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SoundCloudがiPhoneアプリを刷新、マネタイゼーションは模索中

コラム All Digital Music

世界のクリエイターを支援するSoundCloudがiPhoneアプリを刷新、創始者は「マネタイゼーションを現在テスト中」

SoundCloudがiPhoneアプリをアップデートしました。

新アップデートはSoundCloudでの「視聴体験」にフォーカスしています。アプリからは音を録音しSoundCloudにアップロードする機能が削除されました。その代わりに、リスニングに最適な機能を3つにまとめたシンプルなデザインに大きく変更されています。

SoundCloud

一つは自分がフォローするアーティストや人気の楽曲、友人が聴いた楽曲が流れてくる音楽フィード。2つ目は検索。3つ目はユーザーのプレイリストやお気に入りに追加した楽曲にアクセスできるプロフィール・セクション。

またこれまでのiPhoneアプリと違って、ユーザーはSoundCloudにログインする必要なくアプリを利用できます。

SoundCloudのAndroidアプリも間も無くアップデートされます。

ベルリンに拠点を置くSoundCloudはミュージシャンやレーベルが自由に音源をアップロードし共有出来るプラットフォームとして、エレクトロニックミュージックからヒップホップ、ロックまで幅広いミュージシャンやリスナーが利用しています。

2008年に開始したSoundCloudはYouTubeに次いで世界で2番目に巨大な音楽ストリーミングサービスです。SoundCloudの月間リスナー数は現在2億5000万人以上で、毎分12時間分のオーディオがSoundCloudにアップロードされています。SoundCloudによれば、アップロードされた楽曲の90%以上が再生され、また楽曲の半数がアップロードされてから1時間以内に再生されています。

SoundCloudでは、モバイルアプリからの視聴は6カ月前までは約半数でしたが、現在では全体の約2/3に上昇しており、モバイルユーザーの急成長が伺えます。

SoundCloud共同創業者でチーフ・テクノロジー・オフィサーのエリック・ウォールフォース (Eric Wahlforss)は、ガーディアン紙のインタビューで

「これは、私たちが目指すリスナー体験の変化を示した現在進行形と言えます。もっとビジュアル的にシンプルにできるか? もっと簡単に音楽を見つけ聴くことができ、コレクションを作りまた聴くことができるようになります。

古いアプリは結構長い間そのままでしたですので、変える時が来ました。私たちはゼロから作りなおしました。以前よりはるかに安定しているので、新機能を素早く展開することが可能になりました。アプリをよりシンプルにまとめることは将来デスクトップでの仕様に影響を与えると思います。

私たちは急速に成長しており、その成長の核はモバイルです。ですのでほとんど全ての労力をモバイルでのリスナー体験に当てています。

私たちにはまだまだやることがあります。そしてこのアップデートはその第一歩です。SoundCloud創設からはじめの5年間はクリエイターのコミュニティ構築に注力してきました。そして今私たちはリスナーにフォーカスしています。クリエイターはオーディエンスをSoundCloudで獲得しファンとのつながりを作りたいと行っています。私たちができる最良のアプローチは、より大きなオーディエンスを呼ぶことです。」

と現在のビジネスについて答えています。

SoundCloudはインディーズアーティストがブレイクするキッカケを作る、重要なプラットフォームでもあります。今年グラミー賞を受賞した新人アーティストのロードは、世界的なヒットとなった「Royals」を含むEP「The Love Club」を2012年にSoundCloudでアップロードしたことで、注目を集め始めました。

SoundCloudでのマネタイゼーションの可能性は?

SoundCloud

Spotifyなど音楽ストリーミングと異なり、現在SoundCloudはレーベルやパブリッシャー、権利関係者にロイヤリティを支払っていません。

去年から大物アーティストやレーベル関係者がSpotifyや音楽ストリーミングサービスからのロイヤリティ料支払いが少ないことを非難する声を上げ、世界の音楽業界ではマネタイゼーションが大きな議論に発展しています。そんな中でSoundCloudはアーティストへのマネタイゼーションをどう考えているのでしょうか?

ウォールフォースは

「今、アメリカで異なるマネタイゼーションのアプローチを実験中です。さまざまなやり方をテストしているところです。今後の見通しにはとてもワクワクしています

数百万規模のリスナーやフォロワーを抱えているなら、マネタイゼーションについて考えるはずです。その声は私たちにもはっきり届いています。

現在私たちはブランドと一緒にいくつかの異なるプロダクトをテストしています。ネイティブ広告も進めています。その他にも幾つか開発を進めています。

詳しくは話せませんが、大規模なローンチはまだしていません。しかし私たちは、マネタイゼーションの要素の入った、エレガントで邪魔のないオープンなユーザー体験の構築を目指しています。」

と答え、マネタイゼーション機能をテストしていることを言及しました。

もしSoundCloudは現在のモバイルユーザーを増加できれば、このモバイルアプリがアーティストとファンのエンゲージメント、そしてマネタイゼーションの中心になるかもしれません。これについてウォールフォースはインタビューで

「何人かのアーティストはすでに、誰もが参加でき最新の音源に素早くアクセスできるリアルタイムな表現プラットフォームのアイデアを理解しています。これが私たちが目指していることです。そして私たちは、このパラダイムを受け入れるアーティストやレーベルがSoundCloudのプラットフォームで勝ち残れると考えています。」

と、SoundCloudが多くのクリエイターを支援するデジタル・サービスであることを強調しました。

■記事元http://jaykogami.com/2014/06/8094.html


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Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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