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【海外】J .ビーバー新作「パーパス」が映画イベントチケットとセットで発売、チャートへの影響は

コラム 高橋裕二の洋楽天国

ビルボード・アルバム・チャートは、実物のCD売り上げ、iTunesストアー他の有料ダウンロードと定額制音楽ストリーミング・サービスのオン・デマンドによるアルバム聴取回数で作成される。

今日(11月13日)同時に発売されるジャスティン・ビーバーとワン・ダイレクションのニュー・アルバム。1位獲得なら、ジャスティン・ビーバーは3作連続の1位、ワン・ダイレクションは5作連続の1位となる。ラジオ業界誌ヒッツが予想していたとおり、ジャスティン・ビーバーのチケット販売とアルバム販売が一緒になったものが発表された。具体的にはジャスティン・ビーバーのダンス映画「パーパス」の初上映と、ゲスト・アーティストの登場と、ジャスティン自身が答える「質問コーナー」のセットに18ドル(2160円)を払ったら入場できる。しかしコンサートをやるわけではない。そして、あと4ドルを加えた22ドル(2640円)を払えばでCD「パーパス」が付いてくる。

アルバム発売日の今日13日、ジャスティン・ビーバー・チームはロサンゼルスのステイプルズ・センターで上記のイベントを午後の2時30分から予定していた。しかしそれに6時と9時30分の2回が追加された。ステイプルズ・センターのキャパは18,118席。3回のイベントが満席になったら54,354席となる。そのうち何人がCD付きの入場券を購入するのだろうか。アマゾンでCDを買えば13.99ドル。iTunesストアーのダウンロードで12.99ドル。それに比べたら4ドルは安い。

加えてビルボード・アルバム・チャートに集計される最初の1週間の期間内で、このイベントが11月18日のシカゴのオールステイト・アリーナと、19日のヒューストンのトヨタ・アリーナで行われる事も発表になった。

以前マドンナがアルバム「MDNA」とコンサート・チケットを一緒に販売し、ビルボード・アルバム・チャートで初登場1位になった。レコード実売調査会社サウンドスキャンからの実売枚数データは359,000枚。2位のライオネル・リッチー「タスキーギ」の199,000枚に大差を付けた。

しかし本当に359,000枚が売れた訳ではない。米国在住者はアメリカで行われるマドンナのコンサート・チケットをオンライン上で購入すると自動的にiTunesにアクセス出来、無料でアルバム「MDNA」をダウンロードすることが出来る。実物のCDがただで貰いたかったらコンサート・チケットを買った「チケットマスター」に住所をメールすれば送ってくれる。コンサート・チケットのおまけで「MDNA」がもらえる。レコード会社や音楽事務所は、無料とかタダと言うのは間違っていると主張。あくまでもコンサート・チケットとアルバム「MDNA」を「バンドル(Bundle)」して販売したものだと強言した。

TVゲームの世界では「バンドル」はよくある手法だ。ひとつの製品に他の製品を付属させるという意味。任天堂が新しいゲーム機を発売する時に「マリオ」のソフトを「バンドル」する。消費者は人気の「マリオ」が付いていて、ゲーム機単体と値段が変わらないので大きな購買動機になる。

ビルボード誌はバンドル(おまけ)によるマドンナの「MDNA」を、実売調査会社サウンドスキャンのデータからバンドル分は185,000枚以内とし、359,000枚から例えば180,000枚を引くと消費者が有料で買ったアルバム枚数は179,000枚だと指摘。そうなるとライオネル・リッチーの「タスキーギ」の199,000枚がビルボード・アルバム・チャートの1位になっただろうと書いた。チャートを作ったビルボード誌自身が言うのもなんか変だが。

米国アマゾンが2011年に、レディー・ガガのアルバム「ボーン・ディス・ウェイ」を発売日(5月23日)の1日だけデジタル・ダウンロードを99セントで特売した。「ボーン・ディス・ウェイ」の発売日1週間の売上は111万1千枚。ビルボード・アルバム・チャートで初登場1位になった。内訳はデジタル・ダウンロードによる売上が66万2千枚でCDの売上が44万9千枚だった。ビルボード誌はこのレディー・ガガ事件を踏まえて、発売から4週間以内の、価格が3.49ドル以下での販売の場合はチャートにカウントしない事を決めた。しかし今回のジャスティン・ビーバーのイベントおまけアルバムは4ドルなので、ここはクリアーする。

ここまでして、果たしてジャスティン・ビーバーはワン・ダイレクションに勝てるのだろうか。1位になれなかったらダメージは大きい。速報は来週の月曜日に出る。

記事提供元:洋楽天国


高橋裕二氏インタビュー

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