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地方都市に住む人々と同じ目線で綴る歌 〜FUNKY MONKEY BABYS ニューアルバム『ファンキーモンキーベイビーズ4』 担当ディレクター ドリーミュージック 制作部 部長 若尾伸治氏インタビュー

インタビュー フォーカス

ドリーミュージック 制作部 部長 若尾伸治氏
ドリーミュージック 制作部 部長 若尾伸治氏

『FOCUS』第5回目はFUNKY MONKEY BABYSの担当ディレクター、ドリーミュージック 制作部 部長 若尾伸治さんです。2006年のデビューからストレートかつ前向きな歌詞と熱いライブが徐々に人々の心をとらえ、シングル『Lovin’Life』のヒットを契機に、老若男女問わず多くのファンを獲得したFUNKY MONKEY BABYS。そんな彼らのニューアルバム『ファンキーモンキーベイビーズ4』が12/21に発売となる。今回はデビュー当時から彼らを支える若尾さんに、ニューアルバムについて、そして多くの人々を惹きつける「FUNKY MONKEY BABYS」というグループの魅力について話を伺いました。 

[2011年12月7日 / 渋谷区神宮前 (株)ドリーミュージック・にて]

 

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1.

——FUNKY MONKEY BABYS (以下 ファンモン) のニューアルバム『ファンキーモンキーベイビーズ4』発売おめでとうございます。アルバムのお話に行く前に、少し若尾さんご自身についてお伺いしたいのですが、ドリーミュージックにはいつ頃入社されたんですか?

若尾:6年ほど前になります。スピッツのディレクターをされている竹内修さんが、当時ドリーミュージックに在籍されていて、竹内さんと私がライブハウスなどで偶然同じアーティストを観ていたり、ニアミスしていることが多かったんですね。それでLOFTのブッキングの樋口さんを通じて、竹内さんを紹介してもらって、いろいろとお話をしていく中でドリーミュージックに入社することになりました。

——ドリーミュージックに入られる前はどちらにいらっしゃったんですか?

若尾:ワーナーミュージックです。ワーナー時代は新人開発とメレンゲというアーティストの担当をしていました。その前はロックレコードという台湾に本社があるインディーズのレコード会社の日本法人に4年ほどいました。

——ドリーミュージックに入社されてすぐにファンモンの担当になられたんですか?

若尾:いえ、入社してすぐの頃は特定のアーティストの担当はしていなくて、新人開発でライブハウスへ行ったりしていました。それから半年くらい経ったときにファンモンの担当になりました。

——そもそもファンモンがドリーミュージックからデビューすることになったいきさつは?

若尾:所属事務所からうちの会社にアーティストのプレゼンテーションがありました。実際にライブを見せてもらったり、音源を聞かせてもらう中で可能性があるアーティストだということで、プロジェクトとして動いていくことになりました。

もともと彼らは横浜のクラブを中心に活動していて、そのクラブの店長さんが「面白いやつがいる」と思っていたそうなんです。店長さんが彼らのことを事務所の社長さんに伝えて、ライブを観に行ったことがデビューに至る最初のきっかけだそうです。

——レコード会社の争奪戦はあったんでしょうか?

若尾:いや、なかったようですね。彼らはそんなに華々しいところから出てきたわけではありませんでしたし、すでに25〜6歳だったので、声をかけてもらえるところがあれば、それが最後のチャンスだと思っていたようです。

——若尾さんのファンモンに対する第一印象は?

若尾:当時、RIP SLYMEやKICK THE CAN CREW、ケツメイシなどが売れていて、そういったシーンがピークに達しているタイミングで出てきた次世代アーティスト、”ポップなフィールドでヒップホップテイストの楽曲をやっている”というところでの第2世代のような気がして、音を聴いたとき「新しくて、よりわかりやすいアーティストが出てきたな」という印象でした。

——若尾さんは最初から制作を担当されていたんですか?

