アートを通じて、リアルなコミュニケーションの場を提供する 〜コミュニティセンター「Cosmic arts」設立 DJ/ミュージシャン Joe Claussell(ジョー・クラウゼル)
DJ/ミュージシャンのJoe Claussell(ジョー・クラウゼル)が新しく米・ニューヨーク、ブルックリンにコミュニティセンターをオープンする。その名も「Cosmic arts」。11月2日にはレセプションパーティーが盛大に行われた。当日はパーカッション持参で多くの来場者が集まり、Joe Claussellのファシリテーションのもと、ドラムサークルが行われ、オーガニックなリズムに体を揺らしながら、その場の一体感を楽しんだ。彼が手掛ける一連の作品とリンクする名前を冠された「Cosmic arts」は、具体的にはどのような場所になるのだろうか? Joe Claussellに話を聞いた。
取材・文:Tadahisa Shinkawa(SOUND FINDER / FIRST CALL RECORDINGS)
PROFILE
Joe Claussell(ジョー・クラウゼル)
NYイーストビレッジにあったDance Tracksというダンスミュージック専門レコードショップをオープンし、90年代初頭にハウスミュージックシーンで一躍脚光を浴びることになるInstant Houseを結成、カルトヒットを量産。96年にはInstant Houseのディープなトライバルサウンドのコンセプトをさらに進展させ、アフリカン、ブラジリアン、ジャズ、ロック等、あらゆる音楽の要素を盛り込んだレーベル、Spiritual Life Music を設立。ハウスシーンのみならずジャンルの枠を超えて高く評価された。
時を同じくして、Francois K、 Danny KrivitとともにVinylにてサンデーアフタヌーンパーティ Body & SOULをスタート。新旧、ジャンルにこだわることなくあらゆるジャンルの音楽がプレイされ、アメリカのみならず、日本、ヨーロッパでも開催。2年前にはブラジル最大の音楽フェスROCK IN RIOでも開催され話題に。
Spiritual Life Music、Body & SOULの成功により、多くの製作プロジェクトにも参加。以下のアーティストとの作品がこれまでにリリースされている。
Herbie Hancock, Femi Kuti, Chaka Khan, Michael Jackson, Roy Ayers,Sade,Monday Michiru, Cesaria Evora, Toni Braxton, Ronny Jordan,Cassandra Wilson, Salif Keita, Diana Ross, Misia, Peter Gabriel, Brian Eno & David Byrneなど。
最近では伝説のラテンミュージックレーベル、Faniaのリミックスアルバム”Hammock House”をリリースし、クロスオーバーヒットとなった。
芸術全般に造詣が深く、クリエイティブに、そして情熱をもって取り組む姿勢は多くのファンを魅了し続ける。
ブルックリンは新しいカルチャーが生まれる胎動を感じる
——このあたり(56 BogartStreet:Bushwick,Brooklyn)はどういったエリアなんでしょうか?
Joe:昔のSOHOのような雰囲気で、若いアーティストたちが集まってきているんだ。このビルの中にもたくさんのアーティストがいて、そういうアーティストたちとのコラボレーションができるのも魅力的だよ。
マンハッタンと違い、このブルックリンはオルタナティブな感性をもった人たちが多くいる場所で、新しいカルチャーが生まれる胎動を感じるね。
「Cosmic arts」があるビルの外観・内部
——あなたが新しくオープンする「Cosmic arts」とはどのような場所なんでしょうか?
Joe:「Cosmic arts」は、音楽はもちろん、映像やライブペインティングなど芸術全般をプレゼンテーションする場所なんだ。このスペースでライブをやってもいいし、映像作品の発表なんかもできる。どんな人でも利用することができるけど、その人や作品の方向性はきちんと吟味して、この場所で発表する価値があるものを発表していきたい。
——営利目的ではないということですが、どのような運営になるのでしょうか?
Joe:お客さんは入場料として5ドルから10ドル位の寄付をお願いしようと思ってるよ。この集めた寄付によって、例えば、音楽に関しての講義を専門家にやってもらいたいなと思っている。音楽はとても力強いもので人を元気づけるものだけど、今はそれをきちんと伝えることができていないと思うんだ。
この場所では音楽を通じて人生を豊かにしてくれるような講義を中心にやっていきたい。講義を通じて、利用者に新しい気付きがあればうれしいなと思ってるよ。でも、人を否定したり、罵倒するようなネガティブなものについてのレクチャーをやるつもりはない。
ミュージシャンやDJの中にはお金のために音楽をやるという人もいるだろうし、それ自体悪いということではないんだけど、音楽が目指すべき姿はそういう類いの経済活動でなく、神学に近いもの、その人の深いところで共鳴するようなものだと思う。「Cosmic arts」ではこういうことを人々に伝え、ある種、教育のようなことをして行きたいと思ってる。
Cosmic arts
——「Cosmic arts」内を拝見しましたが、まずレコードのコレクションが目を惹きますね。
Joe:レクチャーの他、コミュニティスペースとしての機能を持たせようと思ってるんだ。このレコードコレクションは自由に聴いてもらうようにしようと思ってる。ここにあるレコードは常に入れ替えて、いつ来ても新しい音楽との出会いがあるようにしたいなと考えているよ。
あそこに丸いテーブルがあるだろ? あのテーブルに4台のターンテーブルを置いて、図書館のような感じで音楽を自由に聴いてもらいたいなと思う。例えば、目の前にいる人が聴いているレコードが気になれば、次にそれを聴かせて欲しいって言えるようなコミュニケーションも生まれたら最高だね。
また、週末にはレコードを販売すると思う。このレコードストアは将来的には世界NO.1のレコードストアにしたいな。
同タイトルが複数ストックされたレコード棚。ライブラリーとして非常に魅力的だった
コミュケーションを色々な人と楽しんでもらいたい
——利用者はどのようにすればいいのでしょうか?
