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トレント・レズナー、中心となってアップルの定額制音楽ストリーミングを開発か

コラム All Digital Music

世界の音楽界が注目するアップルの定額制ストリーミング、開発の中心人物はNINのトレント・レズナーであることが判明

日本だけでなく世界でも音楽ビジネスは、変革の時が来ています。

アメリカの音楽業界で今、深刻な悩みといえば「ダウンロード売上の低下」です。2014年には前年比8.7%減少、細かく見るとアルバムダウンロードは6.6%、トラックダウンロードに至っては10.1%と急速な減少が止まりませんでした。

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この影響をいい意味でも悪い意味でも最も受けているのは、アップルとiTunesビジネスです。

ダウンロードの低下は世界最大の音楽ストアiTunesでの音楽売上が不調に終わっていることを意味し、このことから音楽戦略の大幅な見直しに迫られています。

音楽業界が注目する次の一手の一つに、そのアップルの新戦略があります。アップルは昨年ハイエンド・ヘッドフォンBeats by Dreブランドを運営する「Beats Electronics」を買収、さらに定額制音楽ストリーミングサービス「Beats Music」も併せて30億ドル(3000億円)で買収。これによって業界では、アップルが長年挑戦してこなかった定額制音楽サービスにようやく参入する準備ができたとして、下がり続けるiTunesの他の収益源として期待が高まっています。

アップルの事情に詳しいソースによれば、新しい音楽ストリーミングサービスの開発で中心的役割を背負っているのは、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーだと言われています。

トレント・レズナーはBeats Musicの元チーフ・クリエイティブ・オフィサーであり、過去にも自社サイトからの配信など、業界のルールに縛られない独自の手法で音楽ビジネスを考えてきたアーティストです。

ニューヨーク・タイムズによると、トレント・レズナーは「音楽アプリのデザイン再考において重要な役割をになっており、プロジェクトの『ポイントマン』である」と説明しています。

アップルの製品開発

これまでテック業界ではアーティストやセレブを巻き込んだ製品開発やマーケティングは当たり前のように実施されてきました。BlackBerryがアリシア・キーズと、レノボはアシュトン・カッチャーとパートナーシップを組んだ過去があります。

しかしアップルとなると、他の企業とは全てが異なるストーリーになります。アップルはこれまで製品デザインやユーザーエクスペリエンスに至る細いディテールまでをアップルのエキスパート達が管理してリファインしてきたことは有名です。

アップルが今後の音楽戦略で鍵になるかもしれないサービスのデザインを、アップル社員でもないロックスターに担当させるなど、これまでのアップルではありえないことです。

アップルの音楽ストリーミングサービスは月額9.99ドル、有料のみでフリーは提供されない予定です。音楽業界、特にレコード会社にとってこのモデルは収益面でも有利に働くと見られ、競争の多い音楽ストリーミングの分野で違いを生み出すためのステップと見られています。

ただ個人的に、新しい音楽ストリーミングサービスはiTunesの売上低下に置き換わるサービスだとは思っていません。むしろ、アップルはこの新サービスによって、音楽ビジネスのエコシステム全てを巻き込もうと計画していると考えています。

新しい音楽サービスは「Beats Music」の愛称ではなく、「iTunes」ブランドに統合されると噂され、iOS以外のAndroidでも提供される予定だそうです。これによって、これまでリーチできなかった層、特にモバイルユーザーの獲得が期待されます。また、これまでアップルはフリーの音楽ストリーミング/ラジオサービス「iTunes Radio」を世界で提供してきました。今回のサービスはこれら2つとも完全に異なるモデルのため、アップルは、

ダウンロード=iTunes
無料=iTunes Radio
有料=Beats Musicベースの音楽ストリーミングサービス

という音楽サービスを網羅したオプションをユーザーに提供できるようになるからです。アップルによって、今年はアップルによってデジタル音楽サービスの世界地図がまた塗り替わる予感がしますね。

■記事元http://jaykogami.com/2015/04/11022.html


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Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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