若尾:当初は制作と宣伝の両方を担当していたんですが、ある時期から仕事量が増えすぎて一人でこなすのが難しくなってしまったのと、全て一人で請け負うのではなく、色々な人の視点があるべきだと思ったので、3年目くらいから宣伝を他の担当に任せて、私は制作とプランニングに専念するようになりました。それ以降はA&Rディレクターという立場で、アーティストや関係者と楽曲の方向性を決めていく仕事がメインになっています。特にシングルの場合は、おかげさまで最近はタイアップをいただくことが多いので、タイアップ先が希望されているイメージをヒアリングし、なにをもってファンモンを指名してくださったのか、どういう雰囲気を出したいのか、皆さんの意見をキーワードとして抽出して、それとメンバーが作り出してくる楽曲との整合性を取るような作業をしています。

——タイアップ先の方はファンモンにどのようなものを求めていることが多いんでしょうか?

若尾:応援歌ですとか、元気の出る歌というご希望が多いですね。

——タイアップの場合は、オーダーによって曲を書き下ろすんですか?

若尾:そうですね。先に曲があってというパターンはほとんどないです。

——そのオーダーに毎回応えていくんですからすごいですよね。

若尾:毎回かなり苦労していますけどね(笑)。彼らは楽器を万能に演奏できるわけではないので、トラックメーカーやプロデューサー、アレンジャーの方々に彼らなりの言葉でイメージを伝えて、まずおおよそのトラックを作り、その上に彼らがメロディーを構築していくというやり方で曲作りをします。

——ニューアルバムも複数のプロデューサーの方と組んで制作されていますよね。デビュー当時からそういう制作方法だったんですか?

若尾:いえ。デビューした頃はお一人の方とやらせていただいていました。一人の方で貫くのももちろんいいと思うんですが、考え方の違う色々なプロデューサーの方とやらせていただくことで、それぞれの方の良いところを彼ら自身が吸収していければいいんじゃないかなと思っています。

 

2.

FUNKY MONKEY BABY 担当ディレクター ドリーミュージック 若尾氏

——ニューアルバムについてお伺いしたいのですが、今作はどのようなコンセプトで、いつ頃から制作が始まったんでしょうか?

若尾:それ以前にリリースしたシングル曲も収録されていますが、アルバムということで言えば、4月くらいからですね。アルバムを作るにあたって全体のコンセプトを考えて制作に入ることはないんです。そこまでにリリースしてきたシングルのカラーからアルバムに入れる楽曲のカラーを考えて、例えば、ダンサブルな曲を入れようとか、今までにやったことのない実験的なビートの曲を入れようとか、シングル曲では伝えきれていないところ、ライブではこういう雰囲気の楽曲がお客さんに喜ばれていたからとか、今の自分たちができるもの、伝えたいものを固めていきます。

——今作のアルバム曲にはどのような気持ちが込められているのでしょうか?

若尾:今回はシングル曲にバラードやメロディアスな曲が多かったので、アルバムではライブで拳を振り上げられるような曲、ダンサブルでアッパーな雰囲気の曲、実験的な曲などを入れたいというメンバーの考えはありました。彼らは自分たちをライブアーティストだと自覚していますし、アルバム発売後に実施されるツアーなどのライブ会場で演奏した時に、お客さんに楽しんでもらえるような喜怒哀楽すべて詰まっているようなバリエーションのある楽曲を入れていきたいと思ったんです。たとえば実験的な曲という意味では、アルバムの中ですと12曲目の「空」がそうなんですが、この曲はShingo Nakamuraさんというプログレッシブハウスのクリエイターとやっているんですね。Nakamuraさんはクラブシーンを中心に活動していて、今までJ-Popフィールドとはほとんどコラボしていないんです。メンバーの一人が彼の音楽の大ファンで、何か出来たら良いなと思っていて。Nakamuraさんが住んでいる札幌のスタジオに3日間籠って作りました。アンダーグラウンドなクラブミュージックの要素に自分たちが混ざることで「こういう面白い音楽があるんだ」ということをオーバーグラウンドに届けたい、みんなに知ってもらいたいという思いで制作していましたね。

——プロデューサーやトラックメイカーの人選はどのようにされるんですか?

