Spotify、ポッドキャストのデータ分析ツールを無料提供、音声コンテンツの情報可視化が加速
サブスクリプション型音楽ストリーミングサービスの最大手Spotifyは、ポッドキャスト制作者向けのデータ分析ツール「Spotify for Podcasters」の一般提供を開始した。
このツールでは、ポッドキャスト制作者やメディア、広告主がSpotifyへポッドキャスト番組を直接アップロードするディストリビューション機能に加えて、オーディエンスのデータを詳細に知るためのダッシュボードを装備していることが特徴となっている。Spotifyはこのデータ分析ツールへのアクセスをポッドキャスト配信者に無料で提供する。
ポッドキャストリスナーの視聴時間やアクセスした都市、番組別の再生回数、総リスナー数などのデータが提供され、ポッドキャストの番組制作側とオーディエンスとの更なるエンゲージメントや、新しいリスナーや潜在的リスナーへのアプローチへと活用できるため、配信後の施策や効果検証にも役立てられる。
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音楽ストリーミングの領域ではSpotifyは、アーティストやレーベル、マネジメント向けにリスナー分析ツール「Spotify for Artists」を提供してきた。
ポッドキャストのデータ分析
ラジオやテレビなどの視聴率と異なり、ポッドキャストでは番組を聴いたオーディエンスのデータ分析が実現可能となることがこのフォーマットの強みの一つであり、ポッドキャスト産業が欧米で急成長する理由でもある。
Spotifyの分析ツールは配信者に無料で提供されるが、ポッドキャスト業界ではすでに多くの配信ツールやプラットフォーム内で使える分析ツールが提供されている。配信プラットフォームも細分化や機能の拡充が進んでいるが、同時に分析ツールも独自の強みや特徴を打ち出す企業が増えている。
ポッドキャストのプラットフォームを探すにも、すでにその数は数え切れないほど増えているため、選ぶのも苦労するかもしれない。
代表的なプラットフォームではPodbean、Simplecast、Transistor.fm、Audioboom、Acast、Megaphone、Libsynなどがあり、その他に無料でも使えるAnchor、さらにはSoundCloudもポッドキャストの配信ツールとして人気だ。
PodbeanやSimplecast、Transistor.fm、Anchorなどはプラットフォーム内でデータ分析ツールも提供している。
プラットフォーム以外では、ポッドキャストや音声コンテンツ専用の分析ツールも存在する。PodtracやChartableはこのカテゴリーに入る。
データを獲得することが必ずしもポッドキャストのゴールではない。だが、番組がいかにして短期的、中長期的に聴かれているかを詳細に理解できるため、個人だけでなく企業やメディアはポッドキャストを活用したブランディングやオーディエンスの獲得、広告の獲得に繋げることができる。
音楽とポッドキャストの統合進む
2019年、Spotifyが注力する新たな事業の柱は「ポッドキャスト」だ。今年に入りSpotifyは「オーディオ・ファースト」戦略を打ち出し、音楽だけでなく、あらゆるオーディオ・コンテンツがSpotifyの未来であるというビジョンを示した。この戦略を加速するためにSpotifyが本格的に取り組むのがポッドキャストである。
すでにポッドキャストを配信してきたSpotifyは、アップルに次ぐ世界規模のポッドキャスト配信プラットフォームに成長してきた。同社はさらなる成長を目指して、人気のポッドキャスト番組を制作するメディア「Gimlet Media」や、配信アプリ「Anchor」、ハイエンドな番組制作で評価の高いメディア「「Parcast」を買収した。
この新戦略は、同社内にも大きな変化をもたらした。
例えばSpotifyは現在、世界各地のオフィスでポッドキャスト専任の人材を探している。
募集する職種も多様で、Spotify独自のオリジナル番組のプロデューサーや編成担当、ニュース専門、スポーツ専門の番組プロデューサー、制作陣のキャスティングと多岐に渡る。このような人材獲得を進めるSpotifyは近い将来、音楽以外のジャンルでもオリジナルなポッドキャスト番組の制作と配信を本格的に始めることが予想される。
またSpotifyはすでにアプリのアップデートで、ポッドキャストを強調して、番組を見つけやすいデザインに変更した。さらに6月には、ユーザーの属性や好みに最適化したポッドキャストのプレイリストも始めている。
記事提供:All Digital Music