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ボブ・ディランの思い出

コラム 高橋裕二の洋楽天国

11月15日、ボブ・ディランのライブ・アルバム「コンプリート武道館」が発売になる。

コンサートが終わった後、ボブ・ディランを囲むディナーがあった。場所は銀座ソニービルの地下3階にあったフランス・レストランの「マキシム・ド・パリ」。ソニー社長の盛田昭夫が主催した。

当ブログの筆者を含むCBSソニーの洋楽制作ディレクターや宣伝部員は、,不審者が来ないかとマキシムの玄関で見張り役だった。菅野ヘッケルは担当ディレクターだったので、テーブルについた。

ディナーが終わって、当ブログの筆者もマキシムの個室に入れた。上司の金井が、お前、ディランにサインしてもらうものを何か持っているかと言う。当時洋楽ディレクターは、担当アーティストのサインを貰うなと言う不文律のようなものがあった。

当ブログの筆者は、「木枯らしの少女」のビョルン&ベニー(現ABBA)、「カリフォルニアの青い空」のアルバート・ハモンド、「天使のささやき」のスリー・ディグリーズやジェフ・ベックのサインは全く無い。

金井に言われ、ポスターもブックレットも色紙もありませんと答えた。じゃあお前が着ているTシャツにしてもらえという。着ていたのはニューヨークのシェーファー・ミュージック・フェスティバルの紫色のもの。上半身裸で、筆者はテーブルの上のTシャツを指で押さえ、ボブ・ディランがサインしてくれた。自分が担当じゃないから貰ってもいいやという甘えと、天下のボブ・ディランはさすがに貰いたかった。

このTシャツは家の何処かに仕舞っていた。ボブ・ディランがノーベル賞に輝いたというニュースで、家中を探した。未だ見つからない。

以下は「コンプリート武道館」のレコード会社のコメント。

初来日45周年特別企画、日本が世界に誇る音楽遺産。

ボブ・ディランの初来日公演は1978年2月から3月にかけて開催、11月に「武道館」のタイトルで発売されたアルバムは後に全世界でオフィシャル・リリースされた。録音されたのは2月28日と3月1日の2日間だが、2007年になってマスターテープを発見。長きに渡る発売交渉を経た、初来日から45年目に、当時の関係者が再集結。1978年に「武道館」を企画した菅野ヘッケル氏を総合監修に迎え、当時録音したエンジニアが24chマルチテープから2023REMIXを行い、アートワークも当時と同じデザイナーが手掛け、日本主導の日本独自企画として商品化が遂に実現。2日間のライヴ録音を完全収録し36トラックが未発表のCD4枚。初来日公演チケット、パンフ、ポスター、チラシなどのメモラビア。空港、記者会見、日本公演のライヴ写真、オフショット、ライナーなどをまとめた60ページに及ぶカラーフォトブック。解説、関係者の証言や秘話、歌詞・対訳を収めた日本版ブックレット。これらをLPサイズのボックスに収納した豪華企画で完全生産限定盤。この日本洋楽史上稀にみる復刻事業は、全世界でのリリースも決定した。

高橋裕二の洋楽天国記事提供元:洋楽天国
高橋裕二(たかはし・ゆうじ)
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