若尾:例えば、前述の「空」を制作したときは、メンバーの方から名指しで「連絡を取ってみてもらえないか?」という申し出を受けて、話を進めていきました。また、名指しじゃなくて「あったかい感じ」とか「疾走感がほしい」とかイメージを言われたときは、私も含めてスタッフがそれを実現できそうな人間を逆にメンバーに提案していくこともあります。

——曲調に合わせてプロデューサーも選んでいくと。

若尾:曲調だったり、楽曲との関わり方に合わせて選んでいるような感じですね。

——11曲目の『それでも信じてる』は震災の後に手直しを加えたそうですね。

若尾:ええ。1月か2月くらいにドラマのタイアップの話をいただいていて、中高生が聴いても元気が出て「前に向かって進んで行こう」という印象を伝えられるようなものを、という要望から楽曲を作り始めました。3月11日は、その時までに進めていたデモ楽曲の概要が見えつつあった頃でした。

彼らは毎年「卒業式ライブ」というのをやっていまして、福島の中学校でライブをやった帰りの新幹線で地震に遭遇したんですね。それで新幹線が止まって、そのまま1晩移動できず、救出してもらってから地元のホテルに何時間か滞在して、事務所が用意したレンタカーで帰ってきたそうです。その移動や滞在の時々で地震の爪痕をたくさん目の当たりにしつつ、東京へ帰ってきたときに自分たちの行っていた東北がとんでもないことになっていることをあらためて知ったんですね。それに彼らって東北の方にもともとファンがすごく多かったんですよ。

——東北ベイビーズがたくさんいたんですね。

若尾:はい。TVや新聞での報道を見たり、彼らのブログに地震についてたくさんのメッセージを受ける中で、「単純に陽気で元気で応援するだけの曲を作っていいのだろうか?」という思いが芽生えて、アップテンポの曲が全然イメージできない状態になったんです。それでプロデューサーのYANAGIMANさんのお宅にお邪魔して作業しながら、「イメージができない。どうしようか?」と悩んでいるときに、YANAGIMANさんがピアノでコードをポンポン鳴らしていたんですね。そのコード感から伝わってくる音がすごく気持ち良く感じ、また癒されるような気がして、前に作りかけていたトラックよりもそのときの彼らにフィットしました。こっちの方が自分たちものれるし、作れるという気持ちになれたんです。そこから彼らが感じていた言葉やメロディーをトラックに載せていって。『それでも信じてる』は、そのようにして作られた曲です。

——震災を挟んで曲調が変わってしまったんですね。

若尾:全く変わりました。歌詞も「それでも信じてる」の詞(ことば)が示すとおりです。

——本当にストレートですよね。

若尾:もちろん、タイアップ先からいただいていた要望を無視するということではなくて、テレビの制作者の方々が意図しているところと、今の自分たちや日本が置かれている状況とを照らし合わせた上で作った曲ですね。

——アルバム15曲の中で一個人として気に入っている曲はありますか?

若尾:すみません、私は立場上、これが好きだとか嫌いだとかがあまりないんです(笑)。こう言うと非常に語弊があるのかもしれないんですが、彼らのことを好きになり過ぎたり、嫌いになり過ぎたりしないように、距離はとっているつもりなんです。先ほど言った宣伝と制作を切り離したのもその1つなんですね。

例えば、アーティストと飲みに行って、四六時中一緒に居て、相談にのって…というところまでやられているディレクターさんもいらっしゃると思いますが、私はファンモンと世の中を繋げていく繋ぎ目だと思っているので、世の中の人たちが彼らを見る適度な距離感というのを私自身が見失ってしまうのは危険だと思っているんですよ。

 

3.

FUNKY MONKEY BABY 担当ディレクター ドリーミュージック 若尾氏

——若尾さんはファンモンのメンバーそれぞれをどのように見ていらっしゃいますか?

