テイラー・スウィフトの原盤権騒動
映画業界誌ヴァラエティが月曜日(11月16日)、スクーター・ブラウンがテイラー・スウィフトのカタログをシャムロック・ホールディングズに売却したと伝えた。
スクーター・ブラウンはジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデのマネージャー。投資ファンドをバックに昨年6月、テイラー・スウィフトの6枚のアルバムの原盤権を含むビッグ・マシーン・レコードを買収した。金額は330億円(1$110円換算)だった。
当時テイラー・スウィフトは激怒した。自分に話があれば買ったと。
業界関係者は330億円のうちテイラー・スウィフトの6枚のアルバムの原盤権の価値は約150億円だという。
新しい所有者となったシャムロック・ホールディングズはウォルト・ディズニー・カンパニー創業者の息子ロイ・ディズニーが1978年に創業した投資会社。音楽とは無関係な投資会社ではなさそうだ。スクーター・ブラウンから幾らで買収したかは明らかにされていない。
テイラー・スウィフトは6枚のアルバムを再レコーディングすると相変わらず声高に主張している。しかし。
歌手がいる。レコード会社と契約をする。CDが1枚売れたらアーティスト印税がいくら貰えるかを決める。レコードの権利である原盤(マスター)の権利は当然レコード会社が持つ。そうでなかったらレコード会社は成り立たない。
アメリカのレコード業界で、アーティストとレコード会社が結ぶ契約書には必ず、「再レコーディングの制限」という項目がある。皮肉にもテイラー・スウィフトの弁護士であるドナルド・パスマンが書いた音楽ビジネスのハウツー本『音楽ビジネス成功の條件』にこう書いてある。
「どの契約書にも、契約期間中にレコーディングした曲は契約が切れた後しばらくは再レコーディングが出来ない。これは『再レコーディングの制限』とよばれるものだ。よく考えてみれば全く論理的な規定だ。もしこれがないと、契約が終わった後、アーティストは別のレコード会社で前と全く同じアルバムを作ることができる。最低期限として契約終了から3年から5年は禁止される」
テイラー・スウィフトがどうするか、見ものである。
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