ビクターエンタテインメント(株) rookiestarをシングルCDに替わるような存在にしたい! 高垣 健 氏、立石龍男 氏、佐藤 岳 氏 スペシャル・インタビュー
rookiestar総責任者
常務執行役員 高垣 健 氏
rookiestarチーフ
AD ROOM A&Rグループ長
プロデューサー 立石 龍男 氏
rookiestar WEB担当
佐藤 岳 氏
ビクターエンタテインメント株式会社が、インターネット及び携帯電話向けの専用サイトを活用した新人アーティストの発掘・育成を行う「rookiestar(ルーキースター)」レーベルを11月17日(金)より始動させる。楽曲は音楽配信のみでリリース、専用ウェブサイトでのオーディションやプロモーション等、これまでにない新しい手法で新人アーティストの発掘、育成を目指すという。
そこで「rookiestar」レーベルについて、プロジェクトの総責任者であるビクターエンタテインメント株式会社 常務執行役員 高垣 健氏と、同レーベルのチーフである立石龍男氏、佐藤 岳氏にお話を伺いました。
▼rookiestar公式サイト http://rookiestar.jp/
——ズバリ「rookiestar」レーベル設立の趣旨は?
高垣:「rookiestar」レーベル設立の目的は2つありまして、パッケージではなくノン・パッケージのレーベルを立ち上げることによって、PCと携帯電話でのネット配信、ダウンロードビジネスをより活発化させたいというのが1つと、もう1つはアーティスト志望の若い人たちのオーディションをPC・モバイル両方で積極的にやっていきたいと。この2つですね。あと、売れなくなっているシングルCDに替わるアイテムにというのも大きなテーマです。
——オーディションはどのような形で行われるのですか?
佐藤:シンガーソングライターやヴォーカリストに集まってもらうアーティストのオーディション(「アーティスト・オンラインオーディション」)と、作詞・作曲・トラックメイク、映像やWeb制作と幅広い分野のクリエイターを対象にしたオーディション(「クリエーター・オンラインオーディション」)を常設します。
高垣:rookiestarではCDデビューという通常の形ではなく、ネットデビューという形で、優秀なアーティストの楽曲を毎週アップロードしていきます。また、ビクター全体の新人育成をカバーしていく目的もあります。ビクターにはSPEEDSTAR RECORDSやHAPPY HOUSE、BabeStarといった幾多のレーベルがあるんですが、それらのレーベルで抱えている新人が一杯います。CDデビューはまだ時期尚早だけど、ディレクターが個人的に育成していたり、デモテープを録ったりしているような新人アーティストを、rookiestarを通じて積極的にネットデビューさせます。また、そういったアーティストのネットデビューにはテストリリース・テストマーケティングという意味合いもあるので、普通のレーベルとrookiestarは全く発想が違うと考えてもらっていいと思います。
——rookiestarはビクター全社を横断するようなレーベルなわけですね。
高垣:ええ。当然ビクターでもレーベルモバイルやビクター独自の「ビクターミュージックダウンロード」というダウンロードサイトから、他社と同じように音楽配信をしているんですが、簡単に言うとそれらはパッケージありきで、パッケージを出す前哨戦としてネット配信をしたり、逆にパッケージとして出したものを配信していたので、ネットの独自音源やノンパッケージだけを扱うのはなかなか難しかったんです。
それは作業的に難しかったと言うよりも、概念的にと言いますか、やはりレコード会社はパッケージビジネスであるという前提がどうしてもあるので、配信だけでビジネスをするというところまでなかなか行かなかったんですね。ですから、rookiestarは最初から「パッケージを出さない」と謳うことによって、ネット配信のみというコンセプトをストレートに打ち出せるのではないかと考えました。
——ただ、うまくいけばCDも出すという可能性もあるわけですか?
高垣:rookiestarの契約は配信だけの契約となります。したがって、その中にパッケージ販売まで盛り込むかどうかはアーティスト次第になるんですが、基本的には難しいと思います。ネットで凄く盛り上がって、パッケージビジネスへの移行となったときには、まずビクターの他のレーベルに斡旋していくことになると思います。それが我々には一番大切なことですが、ひょっとしたらビクター以外の他のメーカーに行ってしまう可能性もあります。
——でも、信頼関係を先に築くことができますからね。
高垣:そうですね。例えば、BabeStarも基本的にアルバム単位のワンショット契約だけなのでお互いリスキーなんですが、人間関係ができるので、再契約となる確率がかなり高いですね。
——配信の音源はrookiestarで制作するんですか?