若尾:ファンキー加藤はステージでも男気キャラですし、すごく男っぽい部分もあるんですが、実は一番繊細ですね。人の気持ちを察するような優しさがあると言いますかね。周囲のスタッフにも気をかけていますね。

——グループのリーダーでもありますよね。

若尾:ええ。ビジネス的な面においても、自分たちが今どういった位置にいて、どう進むべきかということを彼は常に考えています。テレビ番組に出ても、自分たちが何を期待されているのか考えていますね。

——若いのにすごくしっかりしているんですね。

若尾:若い子たちってしっかりしてそうで、重大なところが欠けていたり、無関心な部分があったりするじゃないですか。でも、加藤はそういった部分もあまりなくて、メンバーの中で一番社会人に向いている人間かもしれません。

モン吉はとにかくマイペースですね。さっきからずっと言っている、彼らがアーティストとして持っている八王子な感じを一番出しているように思います。それがどういう風に音として反映されるかは分からないですが、かっこいいかっこわるいとか、これが自分たちっぽい、というようなことに対して、実は彼が一番敏感に反応していると思います。リズムとかメロディーに対する感性のレベルが高くて、感覚的な部分では一番ミュージシャン寄りなのかも。

ケミカルは…未だ全容を掴めた気がしないんですけど(笑)。彼はもともとお坊さんの家庭ですし、ミュージシャンという立場以外で社会と触れ合っている部分もあるので、そういう意味での身だしなみというか礼儀が分かっている人間だと思います。あと、物事の本質を見抜く力がすごくあります。

——そして、アルバムのジャケットは全部彼ですね。

若尾:そうですね。一番パンチがあるという理由ですね(笑)。

——ニューアルバムの初回限定盤は幼い頃のケミカルさんですか?

若尾:そうです、3歳か4歳の頃のケミカルですね。

——やっぱりすごく目につきますよね。

若尾:彼はもう特殊な顔なので…いい意味で (笑)。あと、メンバーと話していて「子供時代のもので」と。ケミカルでいくというのは決まっていたんですが、その上でどうして子供時代を選んだかというと、今年は本当にいろいろなことがあって、不安や無力感を感じたり、悲しい気持ちになったり、苛立ったりすることが多かったと思うんです。そんな今、「子供たちの笑顔を見るとホッとするよね」と、そういう話になったんです。ケミカルの昔の写真を探したら、ものすごく良い笑顔のものがあって。それで初回限定は子供の頃のケミカルの顔になりました。

——かたやシングルのジャケットやPVには著名人が登場して、すごくインパクトがありますが、始めたきっかけは何だったんですか?

若尾:きっかけは、そのまんま東(東国原英夫)さんです。確かメンバーとマネージャーが同じようなタイミングでそのアイディアを提案して、「でも受けてくれないだろうね」なんて話していたんです。もちろん曲名が『そのまんま東へ』でしたから、そこから出たアイディアなんですが。当時は東さんが宮崎知事選に出馬される数か月前の時期。大変生意気な言い方かもしれませんが、日の目が当たりにくい仕事もたくさんやりながら、早稲田で政治の勉強もされていて、勝手な想像ですが「これから何かに飛び出そう」とか「前に向かおうともがきながら一所懸命やっている」ように見えたんですね。その姿と「苦境に立ち向かっていく」という『そのまんま東へ』の歌詞のメッセージが本当に合っているように感じたので、出演をお願いしました。

その後、PVの撮影現場で東さんとお話をしたら本当に真っ直ぐな方で「君らのデビュー曲のためになるなら何でもやるし、走れと言えばどこまででも走るから」とおっしゃってくださったんです。初めて会う芸能人がそこまで真っ直ぐな方だったことに、彼らは感動していましたし、こういう世界で食っていくというのは、真っ直ぐで一生懸命な気持ちを持っていなくちゃいけないんだと大変勉強になったようです。そしてCDを出してみたら話題になり、その2〜3ヶ月後に東さんは知事に立候補・当選され、我々も色々な恩恵を受けました(笑)。

