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グレイトフル・デッドのドキュメンタリー映画が来年のサンダンス映画祭でプレミア公開決定

コラム 高橋裕二の洋楽天国

サンダンス映画祭は1年で最も早く開催される映画祭。俳優ロバート・レッドフォードの提唱で始まった。開催地はユタ州のリゾート地パークシティ。普通の映画祭に比べて、問題作が多くプレミア公開される。2017年は1月19日から29日迄開催される。

音楽関係のドキュメンタリー映画では2012年、「シュガーマン 奇跡に愛された男」が「ワールドシネマ ドキュメンタリー部門 審査員特別賞」を受賞した。母国アメリカでは全く無名のミュージシャンのロドリゲスの数奇な人生を追ったドキュメンタリー映画。サンダンス映画祭の受賞で火が付き、その後第85回アカデミー賞で「ドキュメンタリー長編賞」を受賞した。

グレイトフル・デッドのドキュメンタリー映画「The Grateful Dead, Long Strange Trip」が来年のサンダンス映画祭でプレミア公開される事が決まった。監督はハリケーン・サンディの被災地支援のためのチャリティーコンサートのドキュメンタリー映画「121212 ニューヨーク、奇跡のライブ」のアミール・バーレフ。

グレイトフル・デッドは1965年、ベトナム戦争反対運動で、ヒッピーによる派兵への反対を旗頭にしたフラワー・ムーブメントが巻き起こるサンフランシスコで結成された。正確には現在IT産業で栄えるシリコンバレーの北のパロ・アルトだ。近郊には名門スタンフォード大学がある。サウンドはロックやフォークやジャズやカントリーが混じるもので、即興演奏を得意とし、サイケデリック・サウンドと呼ばれた。1967年、アルバム「ザ・グレイトフル・デッド」でデビューする。

当時からすると彼等の活動はあまりにも異質で、シングルをヒットさせるわけでもなく、アルバムは余り売れず、しかしコンサートはいつも満員だった。そして最も奇異なのは、観客にカセットで演奏を録音する事を認めた事。観客は他のデッドのコンサートを録音した友達とテープ交換をする。デッドの場合即興演奏(アドリブ)が長いので、コンサートが異なれば演奏も異なる。そしてファンは意見交換しながらますますデッドにのめり込む。デッドとしてはコンサート・チケットが主な収入源だ。

遙か昔のやり方だったが。今U2はアルバムが売れず、新作をiPhoneのおまけにした。マドンナもアルバム売り上げは不調で、アルバム「MDNA」をコンサート・チケット購買者にタダでダウンロードさせた。U2もマドンナもグレイトフル・デッドもコンサートで稼ぐのは一緒だが、音楽業界用語で言えば、グレイトフル・デッドは「ファン・ベース」のやり方。ファンを大事にして大きくなっていく。昨年(2015年)夏、リーダーのジェリー・ガルシアは亡くなっているが、結成50周年を記念して大がかりなスタジアム・コンサートを開いた。この模様もドキュメンタリー映画に収められるようだ。

記事提供元:洋楽天国


高橋裕二氏インタビュー

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