音楽見本市のミデム(MIDEM)消滅
フランスのカンヌで55年間開催されてきた音楽見本市のミデム(MIDEM)。今週主催者が、2022年はキャンセルし、その後は解散すると発表した。
かつて音楽業界のカレンダーの定番だったミデムは、コロナ禍で参加者が減少。2019年は5,000人だった。それ以前は10,000人近くの参加者だった。
以下は10年前の2011年、当ブログが書いたミデムの雑感。
「今週の24日(日曜日)から来週の27日(水曜日)まで、フランスのカンヌで恒例の国際音楽見本市のMIDEMが開催される。世界中の音楽業界関係者が観光閑散期のカンヌに集まって、音楽の商談をする。名刺交換や顔合わせといった意味合いもある。毎年9000人くらいが参加していた。
日本からの参加者は洋楽アーティストや洋楽曲の買い付けの為、レコード会社の洋楽担当者、音楽出版社の洋楽スタッフが参加する。また輸入盤の買い付け会社や、最近では配信サービス関係者も参加。逆に日本の音楽を海外に売る為のスタッフも参加する。
大まかな日程は、今年であれば23日(土曜日)の午前中に成田をたち、パリのドゴール空港を経てニース空港に到着する。空港からはバスやタクシーでカンヌの市内にあるホテルに、同日(土曜日)の夜8時頃には着く。翌日(24日)の朝一番で見本市の会場「パレ・デ・フェスティバル」に行き、インターネットや旅行会社で事前に登録した番号でIDカードを発行してもらう。
会場内の商談場所(スタンドと呼ぶ。昔はブースとも言っていた)で、例えばレコード会社なら、日本で売れそうな洋楽アーティストを事前に調べミーティングをする。最近だとMIDEM期間中のスケジュールは日本を発つ前に相手先とメールで殆ど決める。「飛び込み商談」程時間的に無駄な事はない。
スタンドを借りるのは大変お金がかかるので、日本の音楽関係者の場合、音楽出版社協会とレコード協会が用意したスタンド(打ち合わせ用のテーブルと椅子がある)を借りる事になる。ここでのデメリットは、1に自分達がどこの会社と打ち合わせしているかが丸見え。2に事前にミーティングのアポイントメントをとってない外人勢がひっきりなしに飛び込んでくる。
最近の傾向は、会場外での打ち合わせが大変多い。一番の理由は、会場内に入る為の登録料が高い。
今年の場合だと直前の登録料は1,025ユーロだ。それに19.6%のVAT(付加価値税)が加算される。ヨーロッパの小国のインディーズや音楽出版社にとっては大きな負担だ。日本からの参加者にとっても、往復の航空運賃やホテル代に加え、1人約16万円の登録料はおいそれと払える額では無い。
よって登録をしなければ見本市の会場に入れない外人勢とは、会場近くのホテルのロビーやカフェやバーで打ち合わせになる。今まで何回か会っている外人勢ならいいが、今回初めてという外人をごった返す中で見つけるのはそうは簡単ではない」。
MIDEMの商談から生まれたミリオン・ヒットはオゾン「恋のマイアヒ」だろう。音楽出版社である「フジパシフィックミュージック」の三浦圭司君が見つけた。当ブログの筆者は、シンコーミュージックの草野さんが見つけた曲をいただいた。ABBAの前身のビョルン&ベニーの「木枯らしの少女」。ガゼボの「アイ・ライク・ショパン」はドイツの弁護士からもらった。カバー・レコードは小林麻美さんの「雨音はショパンの調べ」。両者とも大ヒットした。
食事はまあまあだ。会場周辺にはピザや中華や勿論フレンチの店がある。忙しかったら歩いて3分のマックだ。ホテルの朝のバイキングは、クロワッサンやベーコンやフルーツがおいしい。
懐かしい話である。
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