Vol.33 タワーレコード株式会社 商品本部邦楽部 アシスタントバイヤー 西野 耕一郎さん
音楽業界の今を動かす、現場の音楽業界人 = Musicman に、仕事内容や最近の「気になる!」こと現在の仕事に至るいきさつなどを中心に伺っていくインタビューコーナー「Musicman Pick Up」。
第33回は、タワーレコード株式会社 商品本部邦楽部 アシスタントバイヤー西野 耕一郎さんのご登場です。
——どんな部署でどんなお仕事をされているんですか?
西野:タワーレコードが運営する80店舗の中で、大都市圏の大型店舗を除く66店舗の新譜発注業務を行なう部署で、邦楽商品の担当をしています。
——よくある1日の業務タイムスケジュールを教えてください。
西野:7:30起床。朝のワイドショーやニュースを見ながら朝ごはん。9:30に出社するとまず前日の売上をチェックしながら、1日のおおまかな行動スケジュールを頭に描きます。日によって時間割は変動しますが、メーカーとの商談、売上データの分析、情報収集など、新譜発注業務に関わるあらゆることをします。残業は基本的にしないことに決めているので、終業後は運動や勉強をしています。ライブや飲み会に行くこともあります。
——これまで関わったor担当アーティストは?
西野:仕事でアーティストと直接関わることはほとんどありませんが、タワーレコード限定商品の開発や販売促進施策などにいくつか携わりました。いちばん思い出深いのは、個人的に大好きな“ハンバートハンバート”のシングルをタワーレコード限定で発売することができたことです。この仕事を続けてきて良かったなあと心から思いました。
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——音楽業界で働くことになったきっかけはありますか?
西野:恥ずかしい話ですが、モラトリアム時代の「アルバイト→お金貯まる→海外旅行→お金無くなる→帰国→アルバイト」という出口の見えないループの中で、音楽が好きだからという軽い気持ちで選んだバイト先がタワーレコードでした。音楽を貪りすぎて旅行資金は一向に貯まらず、いつの間にかこの業界の面白さに魅了され、現在に至ります。
——この仕事をしていて、嬉しい瞬間はどんな時ですか?
西野:店頭にいた頃は、自分がコメントカードを書いたCDが売れたとき飛び上がるほどうれしかったです。そのうれしさが、今でも仕事に対するモチベーションの核になっています。現在の業務に限って言えば、店舗スタッフのサポート的な役割も多いので、店舗スタッフから「助かる」と言われることが一番うれしかったりします。また、良い音楽に出会えたときも、やっぱりうれしいです。
——この仕事の大変なところ、難しいところは?
西野:小売業という業種で「仕入れ」を任される責任は重大です。大袈裟かもしれませんが、自分の判断が全従業員の生活を左右してしまうかもしれないという緊張感をもって業務にあたっています。
仕入れを決める際の理想は、「需要と供給が均衡する数字を100%の精度で当てること」ですが、現実には様々な因果関係の上で変化するその数字を当てるのはとても難しいです。様々な情報やデータを分析し、経験則や公式、店舗とのコミュニケーション、最後には勘まで駆使して(笑)少しでも精度の高い答えを導き出す。しかも判断にかけられる時間は限られているので、スピードと精度を高いレベルで維持しなければならない。ハズレたときのためのリスクヘッジも重要だと考えています。
——職場はどんな雰囲気?流行っていることなどありますか?
西野:上記のような業務を行なっている部署なのでピリピリした職場を想像されるかもしれませんが、和気あいあいとした職場です。
——仕事において、これだけは誰にも負けない!という強みは?
西野:強みと弱みは表裏一体であることが多いので何とも言えませんが、「前向きで楽観的」「慎重だけど仕事は速い」が自分では長所だと思っています。
——今の仕事で一番やりがいを感じることは何ですか?
西野:3つ上のQの答えにある「精度の高い答え」をいかに導き出すか。 自分の中にある知識や経験を総動員して挑むことにやりがいを感じます。
——この仕事はどんな人に向いていると思いますか?
西野:バランス感覚の優れた人。思考することが好きな人。適度にいい加減な人。
——これから挑戦してみたいと思うことはありますか?
西野:世界一周旅行など。
——Musicman-NETの活用法、好きなコーナーなどあれば教えてください。
西野:トップページの音楽ニュースはよく拝見しています。石原ロックフェスティバルさんの連載が面白かったです。
——最後に、音楽業界を目指す人にひと言
西野:世間では音楽業界は不況だとかいろいろ言われていますが、音楽の持つエネルギーはまったく衰えていないと思います。ネットも携帯も含め、音楽に触れるチャネルが多くの年齢層にも広がっている分、どのメディアに関しても今後、音楽をより多くの人へ届けるチャンスがあると考えています。これまでの常識に囚われない自由な発想で、音楽業界を盛り上げていってください!
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