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エアロスミスのギタリスト「ジョー・ペリー自伝~エアロスミスと俺の人生」が出版

コラム 高橋裕二の洋楽天国

エアロスミスのギタリスト「ジョー・ペリー自伝〜エアロスミスと俺の人生」が出版

昨日(5月21日)、ヤマハミュージックメディアから「ジョー・ペリー自伝〜エアロスミスと俺の人生」が出版された。エアロスミスのギタリスト。アメリカでは昨年(2014年)に出版され、米アマゾンのレビューでは、全219中5星が156、1星は2個しかない。

当ブログ筆者の40年以上前からの知り合いの森幸子が翻訳し、前むつみが翻訳コーディネートをしている。エアロスミスの日本での担当ディレクターは野中規雄。CBSソニー(現ソニーミュージック・エンタテインメント)時代の後輩だ。

ミュージシャンの自伝本は様々な角度から見る事が出来るのだろう。 1番最初にエアロのファンが、そしてロック・ファンが、また筆者のような業界関係者が、これから音楽で飯を食っていこうかと悩む若者が、それぞれにこのジョー・ペリー自伝本を楽しむ事が出来る。

最初に筆者が思ったのは、ケント州立大学出の父と名門ボストン大学出の母が、息子が高校卒業前に中退するという事とミュージシャンで食っていきたいという夢に対応して送り出すという事は、40年も前であれば大変な事だったんだろう。

この自伝を読んで、ジョー・ペリーは素直な人なんだなあと思った。ビートルズをエド・サリバン・ショーで見てミュージシャンになる事を決めたとか、ジェフ・ベックのライブが終わった後、楽屋口で握手してもらうとか。

ジョー・ペリーが高校(ヴァーモント・アカデミー)で聴いていた音楽が、ママス&パパスの「夢のカリフォルニア」やビーチ・ボーイズの「グッド・ヴァイブレーション」やラヴィン・スプーンフルの「サマー・イン・ザ・シティ」。筆者も聴いていたヒット曲。なんとなく親近感がわく。

スティーヴン・タラリコ(スティーヴン・タイラー)との出会いが面白い。

レコード会社の幹部で登場するのはCBSレコードのクライヴ・デイビス社長とゲフィン・レコードのデヴィッド・ゲフィンだ。クライヴには好印象を持つが、デヴィッド・ゲフィンは会社が大きくなったら売っぱらう奴と見ていた。実際彼のアサイラム・レコードはイーグルスやジャクソン・ブラウンに加え、リンダ・ロンシュタットやジョニ・ミッチェルを他のレコード会社から移籍させ、その後会社を売却し、大金を得る。同じ事をゲフィン・レコードでもやる。ジョーは自伝で、「一切クリエイティブな作業をせず、会社を売り買いするだけで大金をせしめる」と書く。

クライヴ・デイビスの自伝本「The Sound Track of My Life」によると、クライブは1972年にニューヨークのマクシズ・カンザス・シティで初めてエアロスミスのライブを見た。その夜に出る別のバンドが目的だったがエアロに魅了され即契約し(これがまた奇妙な契約なのだが)、1500万円(1$120円換算)の印税前渡し金を払う。

しかし1973年のデビュー・アルバム「野獣生誕」から、CBSレコード時代は1回もビルボード・アルバム・チャートの1位になった事がなかった。20年後の「ゲット・ア・グリップ」で初めて1位になる。このアルバムは1993年、ゲフィン・レコードから発売された。ジョー・ペリーは自伝で、ゲフィン・レコードのA&R(制作マン)であるジョン・カロドナーに少なくないページを割いている。「ゲット・ア・グリップ」が完成間近のミックスを聴いて、カロドナーは不満だったという。テープを持ち帰ったカロドナーからの電話は、「わかったぞ。楽曲自体はすばらしい。レコーディングのせいだ」。その後またミックスを行い、アルバムは全米ナンバー・ワンになる。

プロデューサーでもない、一介のレコード会社制作マンにこれだけの信頼を寄せる。日本でジョン・カロドナーに会った事があるのは評論家の伊藤政則くらいかもしれない。筆者も1度だけゲフィン・レコードのオフィスで会った事がある。ロサンゼルスのサンセット大通りを挟んで、タワー・レコードの斜め前にあった。エイジアのデビューの頃で、ジョン・カロドナーに会った。CBSソニーとゲフィンが共同でホワイトスネイクのプロジェクトをやる前だった。風貌は長いあごひげを伸ばしたユダヤ教の牧師。物静かだが何か強い意志が感じられた。

ところで今回この自伝を読んで驚いた事。エアロスミス最大のヒットになったシングル「ドリーム・オン」がサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」の大ヒットの秘密と同じ事だった。

是非一読を。

ジョー・ペリー自伝〜エアロスミスと俺の人生 ー ヤマハミュージックメディア
http://www.ymm.co.jp/p/detail.php?code=GTB01090569

記事提供元:洋楽天国

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