【特集連載】震災から1年、東北の音楽関係者に聞く 〜 仙台CLUB JUNK BOX Interview
「今年が正念場」
ライブハウス仙台CLUB JUNK BOX 店長 板橋 圭 氏
東北のライブハウスとしては、誰もが知る仙台CLUB JUNK BOX。まだまだ回復・復興への途は険しいと語る店長の板橋 圭氏にお話しを伺いました。
——震災からこの1年を振り返ってみて、まず一番に思われることはどのようなことでしょうか。
板橋:本当にたくさんの方に助けて頂いたことに感謝しています。
——震災当日やその後数日はどのようなご様子でしたか。
板橋:当日、揺れはかなり大きかったのですが、地下二階なので機材や設備の倒壊や破損はありませんでした。停電になり非常灯が点きましたが、当初はそんなに深刻には考えていませんでした。情報が乏しく、津波が沿岸地域を襲ったことも翌日まで知る事ができない状態でした。
翌日、入居しているビルの上階の方の損傷が大きく建物内のライフライン類が全く機能できないとの報告を受け、その後、ビルオーナーの許可が出るまで店にはもちろん、ビル内にも立入りできない日々が続きました。関係者との連絡も取り合うこと自体ができませんでした。
——営業を再開される目処がついたのは、いつごろだっだのでしょう。
板橋:店の中自体の損傷は無い事は分かっていたので、立入り許可が出ればいつでも再開できる状態だったのですが、「いつから入れる」「いつから再開できる」という知らせはしばらくもらえませんでした。
4月も一週間ほど過ぎた頃、「中旬からひとまずスタッフの立入りOK」を伝えられました。ほぼ全てのイベントが中止か延期になっていたので、「営業再開」時にはスケジュールは白紙に近い状況でした。
——この1年間において、活動の支えとなったのは。
板橋:「今はまだ音楽どころじゃない」「こんな時こそ音楽の力が必要なんじゃないか」という両方の議論が周囲でも多かったのですが、やはり後者のための環境を維持したかったのも大きくあります。
——東北の音楽シーンの回復具合をどのように見ていますか。
板橋:はっきり言えば、回復はしていません。各公演ごとの動員はもちろん、公演の本数自体も増加はしていません。
——地元のアーティストの活動は、現在どのような状況なのでしょうか。
板橋:震災以前のように活動しているバンドは減ったままです。やりたくてもできない、そんな歯痒さを抱えたままの方も多いと思います。
震災前まで当たり前のようにライブやイベントを行ってきましたが、生活そのものが大変な方が多くいらっしゃる中で、いわゆる”娯楽”の部類に音楽が入る方も沢山いるという事に改めて気づきました。
——今後の展望に関してはいかがでしょうか。
板橋:前述のようにライブやイベントを楽しめる余裕が少しずつでも増える事を願います。それで初めて「音楽業界の”復興”」のスタートが切れるのだと思います。
——音楽関係者や一般の音楽ファンへ一言お願いします。
板橋:被災地、被災地ではないに関わらず、今年が正念場だと思っております。
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