オンライン・ストレージサービス「i-Mix」本格スタートにあたって (株)ロックオンカンパニー 代表取締役 太田憲行 氏 (有)リアル 代表取締役 梶 篤 氏 (株)ニューフォリア 取締役/エグゼクティブプロデューサー 多田周平 氏 インタビュー
いつでも、どこでも、誰とでも(外国でも)、音声ファイルを圧縮せず、セキュリティーを確保しながら、簡単にやり取りできたら…そんな音楽制作の現場からの要望に応える近未来のレコーディングシステム「i-Mix(アイミックス)」がサービスを開始した。
「i-Mix」は、音楽及び映像に特化したファイル及びフォルダの転送サービスである。従来のファイル転送サービスと異なる点は、大容量のファイルとフォルダ(ファイルは 2GBまで、フォルダは無限)をそのまま圧縮せずに、あたかも自分のコンピューター上での操作のごとく簡単にやりとりできる画期的なシステムとなっている。
今回はサービス開始にあたり、「i-Mix」の企画・開発に携わった株式会社ロックオンカンパニー 代表取締役 太田憲行氏、有限会社リアル 代表取締役 梶 篤氏、株式会社ニューフォリア 取締役/エグゼクティブプロデューサー 多田周平氏のお三方に話を伺った。
——まず、「i-Mix」を開発することになったきっかけは?
太田:レコーディングの現場にいて不便なことってたくさんありまして、いままでは音源のやりとりをテープでやっていましたので、特に海外の場合はそれだけで時間がかかって実はそれがとても大変で。その作業をなんとかできないものか? と思ったことがそもそものきっかけでした。さらに、レコーディングの方法もアナログからデジタルに変わって、そのファイルのやり取りをインターネットでできるのがこの「i-Mix」なんですね。
——既存のサービスとの相違点は?
多田:一番大きく違うところはレコーディングのセッションファイルごと圧縮なしで送受信できるということですね。
——開発段階において最も苦労した点は?
多田:複数のファイルを送受信できる技術がFTPにはいままでなかったんですよね。そこが開発する時に一番難しいところでした。FTPというシステムを知らない人でも簡単に使えるようにするという点とセキュリティ面の強化に時間がかかりました。
梶:実は構想を固めるのにも時間をかけていまして、1年経ってもまだ同じ話をしていましたね(笑)。
多田:最初にリリースしたときからかなりテストランを重ねて、最初は“音”が変わらないようにすることを重点課題としてテストに時間をかけました。結果としてはネットを通してもほとんど音質が変わらないという環境を作り上げることができました。むしろ、DVD-Rに録ったときよりも音質は優れているほどです。ただ、無線LANを使用すると少し音質が低下することもありますので、ご使用の際は注意が必要です。その後は、OS毎に違う設定法をどのようにしてなくすかに時間がかかりました。特にMacintoshの場合は今使っているOSのバージョンを把握していることが大切ですね。
——ファイルはどのくらいの容量まで対応していますか?
多田:1回のやり取りで2Gまで対応しておりますが、音楽ファイルで1ファイル2ギガを超えることはないという想定ですので、十分だと思います。
——料金設定はどのようになっていますか?
太田:これは皆さんに使っていただいて、便利さを理解していただこうということからなのですが、月の使用料を1Gまで無料としました。それ以上10Gまでを500円、その後10G毎に1,000円が加算されるというシステムです。ものすごくリーズナブルだと思います。
——実際に今までのレコーディングで使われた例はありますか?
太田:たくさんありますが、最近ですと宇多田ヒカルさんやJYONGRIのレコーディングで海外のスタジオとやり取りをした実績があります。従来のやり取りに比べてかなりコスト面で貢献できたのではないでしょうか。
——ユーザーの皆様にメッセージをお願いします。
太田:このシステムはレコーディングの過程のなかでも重要なアイテムになってくると思います。ユーザーにとっての利便性もいいですからぜひ利用してもらいたいと思いますし、なによりもレコーディングスタジオの活性化に一役たてると思います。ぜひすべてのレコーディングスタジオに参加してほしいと思います。
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