全てを自分でやるのが、アーティストとして本来あるべき姿 〜 アーティスト/株式会社Rie fu代表 Rie fu インタビュー
昨今、様々な技術の発達に伴い、ミュージシャン自身が楽曲を発表・配信することも珍しくなくなっており、その活動の選択肢は以前より格段に広がっている。
そこで、長年在籍していたメジャー・レーベルから独立し、今年4月に自らの会社「株式会社Rie fu」を設立、現在は音源制作はもちろん、会社の経営者として、自らのマネージメント、プロモーション/マーケティング、グッズ製作、経理、ライブ制作・ブッキング他、アーティスト活動に伴う全ての業務を自ら行っているRie fuに、会社設立の経緯からその活動状況、次世代ミュージシャンの在り方まで語って貰った。
(取材・文・写真:Jiro Honda、Yuki Okita)
PROFILE
Rie fu(りえ・ふぅ)
アーティスト/株式会社Rie fu 代表
東京都出身。2004年、シングル「Rie who!?」でソニーミュージックよりメジャー・デビュー。その後、13枚のシングル、6枚のアルバムをリリースし独立。今年2012年の4月に自らの会社を設立し、アーティストおよび法人の代表として、自らの活動の全てを手掛ける。
また、シンガー・ソングライターとしてはもちろん、絵画をはじめ様々なものを創作し多方面で才能を発揮する”アーティスト”として活動中。
アルバム「BIGGER PICTURE」
2012年11月21日 発売
DDCZ-1839/3,000円(税込)
Rie fu Inc.
ライブ情報
Welcome to at Rie TOUR 2013
2013年
1月30日(水)at 東京WWW
2月1日(金)at 名古屋TOKUZO
2月3日(日)at 大阪Shangri-la
絵画展示
Art Wave Exhibition vol.1〜創造のイノベーション〜内に新作絵画出展
会場:recto verso gallery(東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 イノウエ第2ビル401)
会期:2012年11月27日(火)〜12月1日(土)
開場時間:13:00〜19:00(土曜は16:30まで)
1.
——Rie fuさんは、現在、自らのアーティスト名を冠した、株式会社Rie fuで活動されていますが、どのような経緯で会社を設立されたのでしょうか?
Rie fu:独立前はソニーミュージックに所属していたのですが、私は曲作りからライブ、CDジャケット、グッズ、ミュージックビデオとかまで、何でも自分でやりたいタイプなんですよね。それで「既存の枠組みにはめられるような大きな会社の中よりも、自分でやった方がいいのでは?」という気持ちが大きくなったということと、メジャーレーベルですと、タイアップがないと曲が出せないというような状況になっていたので、「自分がアーティストとして在る意味」について考えた時に「タイアップありきではなく楽曲で勝負できる環境を作りたい、自分の作品に責任を持ちたい」という想いから、今年4月に独立して、自分で会社を立ち上げました。スタッフの方からも後押しをしていただきましたね。
——では、今でもメジャー当時のスタッフは応援してくれているんですね。
Rie fu:そうですね。「Palm Beach」からデビューしたのが8年前なんですが、そのときからずっとお世話になっていて、別に喧嘩別れというわけではなく、すごく円満な流れです(笑)。
——独立の際、インディーズレーベルに所属するという考えはなかったんですか?
Rie fu:なかったですね。自分でレーベルを作って、個人単位で活動をしているアーティスト仲間が増えてきていましたし。もちろん、とてもピッタリくるレーベルさんがいたらという話なんですが、今のところは出会っていませんので、とりあえず一人でやってみようと思いました。
——今日はこの取材にもお一人で来ていただいていますが、現在マネージャーさんはいらっしゃるんですか?
Rie fu:いえ、特にそういうスタッフはいないです。ライブのときにサポートしてもらうイベンターさんとかスタッフの方は多少いますが、基本的には一人で活動しています。
——Musicman-NET宛にRie fuさんのプレスリリースが届きますけど、ひょっとしてあれもご自身で手配されているんですか?
