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熱狂的なコアファンだけが集まる月額会員制コミュニティ「fanicon」でファンを拡大

インタビュー フォーカス

平良真人氏

SHOWROOMや17 Liveなど、双方向コミュニケーションを提供するサービスが人気を集める中、マーケティングコンサル、インフルエンサーマーティングを手がけるTHECOOが新たなコンセプトの月額会員制ファンコミュニティ「fanicon(ファニコン)」を2017年12月にスタート。翌年には総額3億円の資金調達を成功させ、現在ではYouTuberやインスタグラマーだけでなく、アーティストや俳優、著名人も利用している。このようなコミュニティサービスをアーティストはどのように取り入れるべきか、またインフルエンサーマーティングを使ったブランディングに至るまで、代表取締役の平良真人氏にお話を伺った。

  1. 「fanicon」でファンとインフルエンサーのコミュニケーション・ギャップを解消
  2. ユーザーからのフィードバックで正しい自己プロデュースが可能に
  3. 閉鎖的だからこそ高まる双方向コミュニケーションの価値
  4. インフルエンサーマーケティングでブランディングを高める中国のアーティスト
  5. オンラインとオフライン、双方を補完しコアファンを拡大

 

「fanicon」でファンとインフルエンサーのコミュニケーション・ギャップを解消

――最初にTHECOOの事業についてお伺いしたいと思います。

平良:元々、Googleの広告営業チームで創業していて、オンラインマーケティングを支援する事業からスタートしています。

創業してからもなくYouTuberを使ってプロモーションしてほしいと言われまして、ゲームアプリのクライアントと、ゲーム実況者を使ってプロモーションを始めて、そこからYouTuberやインスタグラマーを中心に、インフルエンサーマーケティング事業を開始して会社として成長してきました。

そんな中で、インフルエンサーが自分たちのファンと交流ができて、かつ課金もできるコミュニティアプリ「fanicon」のサービスを2017年の12月に立ち上げまして、そこからインフルエンサーだけでなく、アーティストや著名人の方々のファンコミュニティ事業を行っています。

――「fanicon」はどのようなきっかけで開発されたのでしょうか?

平良:YouTuberの方々と交流をしていくうちに、彼らから「オフ会をしたい」という要望があり、YouTube Spaceをお借りしてコスメの動画を配信している5名のYouTuberとファンを集めたオフ会を開催したんです。オフ会は色々な企画で盛り上がったんですが、終わった後にYouTuberの前にファンの列ができて、ファンの人が自分のことを話し始めたんですよ。

ファンはとにかく自分がどれぐらいそのYouTuberが好きかを知ってもらいたいんですね。でも、YouTuberはファンのことを知らないので、コミュニケーションのギャップが生まれるんです。これを埋めてあげたいと思ったのが最初のきっかけです。

――配信者とファンが直接コミュニケーションを取り、課金もできるサービスは最近多くの方が利用しています。このようなニーズはこれからも高まっていくのでしょうか?

平良:そうだと思います。元々ライブやイベントのような実際に会える場所は、会場のキャパの問題でチケットを買えないこともありましたが、今は様々なテクノロジーの進化でできやすくなったというのが非常に大きいと思います。あと、タレント自身がいつでも手軽に配信できるようになったこともサービスが広まった理由だと思います。

 

ユーザーからのフィードバックで正しい自己プロデュースが可能に

――「fanicon」で積極的に発信していく人たちにはどのような共通点があると思われますか?

「fanicon」ロゴ

平良:みなさん自己表現という意味で、ユーザーからフィードバックをもらって、自分でブランドを作っているように思います。自己プロデュースですね。「自分のファンはこういうことで喜んでくれるんだ」と知って取り入れることで、ブランドが形作られていく。

今は再生回数などファンの反応が数字で見られるので、それを忠実に反映してやっているのがYouTuberやインスタグラマーなんですが、YouTubeでお金を稼ぐ仕組み=再生回数を増やすことなので、そこが第一命題になってしまうんです。ですから、ファンの期待を裏切るようなことができない。良いか悪いかは別にして、みんながいいと思うモノを増殖させる仕組みが出来上がっています。

――その仕組みにはどのような課題があると思われますか?

平良:世界中の誰もが知ってるようなアーティストが生まれにくい仕組みを、今のプラットフォームが加速させてしまってるんじゃないかなとは思います。僕は音楽が大好きで、フジロックの1回目から参加しているんですが、そのときのヘッドライナーがレッド・ホット・チリ・ペッパーズで、今年はサマーソニックのヘッドライナーで出演するじゃないですか。つまり、20年ヘッドライナーが変わってないんですよね。

その一方で、全然知られてないけどすごくいい、レッチリになるようなポテンシャルを持ったアーティストが出てこられるような仕組みについては、テクノロジーを使っでイノベーションを起こせるんじゃないかと、一音楽ファンとしての想いはあります。

 

閉鎖的だからこそ高まる双方向コミュニケーションの価値

――「fanicon」はすでにアーティストの方も利用しているそうですが、皆さんはどのように使ってらっしゃるんですか?

平良:個々の機能的にはライブストリーミングだったりチャットだったり、既視感のあるものなんですが、コンセプトが他のサービスと違っていて、「fanicon」のキャッチコピーが「あなたのホームを作ろう」なんですね。例えば、Jリーグのチームだと毎試合通うのは熱狂的なファンしかいないと思うんですよね。「fanicon」は、その熱狂的なコアファンしかいない場所を作りましょうというのが、そもそものコンセプトです。ですから、月額課金を必ずしてもらっています。「fanicon」はアンチがいない、コアファンしかいない空間なんですね。

――あえて閉鎖的にすることで、熱量が維持されるんですね。

平良:そのコミュニティーに入る時点で「私はあなたの大ファンです」という前提なんです。ですから何か特典があるわけではなく、ファンの人たちに向けて特別なコミュニケーション、もしくは本人がそこにいるということで十分だったりするんですよ。そういった集いにこそ意味があって、それを信じていない人が入っても全く意味がないんですね。

――ちなみに、最もファンの多いコミュニティは何名ぐらい参加しているんですか?

