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Diplo率いるMad Decent Publishing、カタログ楽曲の著作権をIconoclastに売却

コラム All Digital Music

世界的な音楽プロデューサーでDJ、そしてMajor LazerのメンバーのDiploが運営している音楽出版社「Mad Decent Publishing」は、カタログ楽曲の著作権を、Iconoclastに売却したことを発表しました。

買収金額は明らかにされていません。

Mad Decent Publishingが売却した楽曲の権利には、Major Lazerの「Lean On」(Featuring MØ & DJ Snake)、「Cold Water」(Featuring ジャスティン・ビーバー & MØ)、「Know No Better」(Featuring トラヴィス・スコット、カミラ・カベロ)、マーク・ロンソンの「Nothing Breaks Like A Heart」(Featuring マイリー・サイラス)、Baauerの「Harlem Shake」などが含まれています。

Mad Decent Publishingと契約する作曲家やプロデューサーには、Dillon Francis、King Henry (Henry Agincort Allen)、Jr Blender(Philip Meckseper)、MØ(Karen Orsted)、Valentino Kahn、Clement & Maxime Picardなどがおり、Iconoclastとの契約には契約作家の楽曲も含まれます。

Diploは、ビジネスパートナーのケヴィン・クサツ(Kevin Kusatsu)と共にMad Decentのレーベルビジネスを2006年に立ち上げ、その後、音楽出版ビジネスを立ち上げ、楽曲の管理や作曲家/プロデューサーとの契約に手を広げてきました。

Mad Decent Publishingは2019年に、独立系音楽出版社のBig Deal Music Groupとジョイントベンチャー契約を結び、Big DealがMad Decentの楽曲を管理するアドミン契約で合意しました。Big Deal Musicは2020年にHipgnosis Songs Fundによって買収されています。Big Deal MusicのCEOのケニー・マクファーソン(Kenny MacPherson)は、買収後に、Hipgnosis Songs GroupのCEOに就任しています。

音楽ストリーミングで価値が増加するカタログ楽曲

音楽業界では、過去数年に渡って、カタログ楽曲の著作権を巨額の金額で買収する投資ファンドやIPファンドが、次々と権利を獲得する、新しいビジネストレンドが起こっています。

加えて、SpotifyやApple Musicなど、音楽ストリーミングプラットフォームが世界的に普及するにつれ、再生される音楽の傾向では、新曲よりもカタログ楽曲の比重が高まってきました。メジャーレコード会社の収益構造において、新曲よりも、カタログ楽曲からの収益増加が目立ちます。

高騰するカタログ楽曲の価値を受けて、権利を保有するレガシーアーティストやその家族、またはストリーミングでヒット曲があるプロデューサーや作曲家などは、IPを高値で欲しがる企業への権利売却が後を立ちません。

Iconoclastも、こうした双方向の需要の中、2021年に設立されました。音楽の権利買収の市場においては、比較的新しい音楽IP投資会社です。

Iconoclastが音楽業界から注目を集めたのは、2022年2月、ザ・バンドのロビー・ロバートソンから、カタログ楽曲の権利を買収した時です。Iconoclastはローンチ時から、既に大手の管理会社から投資用の資金を調達していますが、具体的な資金規模や支援者は明らかにしていません。

オリビア・チャスタン / Iconoclast

ロサンゼルスを拠点にするIconoclastの創業者でCEOのオリビア・チャスタン(Olivier Chastan)は、音楽業界のベテランで、カタログ楽曲や、レガシーアーティストからの権利獲得では、豊富な経験を誇ります。

チャスタンは以前は、アーヴィン・エイゾフ率いる音楽資産投資会社Iconic Artists GroupのCEOを努めていました。

Iconic Artists Groupは、2021年2月に、ザ・ビーチ・ボーイズのIP、原盤権、肖像権、メモラビリア権を取得したことで注目を集めました。投資額は明らかされていませんが、1億ドルから2億ドル(133億円から267億円)が投じられたと、関係者の話が報じられました。

またIconic Artists Groupでは、2021年にデヴィッド・クロスビー(2023年1月に死去)、2022年にナット・キング・コールの権利を取得してきました。

チャスタンは、エイゾフとIconic Artists Groupを設立する以前は、ディストリビューターのIngroovesで、権利事業の上級副社長を務めたり、Big Deal Musicのアドバイザーなどを努めてきました。

source:
Diplo’s Mad Decent Publishing Sells Catalog to Iconoclast (Billboard)

jaykogami 記事提供元All Digital Music
Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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