Rie fu:自分で自分のキャッチコピーを書いています(笑)。そういうことも全部やりますね。
——本当に全部ご自身でやられているんですね。
Rie fu:でも、今までがすごく不自然だったなと最近は実感しています。大のオトナがどこに行くにもマネージャーに付いてきてもらったりとか、ライブや今回のように取材していただいたりも、自分自身のことなんですから、打ち合わせの段階から本人が直接やり取りをするというのは、ある意味すごく真っ当な、本来あるべき姿だなと思いますね。例えば、他のスタッフの方に事前に打ち合わせをしていただいて、当日だけ私が行くよりも、その前の準備段階から私自身が直接話しをする方が、その段階でまた新たなアイデアが生まれたりもしますし、それも大事なクリエイティブのプロセスですよね。
——会社を設立する際に永田純さんの著書『次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル』を参考にされたと耳にしたのですが、同書を知ったきっかけというのは?
Rie fu:デビュー当時からお世話になっている、伊藤なつみさんという女性ライターの方が、「独立するならこの本を参考にしたらいいよ」と紹介してくださいまして。それで、よく読んで、実際に本の内容を手帳に書き出して、自分でできることとできないことを全部リストアップするなどして、とても参考になりました。実際やってみると、ライブ制作と流通、あと、これは法人の場合ですが、税務関係はセルフマネージメントでもサポートが必要だなと感じました。そういったことを整理して順序立ててやることができたのは、この本のおかげですね。
——会社設立の資金は銀行と交渉してですか?
Rie fu:今までアーティスト活動をしてきた中での貯金を、資本金としました。何気に若いときからこつこつと貯金をしたりしていたので(笑)。
——法人化するときに一番苦労されたのはどういう部分でしたか?
Rie fu:最近は会社の設立もすごく簡単になっていて、基本的な情報を打ち込めばインターネットで定款を作れたり、そういったサービスがたくさんあるのでとても助かりました。お金の管理は、信頼できる方を友人に紹介してもらって、その方にお願いしています。でも、法人化は印紙代をはじめとして、諸々やはりお金がかかるので、誰にでも薦められるものではないですね。自分で会社を作っておいてこう言うのも変な話しですけど(笑)。私の場合は自主制作や自主企画でなく、事業として需要があるものを売ってお金を回収する、そういうことをきちんとやりたいと思ったので法人化しました。
——ビジネス的な質問になりますが、収支に関してお伺いしてもよろしいですか。
Rie fu:毎月自分に払う役員報酬、保険、あと税理士さんへのお金、ライブやグッズ、アルバム制作費などが主な支出なんですが、私は印税の収益もあるので、自分への役員報酬は実際に設定した額より低くてもよかったのかな…とかまだ試行錯誤ですね。現段階では大きな利益がまだないので、今後CDを売って回収していく予定です。
——社員を雇っていたり、他のアーティストがいたりしたら結構大変ですよね。
Rie fu:そうですね。他にアーティストを抱えるとか、全然想像ができないですね。
どのアーティストも自分のことは自分でやっていくというのが会社としても現実的かなと思ってしまいますね(笑)。たとえ大きな規模のライブをするアーティストでも、規模が大きい分お金もかかりますし、その知名度と比例して予算もかかると思うので、やっぱり音楽ビジネスとして、会社として回していくのは自分一人の分で精一杯というか、それが限度だなと思いますね。
——ちなみにRie fuさんは、普通に企業で働かれたりとか、そういうご経験は?
Rie fu:ないんです(笑)。今回、会社を作って色々やっているのも、自分のことだから頑張れるというような、究極の自己中なので(笑)。
——(笑)。会社を設立されて半年以上になりますが、会社を作るときのイメージと、半年経ってみてギャップを感じたりされますか?
Rie fu:割と予算の感じはどんぶり勘定だったので、そこでの予想と現実はちょっと違っていたりするんですが、ライブや作品のリリースに関しては計画通りにできているので、そこは良かったなと思います。でも、今回の新作をリリースしてからが本当のスタートだと思いますし、宣伝に関してはやはり1人ではできないので、こうやって取材していただける機会は本当にありがたいと改めて思いますね(笑)。
2.
