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新型コロナ対策でアーティストを財政支援。21億円の楽曲ロイヤリティ前払いを始めた、音楽の金融機関Sound Royalties

コラム All Digital Music

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アーティストや作曲家の資金繰りを専門的に支援する、音楽業界に特化した米国の金融機関、Sound Royalties (サウンド・ロイヤリティズ)は、新型コロナウイルスの感染拡大で音楽活動に被害を被ったアーティストや作曲家を支援するために2000万ドル(約21億円)の緊急ファンドを新たに設立して、現金を前払いするプログラムを立ち上げた。

Sound Royalties

Sound Royaltiesの緊急資金援助プログラムでは、審査に通ったアーティストや作曲家、プロデューサーなどがロイヤリティの融資を受けることができる。対象のアーティストは12カ月の返済スケジュールで借入金を返済する。Sound Royaltiesはゼロ金利で資金を融資し、追加手数料などを一切排除する。

申請は4月16日の期限または、資金の分配が終了するまで、プログラムは続く。

なぜSound Royaltiesなのか?

Sound Royaltiesは2014年に設立。アーティストや作曲家、プロデューサーが著作権を手放さなくても音楽活動を続けけることを経済的に支援する、音楽専門の金融サービスだ。

これまでの音楽業界の契約では、アーティストや作曲家はレコード会社または音楽出版社とレコード契約で合意してアドバンスを受ける代わりに、著作権を企業が保有することとなる。共同で保有する場合もあるが、アーティストが100%保有することは滅多に無い。著作権を保有できなければ、アーティストが望む音楽活動や、作品発表の機会が失われていく。アーティスト活動の選択肢も企業主体で決められ、クリエイティブの自由が減っていくという課題がある。

こうしたメジャーレコード会社との契約のデメリットを避けるため、インディーレーベルやインディーパブリッシャーと契約したり、インディペンデント・アーティストとしてDIYな活動に進む人も少なくない。しかし問題は、音楽活動を続けるための資金繰りとなってくる。

Sound Royaltiesはアーティストやプロデューサー、作曲家がレコード会社や音楽出版社、ディストリビューターから受け取るロイヤリティ分配や、作品を登録するASCAPやSESAC、SoundExchangeなど著作権管理団体に受け取るロイヤリティ料をアドバンスで支払う。

レコード会社の契約と異なり、Sound Royaltiesは著作権を保有することも、融資の担保にすることもない。アーティストたちに対して、ロイヤリティ額に応じたアドバンスを、3000ドル(約32万円)から数百万ドル単位で前払いする「ロイヤリティ・ファイナンス」を提供する。アーティスト・ファーストな資金繰りのオルタナティブを提供することで評価されてきた。

これまでSound Royaltiesを使ってきたアーティストやプロデューサーは多数にのぼる。著名なアーティストでは、DJ Khaledやリル・ウェイン、Pitbull、TheBlack CrowesのRich Robinson、Makeba Riddick、WyclefJean、Malik Yusefなど、グラミー賞受賞のアーティストや作曲家が、著作権を保持し続けながらビジネスを拡大する手助けを行っている。

Sound Royaltiesの創業者兼CEO、Alex Heicheはファンド設立の背景について「全国ツアーから地元のライブハウスまで、ライブビジネス業界は新型コロナウイルスによって突然大きなダメージを負いました。ライブツアーの収入が必要なクリエイターたちや音楽業界への影響は計り知れません。私たちはクリエイティブコミュニティを支持し、前代未聞の障害で生じた負担を少しでも和らげます」と語っている。

ロイヤリティ・ファイナンスをアーティストや作曲家に提供する金融機関はSound Royalties以外にも、Royalty Exchangeや、Lyric FinancialRoyalty Advancesなどがある。

デジタルディストリビューターの中にも、アーティストにロイヤリティをアドバンスで支払うサービスも増えてきている。AmuseやKobalt Music、CD Baby、TuneCore (Lyric Financialがバックエンドで提供)など、ロイヤリティの前払いを行っている。

jaykogami 記事提供元All Digital Music
Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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