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ワーナーミュージック、TikTokとライセンス契約で合意。音楽UGC需要と新人アーティスト発掘を後押し

コラム All Digital Music

ワーナーミュージックは2020年12月、TikTokとグローバルでライセンス契約に合意したことを発表しました。

この契約によって、ワーナーミュージックが権利を保有する楽曲と、ワーナーミュージックの出版会社ワーナーチャペルが管理する楽曲、ワーナーミュージックのカタログ楽曲が、TikTok上でカバー曲やUGCとして利用可能になっていきます。

ワーナーミュージックとTikTokの契約は、メジャーレコード会社ではソニーミュージックに続く契約です。ユニバーサルミュージックはTikTokとはライセンス契約に至っていません。

2020年から引き続き、ワーナーミュージックはFacebook / Instagram、Snapchatともライセンス契約で合意してきました。TikTokを含めた、ソーシャルメディア・プラットフォームとの連携は、ファンコミュニティを醸成し、世界規模での楽曲のグロースを活性化させるために、欠かせなくなってきました。

TikTokの音楽事業責任者を務めるオーレ・オルバーマン(Ole Obermann)は、元ワーナーミュージックのチーフ・デジタル・オフィサーで、ライセンス契約や提携を統括してきた存在なだけに、ワーナーミュージックとTikTokとのライセンス契約が進んだ理由の一つと考えられます。

https://newsroom.tiktok.com/en-us/year-on-tiktok-music-2020

TikTokによれば、2020年にTikTok発でブレイクしたクリエイターで、メジャーレコード会社契約したのは70組以上と発表されました。計算すると、2020年は3週間毎に4組のTikTokクリエイターがメジャーレーベルと契約した勢いです。

これは、TikTokで創作活動をするアーティストやクリエイターにとっても、機会創出に繋がっていることを示しています。

TikTokクリエイターと契約するワーナーミュージック

さらに、メジャーレコード会社は今、TikTokを新人発掘のプラットフォームとして活用し始めています。

ワーナーミュージックは2020年7月、TikTokクリエイターのマネジメント会社でもあるTalentX Entertainmentとジョイント・ベンチャーを始め、TikTok/Trillerクリエイターのジョシュ・リチャーズ(Josh Richards)とレコード契約を結びました。

リチャーズはTalentX Entertainmentの共同創立者の一人で、TikTokやTrillerで活動するクリエイターでもあります。

TalentXには、リチャーズもメンバーとして参加するTikTokクリエイター・コレクティブのSway LAや、マックス・ドレスラー(Max Dressler)、ネッサ・バレット(Nessa Barrett)、ジョー・アルバネッセ(Joe Albanese)、クイントン・グリッグス(Quinton Griggs)、ジェイソン・ワード(Jason Waud)、ジャクソン・フェルト(Jackson Felt)、ジョーイ・クラーセン(Joey Klaasen)など、次世代のTikTokクリエイターが多数所属しています。

TikTokフォロワー数だけを見るとTalentXに集まるクリエイターたちの影響力は巨大なことが分かります。

ジョー・アルバネッセ:2770万人
ジョシュ・リチャーズ:2380万人
ジョーイ・クラーセン:1910万人
ネッサ・バレット:1360万人
クイントン・グリッグス:710万人
Sway LA:530万人

またTalentXは、音楽出版契約をソニー・ミュージックのソニー/ATVミュージック・パブリッシングと交わしています。TalentXがTikTokやYouTube、Trillerで発掘したシンガーソングライターや作曲家の著作権収入をTalentXが得られるビジネス構造をすでに開拓している点も見逃せません。

TikTokやTrillerといったソーシャルメディアは、音楽業界でヒットを作ったり、アーティストがファンと繋がるための、新たなツールとして必要不可欠になっています。このトレンドはコロナによってより加速していきます。

そして、音楽業界で注目すべき点は、TikTokやYouTube発の次世代クリエイターとのライセンス契約や新規ビジネスの開拓が、コロナ禍で加速したというトレンドです。ここには、ゲーム実況者や動画クリエイターなども含まれます。

レコード会社や音楽出版社は、契約対象や育成対象のパートナーに、新人アーティストだけでなく、クリエイターやインフルエンサーにも注目しているのです。

マネジメント会社とワーナーミュージックとのジョイントベンチャーや、ソニーATVとの出版契約を結んだTalentXのようなスタートアップの存在は、このトレンドを象徴しています。

source:

Record Labels Reap Billion-Dollar Bonanza From Tunes on Social Media –(Bloomberg)

Warner Music Group inks licensing deal with TikTok(Music Business Worldwide)

jaykogami 記事提供元All Digital Music
Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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