——お話をうかがっていると、会社の設立自体もRie fuさんの表現活動の一つのように感じられます。
Rie fu:ビジネスも大きく見たらアートだなと思いますね。ビジネスに関わることは、自分の制作の邪魔にはなっていないですし、むしろ相乗効果が生まれているかなと。
——OTOTOYでの2012年6月から6ヶ月連続で新曲とアートブックを発信する『fu diary』(※)からは、アーティスティックな感性とビジネスが、とても良い感じに融合している印象を受けました。Rie fuさんなりの「次世代ミュージシャン」というのはどういうものでしょうか。(※ http://bccks.jp/bcck/106816/info、http://ototoy.jp/feature/index.php/2012091400)
Rie fu:本当の意味での「次世代ミュージシャン」というのは原点回帰というか、ちゃんと自分の足で立って、歌の届け方を自分で選択して、色んな人と繋がり、お金の管理も自分で把握してやっていくということだと思うんです。90年代は、CDバブルというか、膨大な数のスタッフの方やお金が動いて、それはビジネスとしてはすごく良かったと思うんですが、表現者とかアーティストということからはどんどん離れて、エンターテイナーになっていってしまった部分はあるかなと。
——最近は自ら異業種交流会にも参加されているとか。
Rie fu:色んな職種の方がいらっしゃいますね。印象の善し悪し関係なく、色んな方と会ってみるのは楽しいですよ。
——普通のアーティストはなかなか経験しないかもしれないですね。
Rie fu:もちろん有名になってそういう所に行けば、色んな方がちやほやしてくれて…という感じだと思うんですが、今の自分くらいの知名度では、大きな企業の役員クラスの方になると私に全く価値を見いださない人もいますし、逆に私の音楽性に興味を持ってくださる方もいますし、そこでどういう風にお互いメリットになるようなことをしていけるかは挑戦ですね。
今は営業も自分でやるような環境ですが、変に媚びたくもないですし、そこのバランスはなかなか難しいです。自分で自分を営業するには、逆に媚びないほうがよかったりするのかなと最近思ったりもします。
——今夏に「fu fes」を開催されて、そこで企画・立案・広報・開催と一通り作業をされたと思うんですが、実際にやられてみていかがでしたか?
Rie fu:音楽配信などデジタル化が進む中で、自分は絵も描いたりするので、絵のような手作りの一点ものをグッズとして売りたいなと思って、「fu fes」ではピアスやカバンなど、全部で30個ほどの手作りのオリジナルグッズを売ったんです。
グッズの値段は1,000円のものから2万円と幅広かったんですが、「この値段だったらこのくらい売れるかな」というマーケティング的な観点より「面白いから作ろう」という気持ちを優先してしまったので、高価なものは売れ残ったりもしましたけど (笑)、やりたいことや面白いこと、クリエイティブなことと、現実的な需要のバランスをもう少し調節していくというのは、今後の改善点ですね。
——自分で全てをやると、大変なこともたくさんあると思いますが、Rie fuさんはすごく前向きですよね。楽しんで色々なことに取り組んでいることが伝わってきます。
Rie fu:前向きじゃなかったらやっていけないですよ(笑)。楽しんでやりつつ…例えば、ライブをして、CDを作って売ってという流れができると、同じことの繰り返しになる危険性もあると思うので、毎回やるごとに少しでも進化があったり、堂々巡りではなくて前進していきたいなと思います。
——それはメジャーでは難しかった?
Rie fu:いや、私はすごく自由を尊重していただける環境にいたので、楽曲に関しても私の意志をかなり反映させてくれましたし、非常に恵まれていたと思います。もちろん大きな会社の一部でもあったので、どうしても規格外のことは難しかったり、リスクのあることはできなかったりしたんですが、それは当然だと思いましたし、理不尽に思ったりもしませんでした。
ただ、何かができないときに周りのせいにしたり、言い訳するのではなくて、文句を言えない環境に身を置いて、自分で責任を持ってやるのが真っ当だなと思ったので、独立したんです。それは特別なことでもなんでもなくて、これが本来アーティストのあるべき姿であり、自分がアーティストと名乗っている限りは、やるべきことだなと思いますね。
——Rie fuさんのような考え方のアーティストは増えてきたと感じますか?
