、現在インドの音楽ストリーミングは音楽市場全体の10%しか広まっておらず、今後2年から3年かけて2022年までにストリーミングのユーザーは6億人に達する必要があるとBusiness Stanardに語っている。ストリーミングがインドで大きなビジネスに成長するのは明白で、今後数年間で大きく変化する業界であることに間違いない。
つまり、インドで音楽配信するなら、SpotifyやApple Musicに出すことも大切だが、GaanaやJioSaavnに出す方も戦略として重要になってくる。これは日本人アーティストやレコード会社にも同じことが言える。
インドの音楽ストリーミングサービスは、ユーザー獲得を目指し、アーティストやレコード会社とコンテンツの独占契約を結び、ボリウッド映画に関連する楽曲やライブ音源の配信を積極的に行っている。またGaanaなどは楽曲の音声検索も強化している。これはインド国内だけでもヒンディー語に加えタミル語、テルグ語、パンジャーブ語など様々な言語が存在するからで、地方都市での音楽ストリーミングユーザーの獲得が今後活性化していくと予想されている。
記事提供:All Digital Music