Shazamの他社を圧倒するユーザー数と経営状況の裏側
音楽認識アプリ「Shazam」の他社を圧倒するユーザー数と経営状況の裏側
音楽認識アプリShazamが提出した2014年度の会計報告で、ShazamのユーザーはSpotify、Apple Music、Deezerを合計した数を上回ると最新レポートが報告しています。
ロンドンに拠点を置くShazamが英国企業登記所に提出した書類によれば、2014年度(2013年7月〜2014年6月)の12カ月でShazamの月間ユーザー数は1億2000万人に到達する規模に成長していることが明らかにされています。これは世界で注目される音楽サービスと比較しても、かなり巨大な数値です。公表されているSpotifyのアクティブユーザーは7500万人、Deezerは1600万人、Apple Musicは正式な数字は明かされていませんが推定で11万人という調査結果があります。
他社を大きく凌駕するユーザー数とは裏腹に、Shazamの純損失は1484万ポンド(約27億円)で同社の過去最大記録、2013年度に計上した純損失198万ポンドから158%と大きく拡大しています。Shazamは近年は毎年赤字経営を続けており、最後に利益を計上したのは2006年まで遡らなければなりません。2014年度のShazamの売り上げは113%増加して3600万ポンド(約6557億円)でした。
最近Shazamが受けた投資では、2014年3月にClifton Capitalがリードしたファンド1000万ドルと、2015年1月にZCP Holdingsがリードしたラウンドで4890万ドルの資金を調達して、企業価値は10億ドル(1ビリオン)に達しています。
英語圏では「Shazamする」が動詞として成立するほど、一般に広く認知されている音楽アプリだけに、一見すると黒字化してもおかしくないと思ってしまう人も多いはず。Shazamにとって、iPhone登場とともに獲得した音声認識アプリとしてのトップの地位を維持し続けることは、将来の成長に向けて必要不可欠。最近ではビジュアル認識技術をアプリに組み込むなど、オーディオ認識技術だけに依存しない製品開発に余念がない状態が続いています。またShazamはテレビや広告業界向けにソリューションの開発を進め、大手ブランドや人気イベントのプロモーションを展開するなど競争力を強めています。
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1億2000万人にまで成長したユーザーは一日のアプリ・インタラクション件数も1700万件から2000万件に増加させる原動力となっています。多くの投資家を引き寄せる理由も、Shazamが将来利益を生み出せる可能性があるからであり、そのための損失は避けられないというのが現状でしょう。
■記事元:http://jaykogami.com/2015/09/11986.html
記事提供:All Digital Music
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