Rie fu:そうですね。昨日も永田さんのオフィスに、元RYTHEMのNeat’sちゃんと、タイナカ彩智ちゃんと一緒にお邪魔したんですが、二人とも独立して活動しています。でも、同じ「独立」といっても活動形態や打ち出しているイメージ、戦略が全然違うので、そこが面白いですし、ライバルというわけではないですが、お互い刺激を受けたり、色々な情報を共有できるのがいいですね。永田さんとは、アーティスト同士で情報共有できるコミュニティーやプラットフォームを作れたらいいですねという話もしました。
——そういった部分でfacebookやソーシャルメディアは役に立っていますか?
Rie fu:役立っている部分もあるとは思いますが、やはりこうやって実際にお会いする方がパワーも交換しあえますよね。インターネットというフィールドでのやりとりと、実際に会って交流すること、その双方のバランスをいかにとるかが重要なのじゃないでしょうか。
——実際にお一人でやられてみて、一番面倒臭いことってどんなことですか?
Rie fu:うーん…全部面倒臭いという(笑)。「全部投げ出したい!」と3日に1回くらい思うんですが(笑)、そうですね…やはり在庫の管理とか予算の部分は特に面倒ですね。
——そのあたりが今後の課題だと。
Rie fu:さっきお話したライブの話じゃないですが、予算感覚は課題ですよね。あとライブまでの盛り上げ方とかも、実際にやってみて分かったことですね。今、お世話になっているイベント企画会社、AATJ(All Access Today Japan)さんに色々ノウハウを教わっているんですが、ライブまでにグッズを作っている動画を流すとか、過程を見せることの効果を学んだり、音の流れるオーディオポスターのようなネットのツールを通して、イベントまでに段階を踏んで盛り上げていくことが、チケットのセールスに繋がるというマーケティング的な側面は、とても勉強になりました。ですから、今はアルバムのリリースパーティーに向けて、グッズを作っているビデオを定期的に流したり、こまめに宣伝のツイートをしたり、色々心掛けるようにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=_E8Ybzctr4w
——そこまでやったイベントが終わると、きっと感慨もひとしおですよね。
Rie fu:そうですね。そういった作業が増えると肝心のパフォーマンスに影響が出るかも? という心配もあったんですが、たくさん努力をしたり、時間をかけて準備をしていた分、パフォーマンスにもより力が入ると言いますか(笑)、ステージに立ってパフォーマンスをする意味や、その重みを噛みしめていますので、自分の中での完全燃焼度は高くなったと思います(笑)。
3.
——『fu diary』も、11月15日にリリースされる「vol.6」で最後になりますが、この企画はやってみていかがでしたか?
Rie fu:メジャーにいた頃はデモがたくさんあっても、すぐにリリースできなくて、もっと早く作品を出したいと思っていたので、そういう意味で今回の企画は今まで作ってきた曲や、その季節に合わせた曲をどんどん出せて、まさに日々のスケッチブックを見せているような気分でした。絵で例えるなら、アルバムを作る場合は念入りに書き込んだり、たくさんの色やパーツを使った絵だとすると、『fu diary』は本当に日々のスケッチといった感じで、ある意味「改めての自己紹介」という感覚でした。
——タイムラグがないから、そのとき思ったことをすぐに出せますよね。
Rie fu:そうですね。ラジオ局のディレクターの方も「こういった曲の方がRie fuらしい」って言ってくれて。やはりラジオで流すような曲で、こういったラフなものはあまりないので、逆に興味を持っていただけたりして面白かったですし、そういう反応は嬉しかったですね。
——もし、またメジャーメーカーの方がRie fuさんに興味を持たれて「うちでどうですか?」と声がかかったらどうされます?
Rie fu:国内だったら色々な条件、例えば、原盤をシェアするとか、その辺を話し合うことになるかとも思うんですが、そういうことも今の状況を考えるとあまり意味がない気もするんですよね。アルバムのタイトルにもしましたが、これからは「BIGGER PICTURE」=”広い視野”を持つと言いますか、一旦、今までお世話になっていたメジャーレーベルや日本の音楽業界というところから少しズームアウトして、日本より海外、英語圏のマーケットに挑戦したいなと思っていて、今後はアメリカやイギリスの良い音楽を扱っているインディーレーベルとかにアプローチしたいと思っているんですよ。
——海外のレーベルの方が魅力を感じますか?
