ライブ・ネイションがフィリピン企業を買収 ヒットアーティストのアジア招聘を強化
ライブ・ネイションは、フィリピンのコンサートプロモーターでイベント制作会社であるMusic Management International(MMI)を買収して、ライブ・ネイション・フィリピンの設立を発表しました。フィリピンのライブ業界への投資でライブ・ネイションは、アジアのライブ業界における事業展開を今後さらに強化する方針を打ち出します。
フィリピンのライブ業界で有数のMMIは、20年以上の実績を持つコンサートプロモーター。これまでに、マドンナ、U2、コールドプレイ、ジャスティン・ビーバーから、ハリー・スタイルズ、ブルーノ・マーズ、ショーン・メンデス、The Weeknd、BLACKPINK、The 1975、LANYなど、世界トップクラスのアーティストや、ストリーミングで人気のアーティストをフィリピンに招聘してきました。
ライブ・ネイション・フィリピンは、MMIの創業者でCEOのリザ・パスクア(Rhiza Pascua)が責任者に就任すると発表しました。
ライブ・ネイションは、2014年にフィリピンに進出していましたが、その際に提携を結んだ現地パートナーがMMIで、それ以降、共同でライブのプロモーションを行なっていました。
フィリピンがアジアツアーに加わるまでの苦難
1996年設立のMMIは、今ではライブ業界で名の知れた存在ですが、設立当時、そしてフィリピンに世界的アーティストを招聘するまでの過程では、数多くの試練を受けてきました。
MMIが事業を始めた1990年代から2000年代にかけて、治安の問題や不安定な情勢を理由に、世界的アーティストの多くは、フィリピンを避けるアジアツアーのスケジュールを組むことが一般的でした。同国の音楽ファンは、世界的ヒットを記録するアーティストを見る機会が無かった、と過去のインタビューでパスクアが明かしていました。
MMIとパスクアは、フィリピンのライブ市場に世界中から著名アーティストを招聘するため、根気強くアーティストやマネージャー、エージェントを説得し、交渉を続けてきました。
その結果、MMIは2010年代に入り、世界的人気のアーティストや、若手アーティストのフィリピン公演を成功させて、ライブ業界内でMMIの信頼を高め続けてきました。
その結果、MMIは2010年代に入り、世界的人気のアーティストや、若手アーティストのフィリピン公演を成功させて、ライブ業界内でMMIの信頼を高め続けてきました。
現在フィリピンは、ビルボード・チャートで1位を獲得するようなグローバルアーティストや、ストリーミングやSNSで人気の若手アーティストの世界ツアーで、欠かすことのできない国となっています。
パスクアは「ライブ・ネイション・フィリピンの設立で可能性は無限となり、さらに多くの世界最大級のスターアーティストを招き、大勢のファンを好きなアーティストとライブエンタテインメントの魔法で繋いでいくことを楽しみにしています」と述べます。
ライブ・ネイション・アジア社長のロジャー・フィールド(Roger Field)は「MMIは、特別なライブ・エンタテインメント体験を音楽ファンに届け、アーティストが世界中でオーディエンスを増やすため新しい機会を創出することを目指す私たちのネットワークとビジョンに加わります」と述べています。
新型コロナウイルス感染拡大前、ライブ・ネイションは全世界で年間4万以上のライブ、100以上の音楽フェスティバルを開催して、5億枚以上のチケットを販売していましたが、コロナとロックダウンの影響で2020年からはイベント開催が休止したり、ツアーや音楽フェスが延期せざるを得ない状態が続いてきました。
2021年下半期から北米を中心にライブやツアー、音楽フェスが徐々に開催し出し、ライブ業界の再開が始まっています。
再開に伴い、ライブ・ネイションの2021年Q4(10-12月期)の売上高は27億ドル(約3520億円)に回復してきました。
ライブ・ネイション・フィリピンは、ライブ開催の体制が整えた上で、毎月、最低2公演を目指すと期待を込めます。
IFPI(国際レコード産業連盟)が先日発表した、世界の音楽市場の実績レポート「IFPIグローバルレポート2022」によると、フィリピンは2021年に前年比31.2%音楽市場が成長しました(売上ベース)。
中でも、音楽ストリーミングはフィリピンの原盤音楽市場で95%以上を占めるほど人気の音楽消費形態です。そのため、ストリーミングサービスで人気を博するアーティストや、国際的なヒット曲を持つアーティストをフィリピンに招聘するライブ業界のビジネスは、需要と合致します。
アジアを巡る海外アーティストやマネージャーにとって、プロモーションの観点からも、フィリピンなどの国は、ストリーミングやSNS、YouTubeからヒット曲に繋がりやすい市場でもあるため、ストリーミングとライブの両方から、ファンを獲得しやすいというファンコミュニティ的、ビジネス的なメリットも生まれます。
フィリピンでは、ライブ・ネイションがMMIを買収する一方、AEG PresentsはOvation Productionと組んでアーティスト招聘やプロモーションを行なう企業間の連携が出来ているため、海外アーティストのアジアツアーやライブ制作においても競争が生まれています。
source:
How Concert Promoter MMI Live Chooses The Artists They Bring to Manila(Esquire)
記事提供元:All Digital Music
Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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