平良:人数は開示していないんですが、アーティストの方で千単位のファンがいる人もいます。現在1000コミュニティ以上あるんですが、大小さまざまですね。

――どのようなジャンルのコミュニティに人気があるのでしょうか?

平良:よくジャンルについて聞かれるんですが、ジャンルではないんですね。オンラインサロンとの違いでもあると思うんですが、「fanicon」はコンテンツではなく人に紐付いているので、コンテンツにお金を払っているわけではないんです。毎週日曜に教会に集うような感じに近いのかもしれません。コミュニケーションが上手く取れて、コミュニティを上手く運営できる人に人気がありますね。

――アーティストだからといって歌う必要はない。

平良:ないですね。VTuberでテキストだけの人もいます。コンテンツはYouTubeや他のサービスで観ればいいんです。

――コンテンツではなく、本人と集う場所だからこそお金を払う価値が生まれるんですね。

平良:そうなんです。なのでコアファンがいれば成り立つんです。コミュニティをファンと一緒にどう楽しんでいくかを考えられる人は盛り上がりますね。

「fanicon」サービス画面

――アーティストが「fanicon」を利用することでどのようなメリットがあると思われますか?

平良:ファンには必ず月額課金をしていただくので収益が見込めることと、皆さん認知度を上げるという作業は必ずされると思います。どんなに認知度が高くても低くてでも、必ずコアファンっているんですね。その人たちの熱量は広がっていくので、初めからコアファンとそうでないファンの両方をケアすることで、ファンベースを広げていくこともできますし、最初からコアファンに対してロイヤリティを持って特別な体験を提供することで、さらに好きになってもらうということもあると思います。

――オンラインになることで、これまでは一方通行になりがちだったファンとのコミュニケーションが双方向になりますね。

平良:そうですね。例えば「fanicon」の立ち上げ当初からある1対1のチャットをデジタルファンレターとして使っている人もいます。物理的なファンレターだと、いくら「全部読んでます」と言っても実際はわからないじゃないですか。でも、デジタルだと既読が付くので、細かいところなんですけど、ファンはそういったアクションがあることが嬉しかったりするんですよね。

好きなアーティストや有名人と実際に会いたい、コミュニケーションを取りたいという欲求は、年齢性別、もっと言うと国や言語も関係なくみなさん共通して持っているんじゃないかなと思いますね。

 

インフルエンサーマーケティングでブランディングを高める中国のアーティスト

――THECOOではインフルエンサーマーケティングも手がけられていますが、収益やブランディングに繋げるために重要なことは何だと思われますか?

平良:インフルエンサーマーケティングという言葉だけだととっつきにくいと思うんですが、簡単に言うと、自分が好きなものを自分を通して誰かに知ってもらうというだけなんです。口コミの1つですよね。

ただ、自分が好きじゃないものをお願いされたから宣伝するというのは、ファンもがっかりするので、ファンのことをどこまで知っているか、自分のことをどこまで知ってもらえるかで、正しいやり方ができるんじゃないかなと思っています。例えお仕事として受けたとしても、その人のイメージと合致しているか、合致しているところにどう意外性を入れていくかが肝だと思います。

極端な例で言うと、中国はインフルエンサーマーケティングが盛んなので、アーティスト自身が、どこの空港に何時に到着するというスケジュールを公開してるんですよ。彼らは自分が着ている服が宣伝になることがわかっていますから、自分のイメージに合った服を着て、空港に集まったファンに写真を撮らせてネットで拡散してもらうんです。そこまで計算してやってたりしています。

それはファンもわかっていますし、カニエ・ウェストがやっていることもまさしくそういうことですよね。コンテンツ以外でビジネスを拡大できるのが、コアファンの力だと思います。

 

オンラインとオフライン、双方を補完しコアファンを拡大

――ファンコミュニティを運営されていて、今どのようなトレンドが生まれつつあると感じていますか?

平良:実はオフィスの一部がオフ会のスペースになっているんです。昨年の3月に引っ越してきたんですが、この場所を我々は最初から大事にしています。リアルな場所がとにかく大事で、オンラインで仲良くなり、オフ会で会って話して、またオンラインに戻ってもさらに盛り上がるんですよね。

要はオンラインとリアルを繋げる。オンラインとリアルは隔絶したものではなくて、双方を補完し合う関係だと思うんです。ですから、規模含めてリアルな場所はますます大事になってくるだろうなと。VRに注目が集まっているのはその真ん中だからだと思うんですね。リアルな場所は絶対に廃れないし、リアルとオンラインが融合していくのはトレンドを超えて必須なんじゃないかなと思います。

――最後にインタビューを読んでいる方にメッセージをお願いします。

平良:よく「ファンクラブと何が違うの?」と聞かれるんですが、一言で言うと、コアファンしかいない双方向のコミュニティで、そこが大事にしているポイントでもあります。ファンの熱量を高めていけば、結果として新しいファンにも伝わりますし、そのファンをコアファンに変えることもできる場所です。なおかつ収益も上げることができるので、ファンクラブと併用して、コミュニティとして使っている人もいます。使い方は本人次第ですので、ぜひ便利に使ってほしいと思っています。

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