Joe:会の運営は利用者の寄付で賄うので、年間費をもらって、会員登録した人はいつでも自由に出入りできるようにしたい。またライブの時は入場料を別途払えば、会員以外の人も入場できるようにしてもいいね。会員は今年の12月くらいから募集したいと思ってる。(年会費は15ドル程度になる模様)
——どんな人に来てもらいたいと思っていますか?
Joe:日々のストレスから解放され、癒しを求めている人たちや、小さな子供やお年寄りも来てほしいな。アンビエントな音楽を流しながらヨガもできると思うので、いろいろな楽しみ方ができると思う。
レセプションパーティー。パーカッションを持参した多くの来場者たち
——いつ頃からこのようなスペースを作ろうと思っていたのですか?
Joe:随分前から構想はしていたんだけど、なかなか具体化することができなかったんだ。
イメージとしては人と人のつながりを大切に、コミュケーションを色々な人と楽しんでもらいたいなと思ってるんだよね。TwitterやFacebookなどSNSが発達してネットの中でのコミュケーションが現実のコミュニケーションと錯覚している人が多いと思うんだ。ネットの中には真偽のほどが分からないような情報が沢山あって、それを鵜呑みして極端な思想を持ってしまうようなことが起こっている。
ふと辺りを見渡すと、みんなスマートフォンの画面やパソコンの画面ばかり見ていて、お互いの顔を見ていない。おかしいと思うんだよ。みんなもっと人とのコミュニケーションを大切にするべきだし、僕はそうあるべきだと思ってる。
ネットは便利だし、否定はしないけど、このスペースでは人との交流をテーマにコミュニケーションを持ってもらいたいと思っているよ。パソコンを置くつもりはないし、もちろんWIFIも利用できない。僕が作りたいのはネットカフェじゃないから(笑)。
——営業時間はどうなっているのでしょうか?
Joe:時間についてはまだ決めていないけど、毎日このスペースはあけるつもりだよ。平日はコミュニティセンターのような役割で、週末はレコードショップとしてあけようと思っている。音楽を聴くための機材や、コミュニケーションを円滑にするためのワインや軽食など用意しようと思っているので、気軽に来てほしいな。
なお、コミュニティセンター「Cosmic arts」のオープンと共に、Nujabesのトリビュートリミックス・プロジェクト「Remix Project of Nujabes’”Child’s Attraction”remixed by Joaquin Joe Claussell」がスタートしている。
Nujabesがその音楽、世界観を心から賞賛していたJoe Claussell。生前は共同制作を実現する機会が訪れなかったJoe Claussellとの、悲願のコラボレーションとなる当プロジェクトは、Joe Claussellに、彼が率いるミュージシャンとの生演奏リミックスの制作を依頼し、最高のカタチでNujabesの想いを実現させ、世界中のファンに届けることを目的にしている。こちらも併せて注目だ。
Remix Project of Nujabes’”Child’s Attraction”
remixed by Joaquin Joe Claussell
Nujabesが敬愛するJoe Claussellへ未発表音源を贈り、ここでしか手に入らない生演奏アンサーリミックスを実現するクラウドファンディング・プロジェクト。
※このプロジェクトは 2015年3月11日の募集期間が終了した時点で、2,000,000円以上集まった場合のみ、決済が行われます。
<支援コース>
【3,500円】数量限定:上限なし
・運営サイドよりJoaquin”Joe” Claussellのメッセージ付きお礼メール
・Hydeout音源とJoaquin”Joe” Claussellの音源のみを使用したJoaquin”Joe” ClaussellミックスCD
【8,500円】数量限定:上限なし
3,500円に加え
・BEDWIN×Hydeout×King Street Soundsプロジェクト限定Tシャツ
【10,500円】数量限定:上限なし
3,500円に加え
・Child’s Attraction” remixed by Joaquin Joe Claussellデータ音源
・Child’s Attraction” remixed by Joaquin Joe Claussell12インチ・アナログ盤
・Child’s Attraction” remixed by Joaquin Joe Claussellアナログパッケージ内「Special Thanks」の項目にお名前を記載致します。※掲載クレジットはサポーターとコンテンツホルダーと協議の上内容を決定。
【18,000円】数量限定:上限なし
10,500円に加え
・BEDWIN×Hydeout×King Street Soundsプロジェクト限定Tシャツ
【98,000円】数量限定:2
18,000円に加え
・Pioneer PLX-1000×1 ※Only for supporters in Japan