Rie fu:日本の音楽業界の善し悪しを挙げるというわけではないのですが、メジャーレーベルの売り方というのがタイアップメインになっていて、最近デビューされる方は大きなタイアップをつけて、音楽自体の力で売るというよりは、音楽以外の「大きな看板」を拡げて、リスナーの人に猛アピールし、曲を何度も流して、みたいな売り方だと思うんですね。
それで、リスナー側もそういう風にして音楽を知るという習慣に慣れてしまったという気もするんです。昔のようにラジオの前で好きな曲が流れるのを待つという音楽の聴き方ではなくなってしまったわけですし、まぁ、私もそんな世代ではないのですが(笑)、現在リスナーが慣れてしまった環境に、メジャーレーベルも合わせているだけで、レーベル側が悪いわけでもないし、かといってリスナー側が悪いわけでもない。
でも、日々進化していきたいという私の想いの中で、現状の日本の音楽業界では壁にぶつかってしまう気がしたので、もう少し視野を広げて、海外だったら音楽性で売っていく風潮というか、より直感的に音楽を聴いてくれるマーケットがたくさんありますし、そういうところで挑戦したいなと思ったんです。
——11月21日には2年半ぶりのオリジナルアルバム『BIGGER PICTURE』をリリースされます。このアルバムの名義は「Rie fu & the fu」となっていますね。
Rie fu:独立してからライブ一つとっても本当に色々な方にサポートしていただき、ニューアルバムの制作でも、素晴らしいミュージシャンとエンジニアの方々に力を貸していただいたので、そういう意味でRie fu一人じゃなくて「& the fu」名義というカタチにしました。「the fu」というのはバンド「The Who」だったり、Rie fuの「fu」ともかかっていたり、ダジャレ風で面白いかなとも思って付けました(笑)。
——参加ミュージシャンはどのように選ばれたんですか?
Rie fu:録音に参加してもらったメンバーは、ギターを除いて今年1月にワンマンライブをしたときのライブメンバーです。今までは曲を作ってアレンジャーにアレンジしてもらって、またライブ用に違うミュージシャンにアレンジしてもらってと、一貫性がなかったんですが、今後は録音のアレンジ段階からツアーまで同じメンバーでやっていきたいと思っています。新作の曲作りの段階でも、彼らの演奏にインスパイアされながら曲を作りました。
また、エンジニアリングはzAkさんにお願いしました。zAkさんには以前delofamiliaという私がボーカルをしているバンドでレコーディングしていただいたんですが、音の粒子一つ一つがはっきりしていて、立体的なzAkさんの音に衝撃を受けまして、「是非zAkさんにお願いしたい」と。新作の音もかなり立体的なものになっていると思います。
——現在の体制となってからの曲作りで、曲調は変化しましたか?
Rie fu:そうですね。より生々しいというか、化けの皮がはがれたというか(笑)、かなり素の部分が出てきましたね。
——ヴィジュアルイメージも一新されましたね。
Rie fu:新作は「BIGGER PICTURE」というタイトル通り、ジャケットを拡げてみると実はリーゼントの金髪という仕掛けがあったり(笑)。「ジャケットを拡げたらまた違う絵が見られる」というのはレコーディングのときからイメージしていました。
——最後に、Musicman-NETのユーザーには、これからアーティストを目指している方も多くいらっしゃるのですが、そういったみなさんへアドバイスをいただけますか?
Rie fu:私は現在独立して活動していますけど、この形をどなたにもお薦めするわけではないんですよ。私もデビューのときにメジャーに大変お世話になって、タイアップなどを通じて色々な人に知ってもらえたから今があると思っています。ですから、メジャーレーベルが悪いわけでもないですし、人との繋がりが全てだと思うので、これからデビューしたい方も、人との出会いを大切にして欲しいです。
先日、永田さんとお話して印象的だったのは、「エンターテイナーになりたいのか、それともアーティストになりたいのか、早い段階で覚悟を決めておいたほうがいい」という言葉でした。確かに私もその二つの道は全然違うものだと感じますので、自分はどちらになりたいのか、最初からそこだけでも決めておくのはいいことかもしれないですね。
——Rie fuさんの活動は、これからのアーティストたちにとって新しい活動指針になると思います。
Rie fu:何か少しでも参考になったら光栄ですし、次世代ミュージシャンとして、自分の二本足で立っていくアーティストがどんどん増える、そういう状況になったらいいなと思いますね。