【特集連載】震災から1年、東北の音楽関係者に聞く 〜 NomadicRecords Interview
「どんな状況でも、体と気持ちがあれば音楽を続けていける」
NomadicRecords 平山“two”勉氏
ACIDMAN、the ARROWS等を発掘してきたNomadicRecords。2009年に三軒茶屋から福島県双葉郡に移転。その後、東日本大震災および原発事故の余波を受け、現在いわき市に避難し、仮事務所にて活動中の平山“two”勉氏に現在の状況を伺いました。
——震災からこの1年を振り返ってみて、まず一番に思われることはどのようなことでしょうか。
平山:一つあげるなら、通常ありえない状況の中、生き残って沢山の人に支えられてきた感謝です。
——震災後の数日はどのようなご様子でしたか。
平山:数日間でいえば、原発事故からの避難で仕事どころではなかったですが、ちょうど5月リリースの準備をしていた時期だったので、5日目くらいから、いわきのクラブソニックのネット環境を借りて、リリースの準備や、救援物資の手配、安否確認などをやってました。結局リリースは延期せざるを得なかったですが。避難先のいわきは屋内待避指示がでていたので、ほとんどゴーストタウンでした。
——この1年間において、活動の支えとなったのは。
平山:やはり沢山の人に出会い、支援/応援して頂いた事、自分自身の音楽に対する情熱がまったく褪せなかった事です。そして同じ様に考える仲間がいた事も。あとは見向きもしない連中を見返してやりたいという意地、反骨精神もありましたが(苦笑)
——東北の音楽シーンの回復具合をどのように見ていますか。
平山:動員は以前とかわりないくらいじゃないでしょうか。売上は震災がなくてもCD自体下り坂だったので、厳しいですね。東北ではこういう事態になっても大手CDショップやメディアは地元を応援する、というか地方から発信するという発想が希薄なのが残念です。それは自分が3年前に帰ってきてからずっと思っていた事でもあります。
そしてシーンというならば、アーティストだけじゃなくて、メディアもショップもイベンターも全て繋がっていかないと本物にはならないし、継続もできない。そしてリスナーも育たない。少しずつ風穴をあけていきたいです。
——地元のアーティストの活動は、現在どのような状況なのでしょうか。
平山:活動のペース自体は以前と変わらなくなってきたと思います。でも状況は自分のように住居が借り上げ住宅だったり、周りにも家が流されたり、全損だったり、原発で働いていたりで、厳しい環境の中で頑張ってる人も中にはいます。その中で自分も(震災)以前より、ここ福島でやっていく!という気持ちが強くなりました。
——今後の展望に関してはいかがでしょうか。
平山:福島の、東北のレーベルとして、地方からの音楽発信というスタンスを続けていきたいと思います。ただ、先程言ったように、音楽を発信する人達がこれだけいても、その周りにいる人達の意識がいまだに東京発信依存が強いのがもどかしいですね。逆に東京の人達の方が応援してくれるという。まあ地道に、ちょっとづつ、出来る事からやっていくだけです。
——音楽関係者や一般の音楽ファンへ一言お願いします。
平山:これまでの暖かい御支援、御協力、本当にありがとうございます。どんな状況にいても、体と気持ちがあれば音楽を続けていけるという事を実感、実行してきました。今後もどんどん地方から発信して、皆で繋がっていきましょう。
これからも東北をベースにがんばっていきますので、応援宜しくお願いします。
NomadicRecords 平山“two”勉氏
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