ソニーミュージック、ポッドキャストをさらに強化。「音声コンテンツ」が盛り上がるイギリスの業界大手と組む
ソニーミュージックUKは、ポッドキャストの展開をさらに加速させている。
ソニーミュージックは、イギリスでオーディオコンテンツやラジオ番組を手掛ける、独立系制作スタジオ大手「Somethin’ Else」とポッドキャストコンテンツ制作のクローバルパートナー契約を締結した。
ソニーミュージックUKとSomethin’ Elseは共同でオリジナル・ポッドキャスト番組を制作するが、ジャンルは音楽に限らず、多方面に広げていく。ソニーミュージックUKは、コンテンツ制作とマーケティング、マネタイズに関する専門知識を提供していく。音楽ストリーミングや、コンテンツのグローバルディストリビューションで蓄積してきた同社のプラットフォーム、クリエイティブ、IP戦略も、今後はポッドキャストに応用されていくと思われる。
このパートナー契約では、ソニーミュージックUKとSomething’ Elseはポッドキャストのグローバル展開も視野に入れて活動する。
ロンドンを拠点にするSomethin’ Elseは、ニューヨークにオフィスを開設することがすでに決まっており、ポッドキャストやオーディオコンテンツ市場が急成長するアメリカに事業を拡大する。
1993年からイギリス人DJのジャイルス・ピーターソンのラジオ番組や、BBC Radio 1のミックス番組「Essential Mix」などを手掛けてきたSomethin’ Elseは、ラジオやテレビ業界内で高く評価されており、現在はポッドキャスト番組制作の分野で、イギリス大手スタジオの一つと見なされている。クライアントには、BBC、エコノミスト、Spotify、Amazon Audible、ランダムハウスなどがある。
ソニーミュージックは昨年から、新規事業としてポッドキャストの制作会社やプロデューサー、ポッドキャスターへの投資を続けている。2019年5月に、ソニーミュージックはアメリカでポッドキャスト・プロデューサーのAdam Davidson、Laura Mayerとジョイントベンチャー「Three Uncanny Four」を立ち上げたのを皮切りに、ロサンゼルスのポッドキャストスタジオ「Neon Hum」へ戦略的投資を行うなどして、急成長中のオリジナル音声コンテンツビジネスに参入した。
またソニーミュージックUKも、イギリス人ポッドキャスト・プロデューサーのRenay Richardsonとジョイントベンチャー「Broccoli Content」を立ち上げた。
さらには、自社内のクリエイティブエージェンシー「4th Floor Creative」に、「ポッドキャスト・クリエイティブ戦略」部門を作るなどして、人材確保を急いでいる。
イギリスでは、従来からラジオ番組がメディアとして存在感を発揮してきた。そして近年は、ポッドキャストへの需要が高まりつつある。
2019年には、音楽ストリーミングやポッドキャスト、デジタルラジオを含むオーディオコンテンツの消費料は、週間で2830万人にリーチするまで拡大している。この数値はイギリスでは過去最高となり、イギリスの成人の50%以上が、何らかのオーディオコンテンツを毎週消費している計算になる。
こうしたオーディオコンテンツの消費者の変化に、イギリスのラジオ局やメディアが対応し、成果を出し始めたことが、結果的にポッドキャスト人気をさらに加速している。
イギリスの公共放送局BBCが展開するプラットフォーム「BBC Sounds」では、ラジオ番組のリアルタイム配信に加えて、ラジオやポッドキャストのオンデマンドでのストリーミング再生が人気を集めており、これらのコンテンツのみで2019年10-12月には1億再生以上を記録した。
ポッドキャストを配信する、プラットフォーム企業もポッドキャスターやスタジオ向けに様々なアプローチを仕掛けている。
ポッドキャスト配信プラットフォームの業界2位のSpotifyは、ポッドキャスターやスタジオ向けに、音声コンテンツのデータ分析ツール「Spotify for Podcasters」を提供したり、コンテンツ配信や広告掲載を可能にするモバイルアプリ「Anchor」の運営会社を買収するなどして、ポッドキャスターに対するツール提供を強化している。
記事提供元:All Digital Music
Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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