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YouTube発で人気!K-POPユニットEXIDが日本デビュー、仕掛け人に聞く

インタビュー フォーカス

EXID

8月22日、シングル「UP & DOWN」で日本デビューを果たした、5人組K-POPグループ・EXID(読み:イーエックスアイディー)。

2012年に結成後、EXIDの人気に火がついたのは2014年、YouTubeがきっかけ。軍隊向けの公演で「UP & DOWN」を演じるメンバーの1人・ハニを定点で撮影した「ファンカム」映像(ファンが撮影する映像)が話題となり、リリース後数ヶ月経っていた同曲のチャートアクションが、2014年〜2015年の年末年始にかけて急上昇。彼女たちは「逆走のアイコン」と呼ばれるようになった。

楽曲は、彼女たちの王道と言える“キャッチー×セクシー”な「UP & DOWN」「HOT PINK」「DDD」といったヒップホップ調の楽曲をはじめ、楽曲からスタイリングまで90年代のニュージャックスウィングを再現した「LADY」、2ステップを取り入れた「Too Good to Me」、アーバンソウルの「Night Rather Than Day」など、どこか懐かしさもあり多彩な楽曲が揃っている。

メンバーはソルジ、LE、ハニ、ヘリン、ジョンファの5人。5人全員がMBC「覆面歌王」(覆面で過去の名曲を歌唱するテレビ番組)にソロで出演経験があるなど、歌唱力においても実力派という定評がある。メンバーの1人・LEが楽曲製作に深く関わっていることもあり、メンバー1人1人の音域を最大限に生かしたポーカルワークが楽しめる。

今回は、EXIDの日本でのプロデュースを手掛ける後原継利氏と、A&Rの徳間ジャパン 鈴木篤史氏に、日本での展開について話を伺った。

 

上質な、本格派のアーティストとして伝えていきたい

――まず、後原さんがEXIDを日本で手がけたいと思ったきっかけについて伺えますか?

後原:2015年、ソウルで行われた「ドリームコンサート」でパフォーマンスを見たことがきっかけでした。他のアーティストとの仕事の関係で見に行っており、EXIDは実はその時に初めて知ったのですが、アーティストとしての存在感が素晴らしかったのです。パフォーマンスが上質で、1つ1つの仕草も印象的で、音数が少なくかつ音圧がある楽曲も、他のアーティストと全く違うものだと感じました。このときに「日本でやりたいな」と思い、以来言い続けていて(日本デビューが)実現しました。

――日本でのプロデュースを行うにあたり、こだわった点はありますか?

後原:楽曲のイメージを日本語にするときに壊したくなかったので、実は、最初は韓国語のまま日本で展開したいと思っていました。最終的には日本語詞となりましたが、原曲のイメージをそのまま表現するという点には一番時間を使ったと思います。

――日本デビュー盤では、韓国での既発曲から「UP & DOWN」と「CREAM」が収録されますね。

後原:「UP & DOWN」は曲が始まった瞬間、強烈に耳を引く楽曲です。「CREAM」は日本人が好きそうなメロ、J-POPらしいサウンドの楽曲です。硬質なピアノも、90年代のJ-POPを狙っているのではないかと思うくらいです(笑)。まずはこの2曲が、(既発曲の中からは)バランスが良いなと思いました(編注:初回限定盤Bには日本オリジナル曲「VAPORIZE YOURSELF!」も収録される)。

――鈴木さんはこれまでも、様々なK-POPアーティストの日本での展開に携わられていますが、EXIDはどのような点に強みがあると感じられましたか?

鈴木:K-POPに最初に関わったのは2005年、SE7ENの日本デビューです。以来様々なアーティストに関して「日本のマーケットに入れたらどうなるんだろう」と期待感をもって取り組んできましたし、K-POPが日本の音楽市場に影響を与えた面もあると思います。

EXIDは高いレベルで楽曲・パフォーマンス・ルックスの三拍子が揃っています。またグループの軸となる音楽性はブラックミュージックを基調としており、他のK-POPグループと比べて良い意味での異質感を感じましたし、唯一無二の存在になれるのではと思っています。そのアイデンティティを基調とした戦略を日本でも今後進めていきたいです。

――日本では、どういったグループとして打ち出していく予定なのでしょうか?

