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驚くべきアデルのLP生産枚数

コラム 高橋裕二の洋楽天国

エド・シーランがアルバム「イコールズ」について、なげいた。

「アルバムのマスターは、4ヶ月も前の7月に納品した。実物のCDやストリーミングの発売とLPの発売日を同時にする為には、LPをプレスする為にそうするしかなかった。LPレコード工場が少ないことに加え、アデルのアルバム「30」が関係している。アデルは全世界のLP工場を予約していたから、僕らはなんとかして枠を確保しなければならなかった」

LPレコードはロック系のアーティストがCDやストリーミングと同時発売をしている。最近ではコールドプレイやエルトン・ジョンといったアーティストから、テイラー・スウィフトやABBAのようなポップス系までLPを発売する。アナログで音が良いのとアルバム・ジャケットだ。価格もCDが10ドル前後なのに、30~40ドルもする。

アメリカ・レコード協会が発表した2020年のアメリカのレコード業界売り上げ。実物のCD(Physical)とアナログ・レコード(LP)の合計は全体の9%を占めた。CD売り上げは対前年で23%ダウンの531億円で、LPは対前年で29%アップの689億円だった。34年振りにLPがCDを抜くという奇跡が起きた。

映画・音楽業界誌ヴァラエティによると、アデルの「30」は全世界のLP工場に50万枚を超える生産の注文を出したという。ではこれだけの大量のLPは何処で販売されるのだろう。アメリカには大型のレコード専門店はない。通販のアマゾンやスーパーが大量に仕入れる。特にウォルマートやターゲットは自社向けの仕様で、カラー・レコードやボーナス・トラックをレコード会社に要求する。

海外ではLPやシングル盤をヴァイナル(ビニール)レコードと呼ぶ。原材料がポリ塩化ビニールだからだ。

11月19日に発売されるアデルの「30」は、どんな売れ方をするのか大変興味深い。

  1. CDの売り上げ枚数
  2. LPの売り上げ枚数
  3. カセット・テープの売り上げ本数
  4. 有料デジタル・ダウンロードによる売り上げ
  5. 定額制音楽ストリーミングによる見なし売り上げ枚数

アデルを販売するソニーミュージックのマーケティング担当者は面白くてしょうがないだろう。ラップが全盛の時代。親は10代や20代の娘に、クリスマス・プレゼントとして、レコードにリボンを付けて贈る。

余談だが、日本で一番LPレコードを生産するのは東洋化成の横浜市鶴見区末広町にある末広工場だ。

高橋裕二の洋楽天国記事提供元:洋楽天国
高橋裕二(たかはし・ゆうじ)
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