高垣:作るものもありますし、音源の持ち込みもあります。当然、rookiestarとして制作予算も取りますが、一から十まで作り込むことはなかなかできませんからね。
——rookiestarで制作するものと持ち込まれるものの割合はどの程度になる予定なんですか?
高垣:ちょうど半々くらいです。ADルームというビクターの新人発掘セクションではインディー・レーベルを抱えていて、年間30アイテムくらい出しているんですが、rookiestarはそのADルームのディレクターや制作機能を使いながらやっていきます。それから先ほど言った、ビクター全社で育成中の新人にもそれぞれディレクターや制作スタッフがついていますから、そういう制作機能を使って、オリジナル制作はできます。それだけではなくて、例えば、インディーで活動している人がその音源を持ち込んでやりたいと言われれば、我々と協議してやることになります。あと、オーディションに応募された優秀作品ですね。
——完成度が高い音源であれば、そのまま出す可能性もあるわけですね。
高垣:そうですね。よく誤解する人がいるんですが、このrookiestarはここだけで配信するのではなくて、iTunesやNapstarをはじめ、色々なモバイルサイトで楽曲を配信していきます。現在、外部のサイトと話を詰めているんですが、1曲単位で卸していくのではなく、レーベルとして扱ってくれる外部サイトで配信していこうと思っています。
佐藤:現段階でPCが20サイト、携帯では着うたが5サイト、着うたフル/メロディーコール/待ちうたがレーベルモバイル等を使って1サイトずつ配信予定です。
——それはプロモーションとしても大変効果的ですよね。
高垣:1曲ずつで配信していくと、無名の新人だとなかなか誰も分かってくれないですが、rookiestarというレーベル名さえ覚えてくれれば、レーベルを通じてそういった新人達を認識してもらえると思います。
——第1回目(11/17)は、何曲発売されるんですか?
高垣:210曲を予定しています。そのあと毎週アップロードしていきます。
立石:毎週のアップロードは2、3曲で、アーティストによってはまとめて出していきます。ゆくゆくは1アーティスト1曲ではなくて、複数アーティストの楽曲を毎週アップロードできればと考えています。
——最初の210曲は何アーティストで210曲ですか?
立石:約20アーティストです。
——その20アーティストというのはまだCDを出していないアーティスト達ですか?
高垣:全部ではないですが、そういう人もいますし、ADルームのオーディションの優秀アーティストもいます。また、ADルームの中でCDは出しているけれど、リミックスやヴァージョンの違いを配信するアーティストもいます。
——頂いた資料に「超新人と超ベテランが面白い」と書かれていますが、ベテランのアーティストもネットだけでリリースする可能性があるわけですか?
高垣:それはあるかもしれませんね。また、CDを他のインディー・レーベルで出していて、配信だけはrookiestarでやるという可能性もあるわけです。他のメーカーや他のレーベルでCDを出しているアーティストでも条件次第で配信していきます。
——そのくらい契約は緩いと。
高垣:そうです。例えば、ADルームの膨大なカタログの中には、他のメジャーメーカーからデビューしたアーティストの音源も当然あるわけで、それをアーティストが許諾してくれれば、rookiestarから出すことも可能なんです。基本的には、専属契約ではありませんから。
——お話を伺うと、rookiestarは様々な新しい可能性を秘めていますね。
高垣:rookiestarはADルームとBabeStarレーベルとスタッフが兼任していますからコミュニケーションがしっかり取れますし、rookiestarを経由することによって、有望な新人に対して幅広くコンタクトを取ることも可能です。それがうまく機能していったら凄く広がっていくと思いますし、一曲単位でリリースしていくrookiestarが、シングルCDに替わるような存在になったら面白いなと思っています。
——「シングルCDに替わるような存在」というのはとてもわかりやすい表現ですね。
高垣:3曲以上のシングルCDは、戦略的ですが、音楽的ではないと思うんです。「シングル曲」と「シングルCD」では、大きく意味が違ってきています。rookiestarは、1曲の魅力を押し出すレーベルでもありたいと思います。
—— 本日はお忙しい中ありがとうございました。rookiestarの新しい試みやオーディションで発掘された才能に、今後も注目していきたいと思います。
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