——絶妙なタイミングでしたね(笑)。

若尾:お会いしたときには、政治の世界に進まれるとは一言も言ってなかったんですけどね(笑)。ファンモンはデビューまで人の目に引っかかる機会がなかなかなくて、これがラストチャンスだと思っていたので「嫌われてもいいから、自分たちのことを覚えてほしい」という強い思いがあったんですよ。ですから「東さんのジャケットでこれだけ話題になるんだったら続けてみよう」という話になって、以後ずっと続いています。

——そんな彼らも今ではドリーミュージックを代表するアーティストになったわけですが、彼らの音楽の何がリスナーの心をとらえたとお考えですか?

若尾:きっと会っていただければ分かるんですが、彼らってデビューの頃からあまり変わってないんですよ。自分たちの大切なものがどこにあるのか分かっていて「驕らないように」と思っているんでしょうし、本質的な部分で本当に変わってないんですね。

——変に染まったりしない?

若尾:もちろんちょっとは良い服を着たり、車も持てるようになったり、食べ物もおいしくてヘルシーなものも食べられるようになっていますが(笑)、彼らには、言ってしまえば八王子の風景というか、地方都市に暮らしている人たちと同じ感覚があると思うんです。家族や友だちといった自分たちがリアルに触れ合える人たち、あと街の景色や川の流れ、風、匂いとか、そういうものが自分たちの根本にあって、それが歌に反映されているんですね。

もしかしたら青山生まれ青山育ちみたいな、東京のど真ん中にいる方には彼らの曲の一部は通じないところもあるのかもしれませんが、日本全国津々浦々眺めてみると、いわゆる東京のような大都市で暮らしている方よりも、ちょっとした地方都市、彼らにとっての八王子のような風景が普通なんだと思うんですね。ですから、きっとそういう方々には「目線が同じ」というところで共感してもらっているんじゃないかなと思いますね。

 

4.

FUNKY MONKEY BABY 担当ディレクター ドリーミュージック 若尾氏

——「ファンモンはライブにこだわりがある」とおっしゃっていましたが、それはどのようなこだわりなんでしょうか?

若尾:デビューが決まった当初、私とチーフ・マネージャーとで彼らのライブを観て、彼らと「こじゃれた感じとか、このジャンルでよくあるようなパーティー感とか、そういうのを前面に出すのはやめたほうがいいんじゃないか」と話し合ったんです。当時、そういったライブが非常に多かったんですが、デビュー曲の『そのまんま東へ』だったり、彼らの抱えていた曲とか、リーダーのファンキー加藤のパーソナリティーや紡ぎ出す言葉というのが、八王子の風景だったり、ハングリーさだったりしたので、「だったらもっと泥臭い、熱の伝わるライブをやっていこう」という話をしました。

実際そのときにサンボマスターやブラフマンのビデオとか、パンク系のライブDVDを彼らといっしょに見たりしたんですね。それまで彼らは通っていない音楽かもしれないけど「彼らは面白がるんじゃないか? 何か反応するんじゃないか?」と思って。そういったアーティストや彼らの好きなサザンオールスターズ、BOOWY、ドリームズ・カム・トゥルーなど偉大な先輩のライブを参考やお手本にして、彼らなりの熱の籠ったライブの形を徐々に考えながら作り上げていきました。

デビュー当時からはハコのスケール感が変わったり、客層がコアな人たちから老若男女になってきたり状況は変化していますが、彼らの出発点はそこだと思いますし、様々なライブやプロモーションでの経験を経て、現在のようなライブの形になっているんだと思います。

