インディーズ音楽とレーベルを支援。Merlin、アフリカ最大のストリーミング「Boomplay」とライセンス契約で合意
インディーズレーベルやディストリビューターのデジタルライセンス交渉団体Merlin(マーリン)は、アフリカ最大の音楽ストリーミング/ダウンロードサービスのBoomplay(ブームプレイ)とライセンス契約で合意した。
現在Merlinに参加するインディーズレーベルやディストリビューターの数は、世界で2万社以上まで増加している。アフリカでの配信によって、インディーズアーティストやレーベルは新たな収益源の可能性が拡がることとなる。
Boomplayは2019年11月の時点で6200万人以上のユーザーを保有している音楽サービスで、ストリーミングでの配信のみならず、ミュージックビデオの配信、ダウンロードも提供する。現在ではカメルーンやガーナ、コートジボアール、ケニア、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、タンザニア、ウガンダ、ザンビアで1000万曲以上を配信している。
なおBoomplayはアフリカに拠点をおくが、親会社は中国のモバイルメーカーTranssion(伝音科技)と、中国のネット企業NetEastによる合弁会社Transsnet Musicによって運営されている。
アフリカは近年、2020年以降に最も成長する音楽市場の一つとして、早くから音楽業界に注目されてきた。特にストリーミングサービスが普及していくことでの収益拡大が見込まれる。その中でも大手サービスであるBoomplayは、すでにメジャーレコード会社が提携を進めている。
2018年以降、ユニバーサルミュージック、ワーナーミュージックとソニーミュージックが現在までにそれぞれBoomplayとライセンス契約で合意した。
また世界中のレーベルやアーティストと契約するフランスのディストリビューターBelieve Digitalをはじめ、AfricoriやFreeme Digital、TuneCoreなどのディストリビューターとも契約を結んでいる。
勿論アフリカから大きな売上を数年で実現することは難しいはずだ。しかし、膨大な楽曲カタログの配信がBoomplayで始まったことによって、世界的なアーティストや若手の新人アーティストたちはアフリカ諸国でストリーミングでも成功する機会が増えたこととなり、レーベルはBoomplay経由でアフリカ大陸に向けたマーケティングを展開することが可能になった。ストリーミング戦略のグローバル化とローカル市場へのリーチがさらに進められるという期待が高まる。
また近年、メジャーレーベルはアフリカ出身のアーティストやソングライターの育成にも着手しており、レーベルやディストリビューションの機能に加えて、音楽出版やライブイベント制作、ブランドパートナーシップ、マーチャンダイズなどの領域も強化し始めている。
ストリーミングによる世界進出戦略は、これまでのような国単位から進出だけでなく、大陸から都市といった地域的に細分化が進んでいる。近年ではストリーミングの世界戦略では東南アジアや南米、アフリカ、中東といった地域が注目されるが、これらの地域は独自の音楽文化や音楽コンテンツの消費がある。そこで人気を集めるアーティストや曲のスタイルやジャンルは欧米のチャートに並ぶ曲ともやや違うところが今までは目立っていたが、そうした人気がストリーミングによって他国に波及する可能性も拡がっただけに、レコード会社は大陸や地域といった領域を軸にした戦略や効果的なマーケティングも今後強化していくはずだろう。
記事提供:All Digital Music
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