後原:本格派ですね。彼女たちの楽曲は音圧も計算されつくしたようなものなので、アーティストとして上質な形で伝えていけたらと思います。実は、日本でのショーケースライブも最初はホールでやるという案もあったのですが、絶対に「音を体感できる」場所で、上から下まで出ている声・音の全てを聞いてほしいと、ライブハウスならではの音圧を感じられるZepp Tokyoで行いました。

――ブラックミュージックを基調にしており、K-R&B、K-HIPHOPと言える楽曲が多いですね。

後原:ブラックミュージックが根底にあるのは、EXIDの楽曲に共通している点です。K-POPという枠・言葉がはまらないと言えます。タイガー(編注:EXIDの楽曲の多くを手がけるプロデューサー・シンサドンホレンイ)の楽曲作り、音数が少ない中のセンスは尊敬しています。根底にあるブラックな部分は残して、かつ日本人の耳にハマるメロディで勝負していけたらと思います。

Zepp Tokyoで行われたEXIDショーケースライブ

メンバーは日本語のレコーディングでも積極的に提案してくれる

――レコーディングを通して知ったメンバーの特徴について教えていただけますか?

後原:楽しいレコーディングでした。全員、自分をしっかり持っていて、「こういう風に歌ってみたら翻訳の意味と合うんじゃないか」などと積極的に提案してくれます。

ソルジは、メインボーカルを張っていることを「なるほどな」と納得させる、音楽に対する解釈力があります。「日本語だとこういう意味合いだから、ここはブレスを抜く」などと、きめ細かいところまで自分で作り込んできてくれました。

LEは、自分のラップのスタイルがある上で、日本語の歌詞を解釈して、「ここはもっと韻を踏んでいいか」などと提案してくれました。音楽に対して貪欲ですね。「こうしたらハマるんじゃないか」という提案が湯水のごとく出てきます。

ハニは、「この日本語はどういう意味か」「悲しい気持ちで歌ったほうがいいのか」などと率先して聞いてきてくれます。日本語で歌うことに対して「日本人にちゃんと伝わるのか」と都度確認していました。

ヘリンは、ソルジが不在時(編注:ソルジは甲状腺機能亢進症での活動休止期間があった)にメインボーカルを張ってきましたから、彼女のハイトーンボイスには責任感を感じます。レコーディング中もずっと楽しそうで、覚えた日本語をすぐに使ったり、明るいですね(笑)

「末っ子」のジョンファは、他の4人が出ない(中低音の)音域の声を持っているので、彼女の声が入った時に面白いことにバランスが取れて、「あ、EXIDになるな」という感覚があります。

――今後、日本ではどのような活動をしていくのでしょうか?

鈴木:まずは8月の日本1stシングルリリースに向けて、メンバーも頑張ってくれている中で、新たなMVを撮ったり、日本でも様々なプロモーションをプランニングしているところです。

8月には東京・大阪でライブ「EXID 1st JAPAN LIVE TOUR Produced by MTV」がありますが、血の通ったメッセージ、動き、躍動感を感じてもらえるような見せ方をしたいですし、彼女たちの肝と言えるライブパフォーマンスを体感してもらう機会になればと思っています。

また「UP & DOWN」でのブレイクに象徴されるように、彼女たちのキャリアは自分たちで切り開いているわけです。ストリートでライブをしている映像(編注:「UP & DOWN」でブレイクした際、バズを加速させるために積極的にストリートライブを行った)を見たときに「リアルなアーティストだな」と思いました。我々も、そういった歴史、アーティストとして彼女たちがやっていることを伝えていくことが責務だと思っています。

後原:音楽制作を通して感じたのは、彼女たちはやはり真のアーティストだということです。5人が走り続けているのを止めたくないですし、この方向性で、音を絶えず探していけたらと思います。

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