——そして、来年にはファンモン初のアリーナツアーも控えていますね。

若尾:そうですね。

——12/21にアルバムリリース、年末に紅白歌合戦、そして年明けからのアリーナツアーととてもいい流れですよね。

若尾:でも、紅白は偶然ですからね(笑)。レコード大賞もそうですけど(笑)。本当に偶然出させていただけるだけなんですが、いいタイミングになったなとは思っています。

——今年は震災もあり、色々なことがあった年ですので、ファンモンの新作は今求められている歌としてすごくフィットするんじゃないかと思います。

若尾:あんまり震災、震災言うのは良くないのかもしれませんが、世の中の空気や人々の気分が震災の前後で変わってしまった年で、そういった年を体験して、では何を歌うべきなのかということを今、全アーティストが突きつけられていると思うんですが、ニューアルバムは彼らなりの答えなのかなと思いますね。

——最後にファンモンと若尾さんご自身の目標をそれぞれお伺いできればと思います。

若尾:これからもお客さんが元気になって帰ってもらえるような、流せずにためていた涙を流せるようなライブを一生懸命やること。そして、売上というレコード会社としての目標はもちろんありますが、一曲一曲嘘をつかずに、丁寧に気持ちを込めて曲を作っていくこと。そういう一歩一歩が大切であり、ファンモンの目標になると思います。

私個人の目標としては、マーケティング臭い言い方かもしれないですが、お客さんや世の中が今何を望んでいるのか、それを裏切るのでもいいですし、ジャストで届けていくのもいいんですが、自分としてはそれを知るアンテナの精度をもっともっと上げていきたいと思いますね。それが、アーティストとリスナーの方々の間に立つ自分の役目ですから。

(2011年12月19日 公開)

(インタビュアー:福アニー/Musicman発行人 山浦正彦)

《インタビューを終えて》
FUNKY MONKEY BABYSの「熱い」印象とは対照的なほどに、彼らとリスナーを冷静に見つめているのが印象的だった若尾さん。「アーティストにのめり込むのではなく適度な距離感を保つ」というそのスタンスは、一見冷たい印象を持たれるかもしれませんが、それを実践するのは我々が想像する以上に大変なのでは? と感じました。もちろん、その根底にはFUNKY MONKEY BABYSにかける想いと、何よりリスナーに対する誠実な姿勢があることは、お話の端々から伝わってきたと思います。ニューアルバムの発売、アリーナツアーとしばらくはFUNKY MONKEY BABYSから目が離せそうにありません。

FUNKY MONKEY BABYS 4th Album『ファンキーモンキーベイビーズ4』

FUNKY MONKEY BABY 4th Album『ファンキーモンキーベイビーズ4』 FUNKY MONKEY BABY 4th Album『ファンキーモンキーベイビーズ4』

2011年12月21日発売
初回生産限定盤 CD+DVD MUCD-8021 ¥3,675(tax in)
通常盤 MUCD-1255 ¥3,045(tax in)

【CD収録内容】
01. アワービート(ロッテ ブラックブラックガム CM ソング)
02. 八王子純愛物語
03. あとひとつ(2010ABC 夏の高校野球応援ソング)
04. ランウェイ☆ビート(映画「ランウェイ☆ビート」主題歌)
05. 愛の歌(フジテレビ系めざましテレビ「めざまし×ファンモン ソングエイド応援歌」)
06. 未来の君へ(LIXIL スマイルエコキャンペーンCMソング)
07. 大切(映画「書道ガールズ!!〜わたしたちの甲子園」主題歌)
08. LOVE SONG(よみうりランド ジュエルミネーション キャンペーンソング)
09. 真夏のマジック 〜 Sun’s Feelings 〜
10. 悲しみなんて笑い飛ばせ(日産自動車『日産 セレナ』CMソング)
11. それでも信じてる(テレビ朝日系ナイトプレミア「アスコーマーチ」主題歌)
12. 空
13. ラブレター(資生堂 SEA BREEZE CM ソング)
14. HAPPY BIRTHDAY
15. サヨナラの向こう側(日本テレビ系 ズームイン!!SUPERファイナルテーマソング)

【DVD収録内容】
Video clip 6曲
2011年2月開催 3rd JAPAN TOURいちょうの国から2010〜帰郷〜ツアーファイナル国立代々木第一体育館ライブダイジェスト映像収録feed関連記事/label/yukisaori.xml_self5